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クラスごと集団転移しましたが、一番強い俺は最弱の商人に偽装中です。  作者: かわち乃梵天丸
第一部 クラスごと集団転移しましたが、一番強い俺は最弱ランクの商人に偽装しました。
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冒険者ギルド8

 翌朝、キャンプを後にした俺はリリィさんから頼まれた『ゴブリンの巣を様子を見て来て欲しい』との頼みごとを処理する為にゴブリンの巣へやって来たが、目を疑う惨状が待ち受けていた。


 ゴブリンが巣から溢れかえってる。


 山の様なゴブリンだった。


 巣の周りには優に1000匹を超えるゴブリンで所狭しと溢れかえっていたのだ。


「ちょっ! なんだよこれ! あり得ねーだろ!」


 ゴブリンはスライムと同じく繁殖力の旺盛なモンスターである。


 その繁殖力は日本でのネズミ並みで、2匹のつがいがいると一週間ほどで子供を産む為、あっという間に数が増える。


 出産は大抵二匹同時に産むので結構なスピードで増え、おまけに一ヶ月ほどで妊娠出来るほどに成長してしまうのだ。 


 確かにゴブリンの繁殖の速度は速い。


 それにしてもこの巣のゴブリンの増加速度は異常だった。


 三日ほど前に見た時は二〇〇匹程度だったはず。


 しかも帰り際にリリィさんが間引いてたので二〇匹ぐらいまで数が減っていたはずだ。


 それが一〇〇〇匹を超える数まで増えている。


 普通であれば2ヶ月ぐらい繁殖にかかる数だった。


 リリィさんは様子を見てくるだけでいいと言っていたが、こりゃ即刻間引かないと大変な事になるだろう。


『システム!』


『何でしょうか? 勇者様』


『悪いんだが、スキルスロットに【索敵】を入れてくれ』


『はい……スキルスロット1番に【索敵】をセットしました』


 俺は早速【索敵】を使う。頭の中にゴブリンの巣周辺の地図が浮かぶ。


 それを見た瞬間、俺は目を疑った。


 ゴブリンの巣から王都までゴブリンの大行軍が既に開始されていたのだ。


 その数一万!


 敵を示す赤い点が大河の様にゴブリンの巣から王都まで続いていた。


 その先頭は王都まであと少し、ゴブリンの遅い歩みでも十五分の距離だった!


 うは!


 マジかよ!


 あり得ねーよ!


 なんでこんなにゴブリン湧いてるんだよ!


『ゴブリンの巣のすぐ横にゴブリンポータルが置いてありますね』


『ポータルかよ! なんでそんな物がここに?』


 ポータルとは召喚魔法陣の様な物。


 特定のモンスターをひたすら召喚し続ける魔道具だ。


 普通なら一〇〇匹も召喚すれば魔力が尽きてゴブリンポータルは沈黙する物だが、大行軍を成しえる程の数のゴブリンを召喚した後もひたすらゴブリンを呼び続けてる。


 誰がこんな事してるんだ?


 王都を壊滅させようと目論(もくろ)む魔王か?


 それとも王都の転覆を測る他国の奴らの陰謀か?


 でも、今はそんな事を詮索してる暇は無い!


 モタモタしていると王都にゴブリンが到達してしまう!


 そんな事になったら多くの人が死に、ゴブリンの巣を管理できなかったリリィさんが責任を問われて処刑されてしまう!


 それはマズイ!


 ゴブリンで溢れかえってるこの状況を何とかしないと!


 犯人を捜すのは後だな。


 俺はスキルのセットを始める。


 ここまで増えてしまったら大火力で一瞬で狩り尽くすしかない。


『悪いがスキルスロットのセッティングを頼む。1番はそのまま【索敵】で、2番から4番まで【攻撃力上昇:超】、5番を【通常攻撃範囲化:超】で頼む』


『勇者様、【攻撃力上昇】は止めた方がいいと思います』


『何言ってるんだよ。ここまで増えまくったなら、大範囲攻撃の一撃で薙ぐしかないだろ』


『そんな事をしたら勇者様が真の勇者様と言う事がバレてしまいます。それにそんな攻撃を使ったら勇者様の攻撃で王都が蒸発してしまいますよ。王都はいいにしても、吉田さんと田中君迄巻き込まれてしまいます』


『マジか! ならどうすればいい?』


『セッティングを任せていただきますか?』


『おう!』


『では……1番【索敵】、2番から4番まで【迅速】、5番【アイテムボックス拡張】をセットしました』


『これはどういうことだ?』


『攻撃すると大変な事になりそうなので、ゴブリンを捕まえましょう。【アイテムボックス拡張】を使えば範囲で物の出し入れが出来ます。この数のゴブリンを収納するだけのアイテムボックスの空きは十分あります。事態が鎮静化された後に、王都から離れたどこかの山の中にでも行ってゴブリンを処理すればいいのです』


『なるほど!』


 俺は【迅速】スキルで疾風の様に舞い、ゴブリンを捕まえまくる。


 俺が手をかざしゴブリンを片付けると念じると【アイテムボックス拡張】の効果でゴブリンはアイテムボックスの中に次々と吸い込まれる。


 ゴブリンの巣の周りの一〇〇〇匹ほどを一瞬で処理すると、王都までの大行軍も処理。


 歩みの遅いゴブリンを次々と飲み込み、三分ほどで全てのゴブリンをアイテムボックスの中に収めた。


 総数一万二千匹のゴブリン。


 まさかそんな数が湧いてたとは思いもしなかったし、俺の収納の大きさにも驚いた。


 ついでにこの騒動の元凶のゴブリンポータルも収納の中に回収だ。


 俺は事態の鎮静化を図るとリリィさんの元へと報告に戻った。

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