表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「魔王様」の定義  作者: 神無 乃愛
翔くんとルーちゃん
90/91

翔くんとルーちゃん その13


「ちっくしょう……」

 翔は旅の途中で困ってしまったのだ。

 前回と道が違いすぎる。

「せめてフィルの……」

 フィルヘイドはエーベル王国の王子だったはずだ。それを忘れていた。


 慌ててエーベル王国に戻り、五百年前の王家の家系図を見ても出てこなかった。

「勇者様」

 神官の一人がこちらに来ていたらしい。

「何をお調べですか?」

「召喚魔法を完成させた人を知りたいだけだよ」

「左様でしたか。その方はクロム様と仰る、東神殿の神官長でした」

「嘘だ!!」

 そんな名前の神官は記憶にない。

「何故、勇者様は嘘だと思われるのですか? こちらが記録です。誰が召喚されたかも全て載っております」

 ぱらりとめくり、翔は絶句した。

 約五百年前、魔族が侵攻してきたため、その脅威から国を守るために当時の神官長が編み出したとされている。

 そして、呼び出された男の名は「角川 宗二(かどかわ そうじ)」。そのあとの記述を見ても、翔の名は勿論フィルヘイドの名前も無かった。

 違う、これは違う!! 叫びたくても声にならなった。


 その前後を見ても、フィルヘイドの名前は無かった。

 確か中央の神殿で神官長をやっていたことを思い出した。


 そのまま中央神殿の神官一覧をめくっていた時、不思議な空白を見つけた。

 時は七百年前位に遡っている。まったく違うじゃないか。

――事実とはこんなものだよ、かけちゃん――

 不意に懐かしい声が聞こえてきた。

――あの頃とは違うんだ。今や魔族と人間は敵対している。理由は分からない。そして魔界に行ったことのある私は王家からも名前が外されてしまったよ――

「なぁ、フィル。俺、あっちに戻って結婚したんだ。フィルとルーちゃんを『友達』って紹介するって言ったんだぞ」

 その言葉に何も返ってこなかった。


 ただ、分かったのはあれから七百年も年月が流れてしまったこと。フィルヘイドは既におらず、墓も処分されていること。そして、フィルヘイドの母方の実家は取り潰され、エーベル王国にいないということだけだった。

「ちっくしょーーーーー!!」

 何か手がかりだけでも捜したいと、翔は思った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ