禁忌1 *
俺達は赤竜と化したエリザベスに乗り、砂漠のダンジョンへと凄まじい速度で向かっていた。
足の甲に乗ったミドリアが風切り音に負けない程の大声で叫ぶ!
「我が君! 石川さん達は砂漠のダンジョンの何処にいるか解りますか?」
「えーと、」
俺は大慌てで石川達の危機を知らせてきたシステムちゃんに聞く。
『何処に石川達が居るか解るか? 出来るだけ正確な位置を教えて欲しい』
『少々お待ち下さい……砂漠のダンジョンの最下層の更に下、地表から五九〇メトル下のフェータルマンティスの巣の中です』
『ありがとう』
「砂漠のダンジョンの更に下、地表から五九〇メトルのフェータルマンティスの巣の中らしい」
「『らしい』ですか。なんで我が君はわたくしでも石川さん達の存在を感知出来ない程の距離でそこまで正確な位置が解るのですか? も、もしや! 愛し合ってる二人は、以心伝心、何もかも心が通じ合ってるのでしょうか!」
「ちげーよ! お前が思ってるほどあいつとは親しく無いから!」
「でも、二人で初夜を成そうと思うほどの仲だったのですよね?」
「ないから! あいつとはそう言うのまだ無いから!」
「ほっ! そうですか」
「俺の心の中に住む妖精さんがそう言ってるんだ」
するとミドリアはまだ見えぬ遥か彼方を見つめた。
今のミドリアの疑問、俺の心にも引っ掛かった。
なんでシステムちゃんは石川達の正確な位置が掴めてるんだ?
そう言えば前にも石川達のキャンプでの状況を報告してくれたような気がする。
『それはですね。ルームメイトである石川さん達には私の分身体、つまり分霊魂を常駐させているからなのです』
『分身体?』
『ええ、わたくしのサブセットです。かなり小さな物なのでスキルの書き換えとかは出来ない簡易的な物なのですが、場所の特定や、身体や感情のモニタリング程度の事なら出来ます。それを彼女達に仕込んであるのです』
『仕込んでって……いつそんな事したんだよ?』
『以前に○ロリーメイトを石川さん達にあげた事が有りますよね?』
『そんな事が有ったな』
『あの中に、分霊魂を仕込んでおいたのですよ』
『マジか! それで○ロリーメイトを女の子達にあげる様にやたらしつこく頼んで来たんだな』
『はい。あの頃の石川さんは勇者様にやたら敵対心を抱いていましたからね。安全の為にモニタリングさせて貰っていました』
『システムちゃん、グッジョブだ。そのおかげで今回の石川の位置が掴めている』
『ありがとうございます』
『もしかして、食堂で聞こえたあの石川の叫び声もそれが関係してるのか?』
『そうかもしれませんね。感情の迸りにより石川さんの感情が分霊魂経由で勇者様に流れ込んで来たのかもしれません』
『あれは本当に石川の心の叫びだったのか。石川はまだ無事か? まだ間に合うか?』
『ええ、かなり苦戦はしているようですがまだ無事です』
『なら、急いで向かおう!』
『はい!』
『香川ちゃんが死んだと言ったけど、それも分霊魂で調べたのか?』
『そうです』
『死んだのは間違いと言う可能性は無いのか?』
『無いと思います』
『そうか……』
『悲しいですか?』
『ああ、悲しいよ』
『勇者様も今回の召喚でかなり変わりましたよね。以前だったらそんな感情を抱く事はなかったハズです』
『そうかもしれないな』
エリザベスが物凄く低い響く声で叫ぶ!
「ダンジョンが見えて来たぞ! 入り口に着地するから、着地の衝撃で振り落とされない様に注意しろ!」
するとミドリアが風切り音に負けぬ声で叫ぶ!
「着地はしないでそのままダンジョンの中へと突っ込んでください!」
ミドリアはダンジョンに向けて手を掲げると巨大な魔法陣を地表に描く。
その大きさは直径五〇〇メトル程。
ミドリアはかなり長めの呪文を詠唱!
詠唱を終えると辺りにかなり軽い音が鳴り響きダンジョンの有った場所に巨大な円筒状の大穴が開いた。
ダンジョンその物をこの世から消し去ってしまったのだ!
俺は思わず息を飲む。
「すげー! ダンジョンに大穴が開いた!」
「これなら最下層まで一気に移動出来て、大幅に到達時間を短縮できるはずですわ」
「おう、助かる」
安堵の息を吐く俺。俺がホッとしているとシステムちゃんの叫び声が!
『石川さんが死にそうです!』
『なんだと!!!』
『急速に生命機能を喪失しています。おそらく敵からの致命傷を受けたものと思われます!』
『なんだと!!! 何とかならないのか!』
『ここからでは手の施しようがありません』
俺は半泣きになって叫んだ!
「エリザベス! 急げ! 石川が死んでしまう!」
「解った! 地下まで全速力で突っ込むからな! タカヤマもミドリアも怪我をするなよ!」
俺達はダンジョンの奥底へと突っ込んだ!




