創ってみた。召喚してみた。
投稿が遅くなりました。すみません。
昨日のうちに投稿する予定だったんですが……
今から約1000年前のことです。当時人々に恐れられていた魔王を討伐するために、神に授けられた召喚魔法陣を使って異世界から1人の少女が召喚されました。黒い髪に透き通った青い目をした少女でした。少女は勇者として様々な苦難を乗り越えて、遂に魔王を倒しました。こうしてこの世界に再び平和が訪れたのです。
《これが現在一般的に広まっている勇者の伝承です。【召喚術】を使ってこの伝承に出てくる勇者を召喚します》
うん。色々と言いたいことはあるが、勇者を召喚ってのはひとまずツッコムのはこの際やめておこう。話が進まなくなりそうだから。
伝承を聞く限り地球でのこれぞ勇者って感じの伝承だと俺は思うんだけど、勇者だった少女の容姿については書かれてるのに魔王を倒した勇者はその後どうなった?とか、そもそも何故魔王は恐れられてたんだ?とか重要な情報が一切ないのが気になるところだ。意図的に隠されてる感じがして信用できない伝承だ。ノアなら詳しく知ってるんじゃないか?
《はい。マスターの言うとうり意図的に隠されてます。魔族を率いていた魔王は確かに人族と対立していました。ですがそれは一方的なものではなく種族同士の抗争でした。そこに横槍を入れたのが先ほどの話で出てきた神の真似事をしているオリジンスキル保有者です。その男のオリジンスキルは信仰心を自分の力に変える能力なので、勇者が活躍すれば召喚魔法陣を与えた自分が間接的に信仰されると思ったのでしょう。思惑どうりになりましたが》
いや、さりげなくオリジンスキルの能力を明かさないで。そうゆう情報はもっと後に出てくるべきだと思うんだ。俺的には敵に成り得る相手の能力を知れるのはありがたいんだけどね?唯でさえ強力な能力を持ってるのに、敵の能力を事前に知ってるなんてチート野郎以外の何者でもないじゃん。俺の身の丈にあってなさすぎて怖いんだよね。
《確かにマスターの身の丈に合ってない強力な力です。将来的にはこの世界で最強になれる程のスキルをマスターは保有していますが、今は攻撃手段のないカスなんです。自分の身を守るためにも情報は勿論のこと、仲間も必要です。絶対に裏切ることがなく、なおかつ力のある仲間が必要なんです》
成る程………どうやら俺は現在の状況を甘く見過ぎていたみたいだ。それは認める認めるけど、それにしたってカス扱いは酷くない!?確かに攻撃手段のはないけど元をたどればノアが攻撃手段のになるスキルを買わなかったからなんだから!それにまだ俺の疑問は解決されてない。
《そうですね。話を戻しましょう。魔王を倒した勇者は信仰心を勇者に奪われることを恐れた男によってまんまと殺され、魔王と戦って相打ちになったと人々に伝えられました。勇者を召喚しただけの自称神と魔王を倒した勇者のどちらを信仰するのかは明白でしょう。その後男にとって都合の悪い事実を徐々に削っていった結果、このような伝承になったのです》
既に一度死んだから勇者じゃなくて元勇者ってことか。で?死んだ奴を召喚して一体どうするんだ?生き返らせて仲間にするってことか?俺のスキルじゃそんなこと………【妄想錬金術 LV1】を使えばできるか?だが成功率10%で夢のあるものしか創れないんだぞ?蘇生薬でも創るのか?
《蘇生薬は既にこの世界に存在しているため作ることはできません。それに身体がないと蘇生させることはできませんので持っていたとしても不可です》
そりゃあ無理だな。1000年前に死んでるんだからとっくに土に還ってるだろう。じゃあどうする?
《マスターの【妄想錬金術 LV1】は夢があればあるほど成功率が上がります。言って仕舞えば夢さえあればなんでも創れます。魂を蘇生する薬なんて、夢があると思いませんか?》
「っ!!そうか!」
ノアが何をしたいのかやっとわかった。【召喚術】を使って魂を召喚。【妄想錬金術 LV1】で創った薬を使って蘇生して仲間になってもらうんだな。それは随分と夢があることだが、いくら確率が上がってもその薬が絶対に創れるとは言えないんじゃないか?
《確率が上がると言っても50%くらいが限度ですが、何度でも挑戦はできます。今日中に勇者を召喚したいところですが、最悪創れなくても魔力が回復すればまた挑戦できるので気楽に創りましょう。私がイメージの補助もしますので》
何回でも挑戦できるなら心配ないな。じゃあ早速試してみよう。ノア、イメージの補助よろしく!
《はい、了解しました》
ゲームなんかで見るポーションなんかが入ってるような先の細い瓶に入ってて、血のように赤くてドロッとした薬。それは魂を蘇生する薬。蘇生、蘇生、蘇生、蘇生。それは魂にかけると復活する薬。復活、復活、復活、復活。薬によって身体が再構成される。再構成、再構成、再構成、再構成。
「【妄想錬金術】!」
コトッ
血のように赤い液体が入った先の細い瓶が目の前の床に現れた。どうやら成功したようだ。でもこの薬、なんだか禍々しい。そう思うのは何故だろうか?
《それは本来この世界にこの薬は存在しないものだからだと推測します。無理やり創り出した形になったのでこの世界にとって異物と認識されています。その為、この世界にいるマスターには禍々しい物に見えるのです》
うん。何言ってるか理解できない。ま、まあ目的の物は創れたことだしいいじゃないか。ちょっと禍々しくても一切害はないのだから気にする必要はない。自分で創ったんだから大丈夫なはずだよな?
《マスター。ビビりすぎです。本当に残念な方ですね》
う、うっさい!人は誰しも目の前に禍々しい物が目の前に現れると怯えてしまう者なのだよ。例えそれが自分自身で創ったものでもね。
ほら!この話はもう終わりにして、勇者の魂を召喚しよう。ノア、召喚物の指定お願いね。
「いざ参る!【召喚術】発動!いでよ元勇者」
《マスター。テンションがおかしくなってます》
床に魔法陣が展開され、徐々に光が強くなる。俺が召喚された時のように光が溢れ、思わず目を瞑る。これ本日2度目。
光が収まっていくのを感じて目を開くと拳大の光の玉がフヨフヨと浮遊している。魂の召喚に成功したのだろうか?
《はい。勇者の魂を召喚することに成功しました。早速魂に薬をかけてください。そうすれば蘇生完了です》
よし、わかった。
さっき創った薬の入った瓶の蓋を開けて中の薬を魂らしい発光体に上から全てかけると、またもや光が溢れ出す。俺は思わず目を瞑る。本日3回目なんですけど………何でもかんでも光らせやがって。光強すぎて目に悪いわ!と思ってるとだんだん光が収まっていくのを感じて目を開けると、俺の目の前に美少女が立っていた。
ショートカットの綺麗な黒髪に大きくて透き通った綺麗な青い目。小さな鼻と口は低めの背丈と相まって小動物の様で保護欲を掻き立てられる。そんな美少女に俺はついつい見惚れてしまう。その少女は一糸まとわぬ姿で………なんてことはなく、Tシャツ短パンとゆうラフな格好だ。Tシャツに勇者 (笑)と書かれている。ノアの仕業だな。
て、そんなことを考えてる場合じゃない。この子に事情を説明して仲間になってもらわなきゃいけないんだから。でもこの状況をなんて説明する?死んだあんたを俺が生き返らせたから仲間になれ、これだと強引すぎるな。まず俺が生き返らせたこととその理由を伝えた上で仲間になってくれないかと聞いてみる。うん、これの流れで説明しよう。思って声をかけようと思った瞬間、少女が小首を傾げて疑問の声を上げる。
「ここは……どこ?」
「………」
この勇者メッチャかわええ。どないしよう。




