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僕のチームが勝った。僕は、全力を出しきり勝った。
K先生が僕に近づいて言う。
「今回は勝てたね。奥さんが待ってるよ。さぁ、帰ろう」
僕は、頷き祭り会場を後にした。
数日が経って僕と妻とK先生は飛行場にいた。
妻がK先生に言う。
「また、この国に来たいです!」
笑うK先生。妻は、ちょっとお土産を見てくる、と言い、僕とK先生の二人きりになった。
K先生が言う。
「私は、あなたの国に住んでいた時に
『ストロベリー オン ザ ショートケーキ』という例えを知ったの。
あなたは、イチゴを最初に食べる、最後に食べる?」
「……僕は、最後だけど」
「そう。じゃあ、まず、あなたに私が言いたいことは、あなたの奥さんは本当にステキなヒトだわ。
次に言いたいのは、あの祭りに出る男の人に、私は、魅力を感じない。特に既婚者でない人のチームにはね。更に言うと、私が子ども時は、だいたい毎年、既婚者でないチームが勝っていたわ」
K先生は、僕にそう言って、僕をハグした。
K先生は去っていき、お土産を抱えた妻が、やってきた。僕達は、時刻通り飛行機に乗り、帰国した。
帰国した、僕達は、自宅に戻る前に喫茶店に寄った。妻がショートケーキを頼む。僕も同じものを頼んだ。二人の前に、出てくる2つのショートケーキ。
僕は、イチゴから食べて、食べ終わると彼女を見た。彼女は、イチゴを皿の脇に寄せており、最後に今まさにイチゴを食べようとしていた。
彼女は、僕の視線に気づいて少し恥ずかしそうに言う。
「私、好きなものは最後に食べるの。あなたは、先に食べるのね」
僕は、笑って言った。
「僕は、イチゴより、生クリームとスポンジが好きなんだよ。先に一番食べたくないものから、食べるのさ。
僕みたいな奴、結構いると思うよ。
この国には、たくさんね♪」
(おわり)




