1.おにぎりと冷凍庫
点検と確認が終わり、保健室に戻ると柏木君は炊飯器の蓋を開けた。
「どうしたの? お腹空いた?」
「いや、あいつら来る前にご飯炊いておこうと思って」
「あ、じゃあ残っている分はおにぎりにしちゃおうか。お腹空かしてくるかもしれないし」
「うん」
柏木君の提案により、炊飯器の中のご飯を取り出して、新たなご飯を炊いておくことにした。
一台分で足りないと困るからともう一台も導入して。
残った時は冷凍でもしておくことにしよう。
幸い、どの冷蔵庫も通常に機能していた。その他にもパソコンやテレビも問題なく電源を付けられる。炊飯器が使える時点で電気が使えるということ自体は分かってはいた。
けれどファンタジーの世界のモンスターが現実世界に現れるなんてことがある時点で、磁場が狂って電化製品に影響が~なんて可能性を否定することは出来なかった。電化製品全滅でなくても相性の良い悪いはあるかもしれないと思って、パソコンとテレビは水道と同様にランダムでつけて確認してみた。
それにしても冷凍庫が使えるというのはありがたい話だ。
もちろん中身は早めに使いきるつもりだし、いつまでもあるものと思ってはいない。
この先、磁場はともかくとして何かが原因で電気の供給が途絶えるなんてこともあるだろう。そうなったらまた考えなおさなきゃいけなくなってしまうけれど、今は使えるものは使って、手の込んだものではないけれど、お腹が満たせるものを用意しておくに限る。
ご飯の甘い香りが蒸気と共に吹き出す隣で、僕達はせっせとおにぎりを握る。
誰か来た時に気付かないと困るからと保健室のドアは全開にしてある。すると5つ目のおにぎりをお皿の上に置くと同時にドアから見覚えのある顔がひょっこりと顔を見せた。




