第2話
あの悪夢のような日から、一ヶ月がたった。
あの日から、何も変わっていない。
母は正社員で雇ってくれるところは無く、パートを毎日の様に働いてる。
父はいろいろな会社を受けてみているが、良い返事は無い。
私はというとずっとバイトをしている。
今度は、自分から変えようとしているのに、全く変わってくれない、後悔だけが残っている。 『何故、あの時、自らを変えようとしなかったのか』と。 あの日から、私は人を信用しなくなってしまっている。無意識の内に壁を作ってしまっているのだ。もう、傷付くのが嫌だからだと思う。
でも、バイト先にズカズカと踏み込んでくる野郎がいる。桃井 薫という高三の人だ。人の気持ちも知らずにズカズカと・・・
でも、そういう所に助けられているとも言えるのだが・・・ よくバイトが終わると声をかけられる。 「バイト終わった?遊びに行かない?」
「あなたと遊ぶ程、暇じゃないから、パス」
毎日、同じ会話をする。 「つまんないの〜」
そう言って、しぶしぶ帰っていく。
何故か、そんな会話に安心している自分がいた、その時は理由は分からなかった。
会話が終わるといつも通り家に帰る、でもバイト中の方が全然楽しい。
あの日から、家に居ることは苦痛にしかならなくなったからだ。 家に居ると嫌なことしか思い浮かばない。
何かが、壊れかかっている気がした。
何かが足りない、そう思った。