表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クラスごと集団転移しましたが、一番強い俺は最弱の商人に偽装中です。  作者: かわち乃梵天丸
第一部 クラスごと集団転移しましたが、一番強い俺は最弱ランクの商人に偽装しました。
86/123

禁忌7 *

 涙を流す俺を見てミドリアは狼狽(うろた)えまくった。


「な、なんで泣いているんですか? もしかしてわたくしが何か悪い事をしてしまいましたか?」


 顔を真っ青にしてブルブルと震えるミドリア。


 俺怒って無いから。


 嬉しすぎて泣いてるんだから!


 魔族には嬉しくて泣くと言う感情はわからないかな?


「いや、お前はなにも悪くないぞ。ただな、元通りのミドリアが帰ってきて、石川も香川ちゃんもリリィさんもみんな帰って来て、今まで通りの生活が出来ると思うと嬉し過ぎて涙が止まらなくなったんだ」


「わたくしも我が君と一緒にいる事が出来て嬉しいです」


 俺とミドリアは肩を抱きしめあい、この幸せの余韻に浸る事にした。


 これからはみんなと楽しく過ごせる。


 ミドリアと石川とエリザベスと香川ちゃんと長野さんと同じ屋根の下で暮らせる。


 あの小屋での生活が今まで通りできるんだ!


 やっと元通りの生活に戻れる。


 やっとだよ。


「あんまりここで長居すると、先に戻ったみんなが心配するかもしれないから、早くここを片付けて小屋に戻るか」


「はい。では地上まで飛びますからわたくしから手を離さないで……」


 ミドリアは言葉を途中で止めると上空を鋭くにらむ。


 上空には魔法陣が展開され浮かび上がっていた。


「あの魔法陣は何だ?」


「転移魔法陣です。新たな訪問者ですわね」


「敵かよ!?」


 魔法陣から(いかずち)の様な激しい光が溢れ出る!


 そして2体の魔物が出てきた。


 一体は黒衣のローブを纏った男。


 もう一体は目玉の怪物。


 石川の記憶の中で見た魔物達であった。


「あいつらが魔晶石をダンジョンに設置し、石川達を殺した奴だ」


「この一連の騒動の原因を作った者達ですね」


「ああ、そうなる」


 黒衣の魔導士は辺りの惨状を見て明らかに狼狽えている。


「凄まじい魔力反応が検出されたので戻ってみたら、なんという事だ! ダンジョンが丸々消えているぞ! それになんなんだ? この大穴は?」


 目玉はゆっくりと瞬きすると答える。


「何者かによって掘られたようですね。おや、あそこにいるのは?」


 目玉はこの大穴の底にいた俺達を見つけて見つめた。


「もしや、あの者達がこの大穴を掘ったと言うのか?」


「この辺りにはあの者達しかいないのでこの大穴を掘ったのは間違い無いと思われます」


「そうか、ならば危険因子は排除せねばならぬな」


「あの者なぞ、主様の手を煩わす事も無いですな。わたくしにお任せを」


 一つ目の怪物は巨大な魔法陣を宙に浮かび上がらせながら呪文を唱える。


「漆黒の闇の眷属よ。我、魔導博士ネビュラスの名において召喚する! いでよダークアイズストーム!」


 すると巨大なヘビの様なものがうねりながら魔法陣から現れた。


 だがそれはヘビでは無かった。


 ちいさな目玉の魔物の群れである。


 小さいと言ってもバレーボールぐらいのサイズ。


 それは目玉の怪物の幼生にも見える。


 その魔物の群れが俺達を目指して襲い掛かって来た!


「食らいつくして、骨も残らず消し去れ!」


 凄まじい数の魔物が俺達に向かって押し寄せる!


 あんなものに喰われるわけにはいかない。


 俺は奴らを駆除をする事にした。


「我が君、どうします?」


「あの目玉の群れは俺がどうにかする。ミドリアはローブを着た男の方を頼む!」


「解りました」


 ミドリアは霧の様に消えて空気に溶け込む。


 黒衣の魔導士に向かっていったんだろう。


 俺は目玉の対処を始める。


『システム!』


『はい! なんでしょうか?』


『ゴブリンの時みたいに、目玉のモンスターの大群をアイテムボックスに取り込める様にスキルセットを頼む!』


『わかりました……セット完了です』


 俺はモンスターに手をかざすと襲い掛かって来る目玉の魔物を次々に取り込んだ。


 周りから見ると俺の周囲に近寄った魔物が次々溶けるように消えている様にも見えるかもしれない。


 それを見た目玉の魔物が驚く。


「奴等、戦わずに次々と魔物を消し去っています! 何という魔力霊圧!」


「まずいな、ならば我が直接奴を倒す!」


「あらまあ、それは手遅れですわよ!」


「むっ! 誰だ!」


 突如黒衣の魔導士の横に霧から実体化したミドリア。


 目玉の怪物と黒衣の魔導士を一纏めにバネの様にしならせた蹴りが襲う。


 いきなりの攻撃だったので魔物達は避けられず、体の奥底まで蹴りがめり込んだ!


 二匹とも遥か彼方の縦穴の壁にブチ当たり土煙をあげる。


「ぐはーっ! この我に蹴りを入れるなぞ、ゆるせん! ならば我の最高火力の爆殺魔法にて骨も残らず消し去ってくれる! 漆黒の闇の精霊よ。我、ダーククリムゾンの名において召喚する! いでよ、ぐはーっ!」


 再びミドリアの蹴りを食らって遥か彼方の壁へと叩き付けられる黒衣の魔導士。


 可哀想に……魔法を詠唱する前に潰されてるよ。


 圧倒的にミドリアの方が実力が上。


 かわいそうな位の実力の差があるね。


 しかもその蹴りはマッチョモードじゃないから、まだ本気じゃねーし。


 こりゃ遊ばれた後に間違いなく殺されるね。


「なにチンタラ詠唱してるのですか? 幼稚園のお遊戯でもしてるつもりですか?」


「ぐぬぬぬ!」


 歯軋りする黒衣の魔導士。


 すると手を振りかざして無詠唱で闇の魔弾を放つ!


 凄まじい勢いの魔弾!


 ミドリアの顔面目指して魔弾が超至近距離で放たれた!


 これは避けれない距離!


 俺が助けに入らないとヤバいかと思ったが、ミドリアは何事も無いかの様に素手でその魔弾を握りつぶす。


「あら、少しは賢くなったのね。おりこうさんだわ。でもね、だめ! そんなヘッポコな攻撃じゃ、わたしには通用しないの! 魔法ってのはこうやって撃つのよ」


 ミドリアが手を振りかざすと、さっきの魔弾の100倍ぐらいの巨大サイズの魔弾が更に早いスピードで襲う!


 しかも、マシンガンの様に連射だ。


「じょ、冗談だろ!」


 黒衣の魔導士はミドリアが連発する魔弾を息を切らしながら必死で避けまくる。


 この魔導士、完全にミドリアにおもちゃにされてるわ。


「な、なんで世界で五本の指に入る魔導士の俺がここまで追いつめられるんだ!?」


「それはね、あなたが弱いからよ」


「ぐぬぬぬ!」


「さてと、お遊びもそろそろ飽きちゃったから、トドメ刺そうかしら?」


 すると目玉の怪物が魔法陣を展開。


「主様! 早くここから脱出を!」


 黒衣の魔導士と目玉の怪物は転移魔法陣に飛び込むと姿を消し逃げていった。


「逃がしちゃったけどいいのかよ? あいつが何者なのか聞かなくて良かったのか?」


「鈴の呪いをつけておいたから大丈夫です」


「鈴?」


「マーキングみたいなものです。これであいつらの後を追ってアジトごと皆殺しです」


「お前、結構やる事えげつないな」


「我が君程ではないです。さてと、アジトを……あれ、おかしいですね? どこにも反応が無いですわ」


「マーキングを解除されたのか?」


「わたくしの呪いはそんな簡単に解除できるものではありません」


「じゃあ、どこにいるんだ?」


「私の追跡の及ばない別の世界に逃げた。そうしか考えられません」


「異世界からの訪問者か」


「そうなりますね」


「この世界に干渉してくるって事は何かをしようとしてるんだろうな」


「かもしれませんね。でも鈴が付いているので戻ってきたらすぐに解るので、その時始末しましょう」


 ミドリアにこの大穴を埋めさせると俺達はキャンプ場の小屋に戻った。


 みんなが俺達を笑顔で迎えてくれた。


「高山、お帰りー!」


「タカヤマ遅かったな」


「ミドリアさんもお疲れですぅ」


「わらわはお腹が空いたぞ。マグロの寿司を食べたい!」


「わたしもたべたいー!」


「わたしもわたしもー!」


「わたくしも食べたいです」


「おうおう! 解ったからちょっと待てよ」


「待てない待てない!」


「早く食わせろー!」


 やっと訪れたひと時の平和。


 仲間達と楽しく暮らせるこの時間がずっと続いてくれればいいと俺は思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ