表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/104

12.身を守るのは日用品だけ

『ゲーム感覚でこの中に入れば間違いなく死にます』


 青年のその言葉は柏木君の言葉と言い方は違うけれど、込められている意味は同じものだった。


『死』――それは人間に限らず生きているもの全てに訪れるものである。

 けれど安全な日本に生きていればそれを意識する機会は意外と少ない。


 なのにそれが急に間近なものに思えてくるのは、テレビに映っている青年も、柏木君と似た物を手にしているからだろう。


 柏木君が所持していたのは大きなハサミ。

 僕が貸した、ごくごく普通の、どこにでも売っているものをベースとしたもの。


 そして青年が持っているのは水筒だ。

 ステンレス性の、おそらく元の色は鮮やかなブルーだったのだろうと思われるもの。


 けれどその大きさはやはり僕達が普段目にする物とは違って、数倍ほど大きくなっている。

 そして違うのは大きさだけではない。


 色も形も違うのだ。

 色はおそらくモンスターの血が付着しているのだろう。

 つい少し前に教室で見たものと似たような色合いの、ペンキによく似たものが付着してしまっている。


 そしてその形だが……ところどころにへこんでしまっている。

 ちょうどへこんだところのあたりに色が付着していることを考えると、鈍器として使用したのだろう。



 柏木君がハサミであったように、ダンジョン発生に遭遇してしまった人達は日常的に所持しているものを武器として使うしかなかったのだ。


 いくら大きさが変わろうとも、それが水筒であることくらい誰でも見ればわかる。



 そしてなぜ青年がそんなに大きい水筒を持っているか。

 武器登録について知らない多くの視聴者には疑問で仕方がないかもしれない。

 けれど僕はそんなことよりも、水筒のへこみの大きさに目がいった。


 なにせそのへこみはその青年の頭と同じ、もしくはそれよりも少し大きいくらいだったのだから。


 顔が異常に大きいモンスターと対峙した訳ではないのであれば、駅の中には成人男性と同じくらいの体長のモンスターがいるということになる。


 平日昼の池袋駅。

 そこにはきっと子供も、女性もたくさんいたことだろう。



 一体何人がこの中で光に溶けていったのだろう。



 職員室内が謎の冷気に包まれ、誰もが未知なる『モンスター』を恐れた。


「しばらく、休校ということで異議はありませんね」


 そして校長先生の言葉に誰もが首を縦に振るのだった。


お読みいただきありがとうございます!


ほんの少しでも面白かった!続きが気になる!更新まってる!と思ったら是非ブックマークや評価(評価欄は最新話の下にあります)をお願いします。


作者のモチベーション向上に繋がります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ