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クラスごと集団転移しましたが、一番強い俺は最弱の商人に偽装中です。  作者: かわち乃梵天丸
第一部 クラスごと集団転移しましたが、一番強い俺は最弱ランクの商人に偽装しました。
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魔王城の魔王娘1

 俺が赤召喚魔法陣で召喚された先は闘技場だった。


『魔王召喚か?』


『いえ、世界線は超えてないのでただの転移のようです』


『魔王に呼び出されたって訳か』


『そうなりますね』


『ただの商人の俺に何の用が有るんだろうか?』


『ただの商人?ですか?』


『何か言いたげだな?』


『いえいえ』


 転移された俺の周りにはドラゴンの様な翼を生やした鬼のような魔族が槍を突き出して取り囲んでいた。


 魔族に心を売り渡した種族、ダークオーガだ。


 こいつらはそれほど強く無さそう。


 倒そうと思えば簡単に倒せそうだ。


 だが今回の俺はあくまでも商人で勇者ではない。


 下手に手を出したりした結果、俺を戦犯として名指して人魔大戦の火蓋でも落とされたものなら速攻勇者バレしてしまう。


 出来れば事を荒立てずに穏便に話を済ませて帰してもらいたい。


 その輪の外に立っていた、ドラゴンの様な翼と尻尾を生やした高飛車な少女が高笑いをする。 


「おーっほほほほ! ついに尻尾を捕まえたぞ! この世ならざる者め! おーっほほほほ!」


 いちいちオホオホ、うるさいって―の!


 句読点代わりに語頭と語幹と語尾にオホオホ言わねーと話せないのかよ!


 なんか聞いててムカつく。


「なんだよ、この世ならざるものって。俺はしがない商人をやってるだけの者なんだが?」


 まあ、日本はこの世じゃないからこの世ならざる者ってのは間違えてないと思うが。


 ここは何としても穏便に会話だけで乗り切りたい。


「何をとぼけてるんだ? 異界からゴブリンの大群を召喚していた事ぐらいわらわはお見通しだ!」


「そんな事してないぞ! あくまでも俺は、」


「見苦しいぞ! 人間! ゴブリンを召喚した瘴気に向けて転移魔法陣を展開したらお主を捕らえたのだ! 下手な言い訳なぞ聞く耳もたん!」


「だから、俺がしたんじゃなくて、」


「まだ言い訳を続けるのか! 瘴気を隠す為に、下手な小細工して結界なぞ張って隠れおって!」


「だから、俺の話を聴けっ、」


「だがゴブリンの召喚の為に一瞬だけあの禍々しい瘴気を漏らしたのが運の尽きよの!」


「おい! 聴けよ!」


「すぐにその瘴気を目印に転移魔法陣で捕縛してやったわ! おーっほほほほほほ!」


「あー、それね。これの事だろ」


 このオホホ少女は人の話を聴かない奴だ。


 俺は片手に持ったままのゴブリンポータルをオホホ少女に渡す。


 オホホ少女は怪訝そうな目をしてゴブリンポータルを見つめた。


「なんだこれは?」


「ゴブリンの大発生の現場に置かれていた機械だ」


「たしかに、これから瘴気が滲み出てるようじゃな。うわ! なんか出てきたぞ! なんかっ!」


 ゲージが溜まったのかゴブリンが飛び出てきた。


 それを見た俺を取り囲んでる鬼達が、一斉に攻撃し退治。俺の包囲が無くなった事で、俺はすかさずその場から逃げ出した。


「こら! 逃げんな!」


「逃げるなと言われて立ち止まる奴なんていねーから!」


 俺は全力疾走で走りつつシステムちゃんを呼び出した。


『スキル設定ですね』


『おう頼む。回避系防御系全開でよろしく』


『はい……完了しました。1番完全回避、2番完全防御、3番魔防防壁、4番即死無効、5番状態異常無効。状態異常を入れてあるので即死無効は不要と思いましたが念の為に入れておきました』


『おう、すまない』


 スキルのセッティングを済ますと、突然全力疾走する俺の前におほほ少女が宙から現れる。


 のわっ!


 いきなり目の前に現れるなよ!


 危うく、突き飛ばすとこだったろ!


 瞬間転移でもしたんだろうか?


 いや、単に空を飛んで来たっぽい。


 オホホ少女はとんでもない力で俺の首根っこを捕まえた。


「うぎゃ!」


 なんだよこの馬鹿力!


 人間じゃねーよ!って尻尾と翼生えてるからどう見ても人間じゃないな。


 そんなに首に力入れると、ポッキリ首折れちゃうからやめて!


「まだ、話は終わって無かろう! ちゃんと話をしてくれれば元のとこに戻してやる! 突然逃げ出してわらわに恥をかかせるんじゃない!」


「なんだ、取って食おうって訳じゃないのか」


「それはお主次第じゃのう」


 オホホ少女に連れて来られたのは玉座。


 どうやらこのオホホ少女は魔族の長、つまり魔王らしい。


 この世ならざる瘴気が王都近くに溢れ出たので、不審に思い調査をしていたとの事。


 俺も大体の経緯を話すと納得してくれたようだ。


 玉座に踏ん反り返った少女は俺に向かって話す。


「ふむ、なるほど。お主はゴブリンの巣でこのゴブリン呼び出し装置を見つけたという事で、この装置とは無関係と言う事だな」


「だから俺はただの商人と言っただろ?」


「大体の事情は解った。じゃあ用は済んだから消えていいぞ」


 手を振りかざす少女。少女の口からふっ!と吐き出される灼熱の炎。


「ぬあ!」


 鉄をも溶かす超高熱の爆炎が俺を包み込む!


 俺は黒焦げになり……俺は紅蓮の炎で燃え尽きる。


 俺の元居た場所には消し炭が……残らず!


 ススだらけになった全裸の男が立っていた。


 俺だよ! 俺!


「おほ! なんでわらわのブレスを喰らって燃え残ってるんだ???」


「てめー! いきなりなにすんだよ! 服が燃えちまっただろうが!」


「な、な、なんでわらわのブレスを浴びて生き残ってるんだ???」


「さっきから聞いてるのに無視するなよ! てめー、なにいきなり炎なんて吐いてるんだよ!! バカか!」


「バカな! これは何かの間違いじゃ、わらわの炎で燃え尽きぬ人間などありえん!」


「バカはおめーだよ!」


 またまた炎を吐くおほほ少女。ムカついたので手で口を思いっきり閉じてやった。


「むほー! むふー! むぎー!」


 変なうめき声を出しながら、口から煙を出してジタバタしてやがる。ざまあ。


「何をするんじゃ! 舌を火傷したじゃないか! 殺すぞ!」


「俺をイキナリ焼き殺そうとしてたヤツが何言ってるんだよ!」


「お主、さては人間じゃないな?」


「人間さ」


「人間がわらわのブレスを受けて生きてるわけがない。正体を現せ!」


 今度は凄まじく重い拳を振りかぶって来た。


 俺はそれをほほで受け止める!


 歪む俺の顔。


 こんな攻撃全然痛くねーよ!


 全然痛くないから!


 涙なんか流してねーから!


 痛くて泣いてなんかいねーんだからな!


 さっきのブレスが熱くて目から汗出ただけだし!


「なっ! なんで死なぬ! なんで倒れぬ!」


 驚愕の表情をして立ち尽くすオホホ少女。


 呆然と俺の前で立ち尽くしている。


 こりゃ、一気に決めてやった方がいいな。


 ぶっ殺す!


 俺は渾身の拳をおほほ少女の顔面に向かって放つ。


「拳ってのはこうやって使うんだよ!」


 拳はきれいに少女の顔面を捉えた。


「どりゃ!」


「ぶんもー!」


 オホホ少女は俺のパンチを顔面で受けるとすごい勢いですっ飛ばされ、変な声を出しながら魔王城の壁を何枚も突き破り、遥か彼方まですっ飛んでいった。


 あ、やっぱ俺強すぎるわ。


 ワンパンで魔王様死んじゃったし。


 周りに居た鬼たちは俺のあまりの強さに怯えたのか、立ち尽くして誰も襲ってこなかった。


 勝負がついたので、三人娘の元に帰るとするか。


 いや待てよ?


 召喚契約の目的の魔王倒しちゃった事んだよな?


 という事は……、魔王討伐しちゃった事だし今夜の日替わりに元の世界に帰還になるのかな?


 どうなんだろ?


 その時!


「ぐごーーー!!!」


 腹に響くような巨獣の雄たけび!


 と同時に、巨大な腕が壁ごと部屋を薙ぎ払う。


 玉座は吹っ飛び石塊へと姿を変え、部屋に居た鬼たちは全てがどこかに吹き飛ばされる。


 俺はというと。


 俺は危険を察知して、上空へとジャンプして避けていた。


 目の前には巨大なドラゴンが居て俺を睨み付けていた。


 こいつはおほほ少女の真の姿だろう。


 レッドドラゴンだ。


 レッドドラゴンは魔王を超える力を持つ。


 魔王をやっててもおかしくない器だ。


 実際、ついさっきも魔王をやってたんだけどな。


 ドラゴンは野太い声で吠えていた。


 俺は慌ててシステムちゃんと対策会議だ!


『なんか俺のワンパンで死なねーとんでもない敵が出て来たんだけど! すげーヤバい気がするんだけど! ステータスがカンストしてる俺のグーパンで死なない敵なんて初めてみたんだけど!』


『スキルスロットに防御系スキルばかりを入れてたら倒せなくて当然ですよ』


『あ、忘れてたわ。スキルスロットを【完全防御】と【炎耐性】、後は【攻撃力上昇】で埋め尽くしてくれ』


『はい……出来ました』


 ふふふ。これで哀れなドラゴンさんはお陀仏だ。さらばおほほ少女。


「人間の癖にわらわをコケにするとはいい度胸だ! 生きている事を後悔する程の目に遭わせてくれる!」


 ドラゴンは大きく息を吸うと俺に向かって灼熱のブレスを吐く。


 だが、そんな物は俺には効かぬ。


 学習能力のない爬虫類め。


 さっきのブレスで俺に炎が効かないという事は学習してないのか?


 俺は炎を掻い潜りドラゴンのアゴに強力なパンチをお見舞いしてやった。


 ドゴンと拳がアゴに食い込む感触。


 決まったな!


 決まったよな?


 あれ?


 俺の渾身のアッパーを喰らってもピンピンしてるんだけど?


 どうなってるんだ?


 こいつマジでつえーぞ、おい!


『あ、勇者様。勇者様の攻撃力上昇スキルのレベルが1に巻き戻ったままですよ。これじゃ弱いパンチしか撃てないですね』


『マジかよ!? ど、どうすればいいんだ?』


『そうですね。雑魚の2~3匹でも倒してもらえばLV10ぐらいまで上がると思うんですが』


『雑魚はさっきのドラゴンのブレスで全部何処かにすっ飛んで行ったぞ!』


『では完全にお手上げですね。今までお疲れ様でした。あの世で会いましょう』


『いやいやいや! 俺こんなとこで死にたくねーし。なんか策は無いのかよ?』


『そうですね、上がってるスキルと言えば一番高いのが木工スキルで、』


『こんなとこで木工スキルは役に立たねーだろ!』


『後は裁縫と迅速ぐらいでしょうか?』


『迅速か! 全スロットに迅速を入れてくれ!』


『それだとブレスを受けた時に少なからずダメージを受けてしまいますよ?』


『大丈夫さ。奴が攻撃を繰り出す前に決めてやる!』


 ドラゴンは再び大きく息を吸うと俺に向かって灼熱のブレスを吐く。


 だが遅い!


 俺は迅速スキルの重ね掛けで、怒涛の高速連続移動攻撃を放つ!


 迅速疾風超多段攻撃だ!


 凄くカッコいい技の名前だけど、単に物凄く速く走って何度もパンチを当ててるだけだ。


 でも、さすがは俺の迅速だけあって素早い!


 それだけでドラゴンは大きく身を崩した。


 ドラゴンは俺の規格外の速度の拳撃をあり得ない回数受けると、意識を失い崩れ落ちその巨体で魔王城の半分ぐらいを崩壊させた後、おほほ少女へと戻った。


 俺が瓦礫の上に仰向けに倒れている全裸のおほほ少女の横に立つと、少女は全裸で唇を噛んでいた。


「完敗だ。たかが人間ごときに完敗だ。くっ! 殺せ!」


 なんだ、こいつ可愛いじゃないか。


『くっ! 殺せ!』だってよ!


 笑うわ!


 今時そんなこという奴なんて女騎士でも居ねーって。


 なんか可愛らしいな。


 プルプルと雨に濡れて震える小動物見てるみたいで。


 ちょっと哀れ身の気持ちが沸いてしまうよ。


 フハハハ!


 俺は哀れな爬虫類君のもげている翼と足を回復魔法で治療してやった。

 

「なっ! なんで治す!? もしや、わらわの精神が崩壊するまで延々と殺し続けるのか?」


「いや、そんな事しねーよ。なんかお前が哀れで弱々しくて……なんか可愛く思えてきちゃってな」


「か、可愛いだと! このわらわがか!」


「フハハハ! てめーはハムスター並みの小動物だ! ペットにして欲しいと言うのならば、してやらん事はない! さあ、俺の下僕と言う名のペットになって家畜並みの一生を過ごすか、この場で死ぬか選べ!」


「くかー! 可愛いだと?」


 あ、おほほさん、俺の言葉を全然聞いてないよ。


 俺が可愛いと言った言葉を聞いてから全然話を聞いてない。


 ほら、顔なんかスゲー真っ赤だし。


 あれ?


 もしかして?


 なんか惚れられちゃった?


 こりゃ余計なこと言っちゃったかなと後悔してると……。


 おほほ少女は凄い勢いで立ち上がると俺の肩をひっし!と抱いてきた。


 形いい胸が俺の臍の上辺りにあたる。


「わらわはお前の強さに惚れた! わらわの名はエリザベスじゃ! 今からわらわはお前の物じゃ。嫁にしてくれ!」


「嫁ってなんだよ?」


「そんな事も知らぬのか? 嫁とはお主とツガイになる事だ。わらわがお主のお嫁さんになってお前の子を産んでやるといっておるのじゃ」


 まあ、ロリッ子風味のお嬢様はそんなに悪くはないんだけど……ドラゴンとしての存在感ありありな翼とウロコがビッシリ生えてる極太の尻尾を持つ少女とナニするにはちょっとかなり上級者向け性癖シチュエーションで、ちょっと俺には無理かも。


 俺、尻尾だけはどうしても受け入れられなくてな。


『前に、男色の獣人さんに尻尾で大変な事をされそうになりましたからね』


『システムちゃん、俺が必死に忘れようとしてる事を思い出させようとするのは止めてくれない? あの獣人のおかげで尻尾が生えてる犬も猫も触れなくなったんだから』


『てへっ』


 昔、俺が魔王だった時に吸血鬼の少女とそういう関係になったけど、俺的には小さな翼と細くて短い尻尾でもそういう事をするのは無理だったわ。


 ここは素直にお断りしよう。


「俺、爬虫類さんはちょっと」


「何が気に入らんというのだ! こんなにかわいい美少女だぞ! 手を出したら犯罪レベルの美少女だぞ! 何が気に入らんのだ!」


「尻尾と翼がちょっと……」


「尻尾と翼が気に入らんのだな。なら、こんな物今すぐ切り落とすから!」


 そういうと、エリザベスは自ら翼と尻尾をいきなり引きちぎった。


 血まみれになる少女。


 背中とおしりの辺りから心臓の鼓動に合わせて「ぷしゅー!」と血が吹いてる。


 血まみれ少女は俺に迫る!


 目が完全に逝ってて怖い。


「こ、これでいいだろ! 他になにか気になる事あったら言ってくれ!」


「血まみれプレイとか俺に無理だし! 俺にそんな趣味ないし!」


 慌ててエリザベスを回復する俺。翼と尻尾が再び生え、出血も止まった。


 頬をさらに赤らめる少女。


「また治療してくれたんだな。そんなに私の事が大事なんだな! 生まれたままの姿でいいんだな!」


「あ、うん」


 ここで嫌と言ったら再び翼を引きちぎって血まみれになりそうなので受け入れるしかなさそう。


「では結婚したんじゃから、新婚初夜といこう!」


「なに訳わからない事を言ってるんだよ! 結婚なんてしてないし!」


「ならば既成事実あるのみ! 今日は危険日だから一発すれば間違いなく子供が出来るぞ!」


「な、なんだよ! 危険日とか、するってなんだよ!」


「解ってるくせにー♪」


 少女は俺を有無を言わさず抱えて寝室へと向かった。


 どうなるの俺?


 ドラゴン少女と子づくりしないとダメなの?

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