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「魔王様」の定義  作者: 神無 乃愛
翔くんとルーちゃん
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翔くんとルーちゃん その8


 結局、ドワーフに木刀を作ってもらい、それで模擬試合をすることになった。


 ただ、相手が相手なだけにすぐ木刀も壊れてしまうだろうということで、色々強化することになっている。

 そんなわけで、数日また暇になった。


 そんな時だった。アルプ族で「簪」が出来たと持って来てくれた。

「ありがと~~」

 基本的な形ではあるが、飾りに関して言えばとてつもなく分類が広い。

「あら、新しい武器ですの?」

「王妃……何しにいらっしゃったんですか?」

 急に声をかけてきた人物をあっさりとルシファーが戒めていた。

「これは髪の装飾品である『簪』です。あくまでも武器ではありませんよ?」

 そういえば、そんな使い方をしていた時代劇があったなぁ、と思い出していると、興味深そうに王妃が簪をもった。持ち方からして、なんだか変な音楽が聞こえてきそうである。

「御髪に触っていいのでしたら、使い方を教えますが?」

「構いませんわよ。うちの娘も連れてくるわ!!」

 あまりにも軽すぎるフットワークで王妃はいなくなった。

「……一応、髪飾り。こっち側にこういう玉をつけて、耳かきをつける場合もあるし、作った花で飾ったりとか、色々使い道はあるよ」

「武器としては?」

「ルーちゃん、そこに返んないでよ。……一応武器になるよ。というよりも、暗殺に用いたり、あとは護身用だったりかな? どうして一発で見分けられたのかが不思議だよ」

「当たり前であろう? 素材と使い方によっては武器と見做さらる」

「……あっそ」

「王妃暗殺阻止にちょうどよいかも知れぬな」

 さらりとルシファーが怖いことをはき、翔とフィルヘイドはあえて聞かなかったことにした。


 間もなく、王妃と王女が連れ立ってやって来た。

「……大体がこんな感じですね」

 軽く纏め上げて簪で止め、鏡を見せた。

「まぁぁぁ! これ一つで装飾具と髪結いを一緒に出来るなんて!」

 しかも武器としても使えるなんて! と騒ぐ二人に少しだけ疲れてきた翔である。

「一応、纏めたあとにさすこともできます。護身用としての使い方は俺もよく分かりませんので教えられません」

「お母様! これはこれで素敵ですわ! 絶対に夜会でお披露目しなくてはっ!!」

「その通りですわね! さて、あさっての夜会に向けて簪をいくつか新調しましょう」

「……上の部分は色んな意匠があるんですよ。なので、そこまで拘らなくても大丈夫です」

「あら、では魔王軍の軍旗模様でも作ってしまおうかしら?」

 あとで聞いた話によると、王妃の父親は魔王軍の将軍だと知った。



 かなり強化された木刀が出来上がってくると、すぐに再度の御前試合となった。


 今回は、「遠慮なしで行くぞ」と言われ、翔がかなり後悔したいたのは言うまでもない。


 力では確実に負ける相手である。前回のように奇襲は狙わせてくれないのも分かっていた。

「始め!」

 今回ばかりは攻めに回るしかない。

 俊敏さではどちらが勝つか? それすらも分からない相手だ。

 通常であれば反則が取られる技でも、今回は大丈夫だろう。そう思うしかない。

 模造剣と木刀というある意味不思議な組み合わせである。


 不思議な音がこだまする。

 片方の刀で相手の攻撃をかわし、もう一本の刀で攻撃に出ようとすれば、相手に容易くかわされた。

「くっそぉ」

 さっさとけりをつけたかったが、相手はそうさせてくれず、あっという間に消耗戦になった。

 やばい、そう思ったときには遅かった。

 右手の木刀が相手の剣で飛ばされた。

「勝負あり! そこまで!」

 翔の負けで勝負は終わった。


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