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「魔王様」の定義  作者: 神無 乃愛
「魔王様」の定義 本編
63/91

達樹が危険!?


「たたたた達樹さん!」

 闇に囚われた達樹を見たエルフリーデたちは言葉を失った。

 どんなに小さな負の感情でも大きくし、化け物に変えてしまう魔王の力。


 そして、魔界の王たる魔王の前ではどんな人間も無力なのだ。

 魔王領を統括するくらいの「魔王」であれば、神官の力で祓うことが出来る。それを遥かに超えた、神の領域。

 エルフリーデ()はその闇に向かって魔法を放つも、吸収され終わってしまった。

「愚かなり」

 魔王がこちらを見すえて冷たく言った。

「礼を言うぞ、人の子よ。余の為に召喚を行ってくれて」

「な!?」

「何のために人間如きを誑かしたと思っておる? 人の子に召喚を行ってもらうためだ。達樹をこちらの世界に呼び寄せるためにすぎぬ」

「タツキを……呼び寄せる?」

「砂漠から金の粒を探し当てたと思っておったか? 余が干渉したからこそ達樹が来たに過ぎぬ」

 悔しそうにシスリードの顔が歪んだ。

「この身体は余が貰い受ける」

「さささささささせません! たとえあなただろうと、そんなことはさせません!」

 怯えながらもエルフリーデ()が叫んだ。

「邪魔である」

 軽く手を払うかのような仕草で、エルフリーデ()とシスリードをなぎ払った。

「お前には絶望を味わって死んでもらわねばな」

 エルフリーデ()の前に魔王がふわりと向かってきた。

「姉さん!」

「エルフリーデ様!」

 敵わない、この男(魔王)に。達樹すら助けられない。


 足が震えるのが分かった。



――怖い? 深呼吸してみようか――

――「食べる」? それ誰に聞いたの?――

――よほど俺に食べて欲しいんだね――

――月が綺麗だね――

 達樹がかけてくれた言葉が、エルフリーデ()の中に残った。

「タツキ!!」

 今まで出ることのなかった声が、あたりにこだました。


「我、天界の主の元門を開く! ……きゃぁぁぁぁ!!」

「姉さん!」

「エルフリーデ様!」

 魔法を唱える暇もなく、エルフリーデ()までもが闇に掴まった。

「闇には闇で対抗します! シスリードさん、姉さんを頼みます!」

「承知した。ソルト殿! タツキを!」

「無論!」

 既に傷ついたエルフリーデ()たちが、エルフリーデ()と達樹を助けるために動き出した。

「汝のせいだ。銀の髪の娘よ。お前がいるから変に希望を持ち、助けようとする」

「わ……私の……せい」

 魔王は囁くようにエルフリーデ()にのみ呟いた。

「姉さん!」

――姉さん、私が闇を唱えた瞬間、光の小さな魔法を使ってください! そうすればシスリードさんとソルトさんが何とかしますから――

 慌てたようにエルフリーデ()が心話で話してきた。

 その言葉どおり、エルフリーデ()の闇魔法にあわせて光魔法を放った。


 ぱしゅん。

 不思議とエルフリーデ()と達樹を戒めていた闇が解けた。


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