転生勇者の第一歩
あぁ、良い朝だ。
「今日こそは能力を確認しに行くのよ」
「……母さん、ファンタジーはもうお腹いっぱいいっぱいなんだよ」
「あら? お腹いっぱいなの? 」
ファンタジー、貴様さえ居なければ!
9歳の誕生日を迎えた人間は必ず教会に行き、神の加護とやらを賜らなければならないらしい。
そしてそれには様々な例外がある。
金を持っていない者。奴隷などだ。
そして俺。俺の様な転生勇者には必要ないのだ。
だってステータスあるし。
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名前
・ ソウマ・アカツキ
性別
・ 男
職業
・ 村人α [アルファ](こども勇者)Lv.68(16/60)
スキル
・ 剣技Lv.8(62/80)
・ 接続Lv.12(89/130)
・ オールマジックLv.78(56/790)
・ マジシャンLv.89(684/900)
固有スキル
・ パーフェクト・アタッカーLv.1(6/100)
・ ニュー・エボリューションLv.1(0/100)
・ ワード・チェッカーLv.86(842/8700)
・ワールドブックアプリシエーションLv.1(97/100)
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俺は拾われた子。
だから、名前はその時のまま。
全体の能力を言っていこう。
こども勇者
全能力の使用制限。スキル獲得確率大幅アップ。外
剣技
剣の下位スキル。
接続
接続する事ができる。
オールマジック
全ての魔法を使用可能にし、魔法の情報をいつでも閲覧できる。
マジシャン
魔法とは違うベクトルの魔法を使う。
パーフェクト・アタッカー
戦
ニュー・エボリューション
新
ワード・チェッカー
神秘の言葉を理解で
ワールドブックアプリシエーション
世
まぁ、わかったら教会必要無いし。まだわからない事は所々あるけど。
だが母さんはいつになくやる気、いやヤル気になっているからか凄くニコニコしてる。怖えぇ。
「なら、もう行きましょうか。さすがに2ヶ月も行かなかったらご近所さんに変な目で見られちゃうもの」
あぁ、嫌だ。勇者なんてやりたくない。
教会は徒歩20分ぐらいにある。
俺の住んでいるこの都市ディーバは城壁都市で、形は円形、三つの門がある。
城壁には魔法陣が埋め込まれたり書かれたりしており、壁から約50メートルのランク4以下の動けないモンスターしか入れない様になっているらしい。
門の付近には三つのギルドがあり魔法ギルド、戦闘ギルド、冒険者組合がある。教会は貴族街の付近にある。
貴族に絡まれるのは面倒だが、頭を下げ相手を無駄に煽てれば、大抵の事は何とかなる。
そんなこんなで、ただいま教会ナウ。
10ペンを払い鑑定を受ける。
ペンとは金の単位で10ペンは100円と考えたら速い。テン、ペン、テナ、ルナ、ソル、女神銀貨、女神金貨と値段がつり上がっていく。
わかりやすく言うとテン=1円、10個でペン=10円、10個でテナ=100円、50個でルナ=5000円、20個でソル=100000円、10個で女神銀貨=1000000円、5個で女神金貨=5000000円。
さて、100円払ってわかるモノは何なんですかね?
「この水晶に手を当ててください」
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名前
・ ソウマ・アカツキ
性別
・ 男
種族
人類種(隠蔽:ハイヒューマン)Lv.1
職業
・ 村人α
スキル
・ 剣技
固有スキル
なし
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しょっぼい。
俺のステータスに書いてある事と全く内容が違う。
種族ハイヒューマンってなに?
あれだろ? 女神がまた何かやったんだろ?
だって──
『あなたには異世界で勇者をやっていただきます』
「はい! 俺は普通に転生したいです! 」
『あはは、許可しません。おもしろくないし』
「なんで俺なんだよ! 今日! やっと告白してOK貰ったのによーー!! 」
『画面の中の彼女にね』
──みたいな事もあったし。
「おお! 君は騎士に向いているね、どうだい、やらないか? 」
「えぇ! いいじゃな……」
「やりません! 」
やらないか? ってあれだろ。ヤらないぜ。
「ねぇ、ソウちゃん。騎士って安定する職なのよ? 」
あら母さん。お顔が怖いですよ? ほら後ろの教会職員の人も引いてますよ?
「何かが起こったら真っ先に『お国のためー!』とか叫んで死にに行く職業なんていりません」
「そ、そうですか」
あれ、俺も引かれた。何故だ。
この後、何かあったらステータスの更新をするよう言われ、祈った後、教会から出た。
「母さん、この後どうするの? 」
「孤児院にでも行きましょうか。 朝ご飯も余っているし」
教会の隣に孤児院があり、貴族に潰された平民の子供や、貴族のいらない子供がブチ込まれる所で、本当に見てて嫌になる光景だ。
「あのー、余り物を持ってきたのですがー」
「有難うございます! ありがたく皆で食べさせて貰いますね」
捨て子の俺もここにいるはずだったのだろう。
だからだろうか尚の事嫌になる。
家に帰ると俺は、城壁の外にある森に行った。
明日から頑張ろう、の姿勢を止めて俺は--
--今日から強くなる。
目標は4年後にくる召喚型、強化勇者達を倒す。それで行く。
この勇者達にはたっぷりお返しをしなければ。俺のゲーム機を壊し、学校の全体に俺がキモオタと広め、毎日毎日、朝から夜まで可愛がってくれた奴等に復讐を。
話が変わるが、城壁にある三つの門の外は次の地域に繋がっており、一の門には推定Lv.1~10の『平原』、二の門には推定Lv.20~60の『ただの森』、三の門には推定Lv.80~170の『常闇の深林』、となっている。
俺はただの森に入り、早速『常闇の深林』へと向かった。
ここのモンスターは俺には絶対に倒せない。ただスキルレベル上げと、新スキル獲得の練習に使うだけだ。
ここには『生きる石』と『生きる岩』がいるらしい、のでそいつらを見つけて石なら持って帰り、岩ならその場で叩く。拳でな。
『魔物に訓練された召喚勇者』、そいつの日記を読んだら書いていた事に気になる一文があった。
『圧倒的なレベルの差がある魔物を倒す事、と同じレベルの魔物を倒す事、その両者には得られる『経験値の濃さ』がある、と魔物は言っていた。本当の事なのだろうか? ってか濃さって何? 』
--とのこと。
そして次の文は『竜殺しの英雄、ハリマキ』の日記。
『Lv.10の俺は死にかけながらも、仲間や友を全て失っても奴を、竜を殺した。
そして俺は国に教会に連れて行かれ、半ば強制的にステータスの更新を行われた。そこには無かったスキル、遥か上位のスキルが書き込まれ、レベルも上がっていた』
この二つを見る限り『経験値の濃さ』は本当にある事なのだと証明できる。
だからここに来た。
だが、皆さんはこう思うだろう。
鑑定なんて持ってなくない? と。
確かにその通り。なので次にスキルの説明をしよう。
スキルには、様々な種類がある。 戦闘型でも攻撃、防御、援護、など。魔法型にも攻撃、防御、援護、日常などと分けて行ける。
さらに、スキルのレベルを上げていくと物理型+魔法、魔法型+物理の二種類の派生が必ず出てくる。
話がそれたが、今回の調査には城壁に使われている魔法陣、レベル測定、生物判断、動体反射、範囲防御、硬化、コレ等の陣をオールマジックで使用する。
どれかを上げるとどれかが下がる。なのでレベル測定を80~にし、生物判断をオン、動体反射をオフ、範囲防御を体全体から1ミリ、硬化をマックスにした。
ここまでの準備が終わり、魔法が実行されたのを確認した俺は、目の前の深林に一歩、足を踏み出した。
アイザワ→アカツキに変更しました。