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クラスごと集団転移しましたが、一番強い俺は最弱の商人に偽装中です。  作者: かわち乃梵天丸
第一部 クラスごと集団転移しましたが、一番強い俺は最弱ランクの商人に偽装しました。
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冒険者ギルド4

 主な登場人物

 高山亜流人(タカヤマ アルト) 男 主人公 クラス唯一のランクE

 石川 女 口うるさい ランクD


 リリィ 女 盗賊 冒険者ギルド長の娘、俺達の訓練の教官


 吉田 女 真の勇者候補。タカヤマの友達でクラス委員 ランクA

 リリィさんがゴブリンを間引きしてゴブリン討伐依頼を達成すると、街の冒険者ギルドに戻る。


 ゴブリンは食用に使える部位が無いので報酬は討伐依頼の報酬だけ。


 戦い慣れた冒険者にとってはゴブリンの討伐依頼はあまり美味しいものでは無いとリリィさんが教えてくれた。


 でも冒険者ランクFの俺達にとってはウマ過ぎるランク報酬だった。


 冒険者ギルドで討伐依頼の報告をすると、レアモンスターのゴブリンを倒したことで特別報酬が加算されランク報酬がかなり上積みされた。


 報告で冒険者ランクがFからEへと一気に上がった石川は大喜びだ。

 

「すごい! ゴブリン討伐一回だけで冒険者ランクがEになっちゃうなんて! なんて美味しい討伐なの! もう一回行ってきてランクDまで上げちゃおうかしら?」


「じゃあ、石川一人でもう一回行って来て、ケツに焼き鳥の串を山の様に刺されて来いよ」


「うぐうぅ、あれはもう嫌よ。あの矢を刺されたトラウマで焼き鳥食べられなくなりそうなのに……」


 リリィさんがうなだれる石川の頭を撫でる。


「イシカワさんは、初めての戦闘であそこまでゴブリンから逃げられたぐらいだから、かなりいい戦闘センスしてると思うよ」


「そう? そうなの?」


 それを聞いて満面の笑みをこぼす石川。


 社交辞令を社交辞令として取れない無垢な少女である。


「うん、僕の指導通りにちゃんと訓練してくれればかなりいい線まで行けると思う」


「そっかー。リリィさんの言う事聞いてがんばるよ!」


 顔をだらしなく崩して喜ぶ石川。


 思いっきりリリィさんにデレてる。


 俺が見た限り石川の戦闘センスは皆無の様だが、こいつは褒められて、いやおだてられて伸びるタイプなのかもしれん。


 本人がその気になればそれなりに伸びるのかも。


 そんな事を思ってるとリリィさんが俺に午後の予定を聞いて来た。


「タカヤマはまだ怪我が完治して無いみたいだけど、これからの訓練はどうする? ここ一週間は基礎体力作りでFランク依頼の薬草集めと鉱石集めをメインにしようと思うんだけど、タカヤマの動きなら訓練の必要は無いみたいだし。怪我してると結構辛いと思うからやめとく?」


「そうだな……みんなの足を引っ張って迷惑になると困るから、治療とリハビリに専念するよ」


「そうか。じゃあ、彼女たちを一週間ほど僕が預かるから、いいね?」


「頼んだぜ!」


 俺はリリィさんに三人娘を任せると、俺は大神殿の自室に戻った。


 *


 自室に戻って畳ベッドでゴロゴロする。


 最初はゴロゴロする事が楽しかったが、TVもマンガも無しに丸一日寝てるとさすがに飽きて来たな。


 とは言ってもゴロ寝を止める気はない。


 気が付くと寝てしまった。


 朝になると黒マッチョが食事を運んできた。


 マズいので食わずに丸パンだけを収納にしまっておいた。


 あとで冒険者ギルドに行ってなんか食って来よう。


 訓練は一週間とリリィさんが言ってたもんな。


 さすがに一週間もゴロゴロとするだけの生活をするのは拷問に近い。


 ゲームとかマンガとか収納に入れとけば良かったと激しく後悔。


 暇だし、なんかするかな。


 街の外でも歩くか。


 でも、怪我の療養中の設定なのに街を歩き回るのもまずいよな。


 うーん、部屋の中で出来る事か。


『システム!』


『勇者様、なんでしょうか?』


『いま部屋の中で俺に出来る事は無いか?』


『出来る事ですか?』


『ぶっちゃけ暇なんだ。おまけに外に行くわけにもいかない』


『なるほどです。それならお部屋のリフォームなんてどうでしょうか?』


『リフォームか? どんな事をすればいい?』


『女の子の藁のベッドを畳のベッドに作り替えたり、勇者様の部屋の仕切りを麻のシーツから板の仕切りに変えるなんてのはどうでしょうか?』


『おう! それいいな。よし、暇だからやるか』


 ベッド作りはいい暇つぶしになった。でも俺の人間国宝レベルの技術では1つ30分、合計一時間半で終わってしまった。


 部屋の仕切りに至っては、上半分に採光用の透かし彫りまで入れたのに15分も掛からなかった。


 早く終わり過ぎだよ。


 全然暇つぶしにならないし!


 今日一日始まったばかりだし、どうすればいいんだ?


 むう。


『うーん、暇だ。もう少しショップのレベルが高ければなー。色々な物を食ったりして暇つぶしできるのに』


『ならば、ショップレベルを上げてみたらどうでしょうか?』


『上げれるのか?』


『本来は他の方と取引とかをしないとショップレベルは上がりにくいんですが、購入だけでも注文を繰り返していれば上がりますよ』


『そうか。コーラとポテチを食いたいんだがどこまで上げればいい?』


『コーラーとポテチはともにLV5ですね』


『割と低いんだな。よし! レベルを上げてみるか!』


 早速俺はショップレベル上げに取り組む。


 今はショップLV1なので出せるアイテムは以下の物だけだ。


 ──────────

 ・水 10リットル 10ゴルダ

 ・野菜 キャベツ 1玉 200ゴルダ

 ・野菜 玉ねぎ 1玉 70ゴルダ

 ・野菜 ジャガイモ 1玉 70ゴルダ

 ・下着上(ランニングシャツ) 500ゴルダ

 ・下着下(ブリーフ) 500ゴルダ

 ・木の棒|(武器) 100ゴルダ

 ──────────


 水安いな、おい!


 もしかして水買ってればあっという間にスキル上がるんじゃね?


『この水って言うのはペットボトルのミネラルウォーターみたいに飲める水?』


『はい、ミネラルたっぷりのおいしい天然飲料水です』


『ほう。これを大量に買ってもショップレベル上がるんだよな?』


『はい、上がります。システムショップは商人系のスキルの最上位スキルにあたりますので、買うだけじゃなく水を他の人に売ればさらに大きくショップレベルが上がります』


『ほほー。この世界は街の所々に井戸が有ったから、水道は引かれてないみたいだから水事情はあんまり良さそうじゃないな。飲料水なら普通に売れそうだ。ダンジョンとかで500mlのペットボトルを観光地価格で一本500円とかで売ればボロもうけだな』


『ぜひ儲けましょう!』


『大量に買うと、かなり嵩張りそうだけど倉庫にしまっておけばいいし。じゃあ10万ゴルダ分の水を頼む』


『10万ゴルダ分ですか? 一度注文したらキャンセル出来ないけど本当によろしいのですか?』


『頼む』


『注文をお受けしました』


 突如天井近くの何もない空間から勢いよく流れ落ち始める水。


 まるでそこに水道の蛇口が有るみたいだ。


 結構な勢いで水が出続ける。


 でも、これどうすんの?


 水で床がビチャビチャなんだけど?


 水ってペットボトルで出てくるんじゃないのかよ!?


『悪い、ちょっと水を止めてくれ』


『止められません』


『なんでだよ! 床ビチョビチョじゃないか?』


『先ほど言った様に、ご注文のキャンセルは出来ません』


『なんだと!? じゃあ、この水は?』


『ずっと流れっぱなしです』


『ちょっ! マジかよ! それってヤバいだろ! 10万リットルの水だろ? ちょっとした貯水池並みじゃないか! どんだけの水が流れ出るんだよ!』


『100立方メートルですね。ちなみに1立方メートルでお風呂3-4回分ぐらいです』


『なに落ち着いて単位変換してるんだよ! クラッシックの曲で魔法使いの弟子って言う魔法で水を汲んだら部屋中水浸しになるって話が有ったけど正にそれじゃないか! こんなに大量の水が溢れたら大神殿が水浸しになるじゃないか!』


『そう言われましても……』


『流れてる水じゃ、アイテムボックスに入れようがないしな。どうすりゃいいんだ?』


『桶に汲んだらどうでしょう?』


『桶なんて無いぞ!?』


『作ればいいのですよ。木工スキルで』


『なるほど』


 俺は木の棒を大量に注文して木工スキルを使い、必死に桶を作り続ける。


 バケツと同じく一杯で10リットルだから、10万リットルを組むには約1万個?


 そんなに作らないといけないのかよ!


 気が遠くなるぜ!


 俺は桶を作りながら、あふれ出る水を汲み続け、アイテムボックスにしまい続けた。


 次から次へと桶が満タンになるからトイレに行く暇も無いぞ。


『それならもう少し大きな入れ物を作ったらどうでしょ?』


『その手が有ったか!』


 俺は1.5メートル四方の木箱を作る。


 木箱だと水が漏れそうに思うが、人間国宝の技術をもつ俺の作った箱だ。


 水漏れなんてする訳が無い。


 これなら3立法メートル位の水が入るから木箱を作る時間にだいぶ余裕が出来た。


 結局、作業は夕方近くまで掛かった。


『はー、はー、はー、やっと終わったぜ』


『お疲れさまでした』


『ショップレベルはどうなった?』


『LV2に上がりましたよ!』


『えっ? あれだけ水買ったのにそれだけ?』


『はい、LV2です』


『まじかよ! あんなに水注文したのに1しかレベル上がらないって!』


『水は量としては10万リットルでも、注文としては一回ですからね。水一回分の注文にしかならないようです』


『まじか! でも一回の水の注文でレベル2に上がったんだよな? ショップレベルって結構上がりやすかったりするのか?』


『ショップレベルは木の棒の注文の方でレベルが上がりました』


『骨折り損のくたびれ儲けって奴じゃないか』


『でも、木工スキルはだいぶ上がりましたから。LV15ですよ、LV15。勇者様凄いです!』


『そっち上がっても意味ないだろ』


『てへぺろ』


 あー、腰痛てぇ。


 あー、もう立てねぇ。


 疲れ果てた俺は、その日はもう何もやる気が起きずに寝ることにした。


 ベッドまで四つん這いで歩いて横になってると、三人娘が戻って来た。


 と、思ったら、吉田さんだった。


 吉田さんが呼んでいたので俺は畳ベッドから顔を出す。


「アルト! いる? あ、寝てたのね」


「ごめん、怪我してずっと寝てたんだ。いたたた! ごめ、ちょっと痛くて立てないから起こしてくれ」


 痛いのは足じゃなく、腰だけどな。吉田さんが手を差し伸べてくれて俺は半身を起こした。


「うん、ほら起こしてあげたよ」


「ありがとうな」


「怪我ぐらい言ってくれたら神官寄こして治療したのに」


「いや、俺はランクEだから。さすがに神官さんには迷惑かけられないよ。寝てたらだいぶ良くなった」


「そう、それならいいんだけど。そそ、ここに来た用事を思い出したよ。アルト達のグループ全然終礼に参加して無いでしょ?」


「終礼? なんだそりゃ?」


「終礼は終礼よ。一日の訓練の後にレベルアップの成果とか報告するのよ」


「そんな事してたんだ」


「あんた、もう、ここ3日も終礼に参加して無いでしょ?」


「すまん」


 大聖堂に戻るのを綺麗サッパリ忘れてたわ。


 もう三日も過ぎてたのか。


 確か一日目が冒険者ギルドに行って、その後医務室送り。


 二日目が午前中ゴブリン狩りで、午後はゴロゴロ。


 三日目の今日も水と格闘して丸々部屋で引きこもり。


 大聖堂に行くとまた絡まれそうな気がするから避けてたが、さすがにちょっとマズかったか。


「ところで石川さん達は?」


「冒険者ギルドのトレーナーのとこでずっと訓練してるよ」


「ここには戻らずに?」


「そうなるな」


「大丈夫なの?」


「大丈夫だとは思うけど」


「後で様子見てきてちょうだい」


「おう」


「じゃ、終礼に行くわよ」


「俺が終礼に参加してレベルアップの報告するの? 何にもしてない俺が? 俺寝てただけだよ?」


「いいから来なさい!」


 俺は吉田さんに連れられて大聖堂の集会に参加する事になった。

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