第九話 結界、垂直、単純かつ疲れる・・・
ガッサガサと草木を掻き分けながら進んでいくルーオはそもそもの原因をアリストに聞いてみた。
「アリスト、お前いつのまに修行してたの?」
「・・・?」
そもそもアリストの攻撃力がふざけた威力をしていなかったならば逃げる必要も無く、森の奥で迷うこともなかったのだ。
「いや、ウェンを攻撃してたとき明らかに威力がおかしかったから」
「・・・お父さんが、護身用だ、って、・・・気闘術を、教え・・・てくれ・・・た」
「護・・・身・・・?」
「ルーオが、襲って・・・きたら、・・・ぶん殴れ、って。・・・でも、今日の朝・・・ルーオに、・・・封じ込め、られ・・・た」
「いや――、あー・・・」
(今日の朝下手したらあれでぶん殴られていたのか・・・。というか護身用どころか思いっきり攻めてたよね・・・)
今後アリストをくすぐるのは止めておこうと思ったルーオであった。
――――――――――
昼時を過ぎ空が朱色に染まり始めるころ、ずっと歩いていたアリストが突然ピタリと立ち止まった。
「どうしたのアリスト?」
「結界、の・・・端っこに、・・・付い、た」
「・・・にしても、少し穴を掘ってその上に古びたロープ1本を張ったのが結界かぁ・・・」
「目立た・・・ないし、村の外の、・・・人達にとっては、意味が・・・ある、・・・らしいよ・・・?」
アリストはルーオのぼやきに答えながら今まで歩いてきた道から少しズレた方向に向かって歩き始めた。
「帰り道ってもしかして、その結界とやらから垂直にまっすぐ歩くってやつか・・・?」
「・・・そう。暗くなる、・・・前に、早く・・・帰ろ」
「夜の森にはお化けがでるぞーてか」
「・・・お化けは、でないけ・・・ど、獣は、・・・でる、よ」
「そっちの方が現実味あって怖いな・・・」
――――――――――
「いつたどり着く」
日は沈みかけ、夜の帳が下り始めている。森のなかはすでに暗く、ルーオは帰ったら絶対怒られるだろうなと気分まで暗くなってきた頃、アリストが突然言い出した。
「飛んで、・・・いこう・・・」
「はぁ?飛ぶってどうやって?」
ビシッとルーオを指差すアリスト、ルーオはやっと言われたことに思い当たって苦い笑いがでる。
「マナ切れの時はよろしく」
一刻も早く帰りたいルーオはアリストを抱え上げると盛大に水と泥を撒き散らしながら木々の上へと飛び出していった。
2週間ぶりの更新です。
あれからただでさえ書く速度が遅いのに書けなくなっておりこのようなことになってしまいました。
次からは戻ると思います。
またこのお話はちょびっと入らなかった部分を書き足したものです。




