表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クラスごと集団転移しましたが、一番強い俺は最弱の商人に偽装中です。  作者: かわち乃梵天丸
第一部 クラスごと集団転移しましたが、一番強い俺は最弱ランクの商人に偽装しました。
115/123

ダンジョン踏破コンテスト8 *

 一層への入り口はクラスメイトが殺到して大混乱だった。


 一層へと降りる螺旋階段が二メトルと狭いせいだ。


 我先にと進もうとするクラスメイト。


 背中を押され階段で転倒し、危うく将棋倒しになりそうな事故も起きている。

 

「押さないでよ!」「早く先に行ってよ!」「こんなとこで時間食っていたら先に行った奴らはゴールしてしまうぞ!」

 

 階段では罵声が飛び交っていた。

 

 *

 

 階段が大混雑している最中(さなか)、既に5層に到達しているグループが居た。鹿嶋グループだ。

 

「よし! このまま走り続ければ俺達は一位だ! いいな、お前ら絶対に手を抜くなよ!」


「はい!」


「手を抜くなと言われても、使ってるのは足ですけどねっ! あはは」


「うはははっ! 何お前、こんな大事な時に面白い事言ってるんだよ! 腹(よじ)れて転びそうになったろうが!」


「す、すいません」

 

 笑いのハードルのやたら低い鹿嶋だった。


 そして「こんなダジャレにもなってないギャグで笑えるのか?」と頭を抱える鹿嶋グループメンバー達であった。

 

 *

 

 監視員達は巨大モニターに映された混雑を見ている。

 

「ダンジョンへと降りる階段が大混雑していますね」


「一層にはモンスターが徘徊しているので安全を考えてゼロ層スタートにしたんですが、階段が狭い事を全く考えていませんでした」


「次回が有るかどうか解らないが、次にやる時は一層スタートで考えておいた方がいいですな」


 司会のマルス・ブリーズが巨大モニターの映像を先頭集団に切り替える。


「ところで今の先頭のカシマグループはどう思いますか?」


「素晴らしいですね」


「グループメンバー全員が【迅速】宝珠を揃え、速度で勝負するとは考えましたね」


「勝負の前に準備をするという発想が勇者としての才覚を見せつけていますな」


「このグループを率いているカシマは、かなり有能な知将だと思われます」


「それに比べてこちらのグループはどうですかね?」

 

 マルス・ブリーズが巨大モニターの映像を高山の調理風景に切り替えた。

 

「最初の襲撃に失敗してからコンテストを完全に諦めてる感じですね」


「うーん、そうですね。先程はタカヤマグループの勝ちへのこだわりを評価した私ですが、いきなり試合放棄とは頂けませんね。全く筋の通ってない行動です」


「まだ十分戦線に復帰できるのに諦めているタカヤマは団体行動を乱す危険人物と言って間違いないと思います」


「タカヤマって奴は最低の男かもしれません」


「おまけにあの料理が物凄くおいしそうなのが腹が立ちますね」


「異世界の肉料理なんでしょうか? 濃厚なタレを付けた焼肉はとてもおいしそうですね」


「なんで我々にあの肉料理をふるまってくれないんでしょうか?」


「ほんとタカヤマは空気の読めないクズ野郎ですね」

 

 実に美味しそうな焼肉を食べさせて貰えなかったことで口々に高山を非難する監視員達であった。

 

 *

 

 第二グループの二位三位争いは熾烈(しれつ)を極めた。


 田中と吉田のAランクグループが敵を薙ぎ払いながら疾走!


 それに町方、津島、藤浪のグループが続き、最後を荒川、秋田、青森のグループが追う。


 皆【迅速】スキルを持っていないので一進一退の攻防が続く。

 

 物凄い速度で走りながら隅田グループの秋田が叫ぶ!

 

「青森さん、町方グループの鑑定をお願い! あいつらのスキルを書き換えて足を止めるよ」


「秋田ちゃんもうやめようよ」


「なんで?」


「悪いけど、秋田ちゃんを鑑定させてもらったよ。コンテストが始まる前は50あったレベルがもうLV12じゃない! なんでそんなに下がってるのよ? 四人の【迅速】スキルを書き換えただけだからレベルは6ぐらいしか下がってないはずなのに、なんでそんなにレベルが下がってるの?」


「高山君のスキルを書き換えようとしたら抵抗(レジスト)されて上手く書き換えが出来なくて、何度も書き換えたんだ。それでレベルが結構下がっちゃったの」


「もうやめようよ。それ以上レベルが下がったら敵に絡まれたら一撃で死んじゃうよ!」


「でも、今度は高山君じゃないから一発で書き換えられると思うの」


「一発で書き換えられたとしても、3人のスキルを1個づつ書き換えたらLV9よ? レベル一桁なのよ! そんなレベルで二十層まで潜るなんて自殺行為よ!」


「でも、このままじゃ……私達入賞出来ないよ」


「入賞しても秋田ちゃんが怪我したら意味ないよ! もうやめようよ!」


「俺も秋田さんにはこれ以上レベルを犠牲にして書き換えて欲しくない!」


「解ったよ。でも試合は放棄しないから、最後まで頑張るんだからね!」


「うん!」


「おう!」

 

 *

 

 高山はスキルの書き換えを始めた。

 

『システム!』


『ご用件は何でしょう?』


『石川と香川ちゃんと長野さんのスキル書き換えを頼む』


『シンタックスエラー。決められたコマンドで指示をして下さい』

 

 こんな簡単な事も出来ないのか。


 ドジっ子だと思ったシステムちゃんがどれだけ有能だったのか今更ながらに思い知らされる。


 そう言えばマニュアルは『ヘルプ』で見れたな。


 俺はヘルプファイルに従いもっと簡素に指示を出す。

 

『石川 スキルスロット5 書き換え 【神速】 固定』


『了解しました』

 

 書き換えを続け全員のスキルの書き換えを済ませた。


 俺に状態異常耐性を追加した以外はスキルスロットは元通りだ。


 それとスキルスロットを書き換えられたら書き戻すように指示を出した。


 これでスキルを外部から書き換えられても元の状態に一瞬で戻せるから、実質書き換えられる事は無い!


 俺達の反撃はこれからだ!

 

『よし! 行くぞ! 全力疾走で二〇層目指すぞ!』


『私について来なさい!』


『頼むから石川は先導を止めてくれ!』


『なんでよ!』


『神殿から冒険者ギルドに行く距離で迷子になった前科が有るじゃないか!』


『うぐっ!』


『ここは俺に着いて来てくれ!』

 

 俺達は凄まじい速度でダンジョンを駆け抜け始めた!

 

 *

 

「残りはこの二十層のみ。既に鹿嶋グループは独走で一位でゴール。二位三位の入賞はほぼ第二グループに間違いないと思われます。現在、タナカグループが先導で、その後をマチカタグループ、アラカワグループが追います!」


「カシマグループが一位だったのは意外ですが、タナカグループが二位なのは順当なとこですね」


「む! これは!」

 

 司会のマルス・ブリーズが巨大モニターの映像を後続に切り替える。


 そこには土煙を上げて突進してくるグループが居た!


 高山グループだ!

 

「さっきまで一層でご飯を食べてたはずなんですが、どうなってるんです?」


「一体、どんなトリックを使ったんだ?」


「わかりません! 第二グループ以外はノーマークで全く監視していませんでした」

 

 *

 

 青森が後ろを振り向いて叫ぶ!

 

「何かが追って来てる!」


「モンスターか?」


「いや、これは……高山君だ!」


「なんで高山が? スキル書き換えたんだよな?」


「うん、間違いなく」


「それにしてもこの異常な速度は! 【神速】は速いな! 追い付かれるぞ!」


「わたしが止める!」


「秋田ちゃん!」


「もうゴールは目の前だし、ここで高山君を止めないととんでもない望みを言い出しそう!」


「確かに開幕に俺達を本気で殺しに掛かって来たぐらいだからな。よし! 秋田さんの守りは俺達に任せろ! 高山を止めてくれ!」


「解った!」


 ──抵抗(レジスト)

 ──抵抗(レジスト)

 ──抵抗(レジスト)

 ──抵抗(レジスト)

 

「高山君のスキルを全然書き換えられない!」


「他の子はどうだ? ダンジョン踏破コンテストは団体戦だから全員がゴールしなければゴールとして認められないから高山以外を書き換えてもいいんだ」


「わかった!」

 

 今度は一番小柄の香川のスキルスロットの書き換えをする。

 

「どうだ!?」


「ダメ! 書き換え出来てるのに全然遅くならない!」


「秋田ちゃん! 鑑定で見てたけど一瞬書き換わってもすぐに神速にもどってる!」


「どうしよ!」


「こうなったら、俺が何とかする!」

 

 荒川は斧を構え足を開いて地にしっかりと足を付け、防御態勢に!


 戦士のジョブスキル【専守】発動!


 攻撃力を捨て、代わりに防御力を増強する戦士のジョブスキルだ!


 これで突っ込み盾で受け止め足止めをしてやる!


 荒川は高山達に突っ込んだ!


「鉄壁の盾となり、小さい子の足を止め──」

 

 ──どごーん!

 

 香川の【神速】猛ダッシュをまともに喰らって吹き飛ばされる荒川であった。

 

 *


 高山グループはゴールに向けて疾走していた。

 

 本気で走っているので風圧で目を開けられない。


「よし! ゴールはあと少しだ! 気合入れて全力でゴールまでぶっ飛ばすぞ!」


「おー!」

 

 ──どごーん!

 

「ぎゃー! なんか轢いたっ!」

 

 パニくる香川ちゃん! 遥か遠方に放物線を描いて飛んでいく人影が! 香川ちゃんが誰かをはねたらしい!

 

「やべー! 誰か頼む! あの人助けてくれ!」


「うん!」

 

 長野さんは弾けとんだ人に猛ダッシュで近づくと受け止めた。


 様子を見に続々集まって来るメンバー。


 見ると香川ちゃんに弾き飛ばされたのは荒川だった。

 

「結構な怪我だけど、死んではないみたい」

 

 俺達だけじゃなく、別のチームの女の子も集まって来た。


 女の子はパニック気味に騒いでる。

 

「ごめんなさい! ごめんなさい! 足止めしようとしたら、こっちが弾き飛ばされてしまいました。ごめんなさい。ごめんなさい!」


「ごめんなさい。コンテスト中なので早くゴールに行ってください」

 

 そういう女の子達だったが荒川をこのまま見捨てる訳にもいかないので回復魔法で治療し全快にしてやろうとしたら石川が回復した。


 死にかけだった荒川がすっかりと完治する。


 おまえ、いつからそんなに回復魔法を使いこなせるようになったんだ?

 

「あ、ありがとう。俺無事だったんだな」


「無事じゃなかったわよ! あんた死にかけてたんだから回復した私に感謝しなさいよ!」


「それじゃ、俺達はコンテストに戻るから。荒川たちも早めに戦線に復帰しろよ」


「ああ、すまなかった」

 

 俺達は猛ダッシュでゴールを目指す。


 だが既に三位までは入賞した後だった。

 

 1位 鹿嶋グループ

 2位 田中グループ

 3位 町方グループ


 えっ?


 いつの間にか誰かが三位にゴールしてる?

 

 俺達は4位で入賞出来なかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ