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「魔王様」の定義  作者: 神無 乃愛
「魔王様」の定義 本編

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52/91

勝負!!


 千佳たちとも落ち合って、サキュバス領にワープした。

「気軽なもんだね」

「国交があるからな。これが人狼(ウルフ)族であれば、無理だ」

「なるほど。いいことを聞きました。とりあえずアネッサ女王に会いましょう」

「そう簡単に言うな、タツキよ。かなり気難しいお方なのだ。我よりも長くサキュバス領を治めていらっしゃるし」

「王は今年、即位したばかりなのです。本日次第ではサキュバスとの国交に差し障りが……」

 供でついて来たインキュバスが言う。

「しかも好みが煩いと父王が仰っていた。我としてはまずここに挨拶に来るのが礼儀だと思ってな……」

「それができるまで待っていたと」

「う……うむ」

 思った以上のヘタレだ、達樹以外もそう思っただろう。


 サキュバス領には数日滞在する羽目になった。女王になかなか会えないのだ。

 インキュバスの王はだんだん落ち込んでいく。だからと言って街中に繰り出すわけにもいかない。翠、哉斗、千紘だけなら繰り出して行くだろうが、今サキュバスたちを刺激するわけにもいかないのだ。

 そんなわけで、インキュバス王が毎日門前払いを食らって帰ってくるのを待っていた。

「……いい加減、俺も行こうか?」

「しかしだ……」

「俺、あまり時間かけたくないし。俺一人じゃ信用できないなら、翠兄が一緒だといいでしょ。後はバートさんとエルフリーデさん」

「エリは?」

「残ってもらう。余計なことを言われたくないし」

 千夏の問いに達樹はあっさり答えた。


 結局、達樹がやったのは門番を「色仕掛け」で落とすことだった。どうも、バートに対して好意を持っているようだったので、翠に話しかけさせた。

 門番が不機嫌になったところで、達樹がバートに声をかけ、気のあるそぶりをさせたのだ。勿論、これだけで陥落するわけもなく、さらりとアネッサの名前を出して、うろたえたところを再度、バートに口説いてもらったのだ。

 インキュバスもだがサキュバスも、「相手を真っ向から口説く」ということがないらしい。色香のみで勝負するようだ。しかも自分が色香で誘惑する前に口説かれるという行為もほとんどないと見た。

 勝機はかなりあるな、そんなことを達樹は思った。


 門番さえ許可すれば、あっという間に女王に会えた。この妖艶な女性がアネッサ女王らしい。インキュバス王の態度を見ていれば分かる。

 そして、達樹が最も苦手とするタイプの女性だった。

「ようこそいらっしゃいました。インキュバスの新しき王よ」

 あっという間に王の傍までやって来た。

「先代の王はお一人でいらっしゃったものですから、このたびもお一人でいらっしゃるのかと思っておりました」

「ち……父からはそういった話も受けず、急遽王になったもので……」

「左様でしたか。それで、こちらの人間はわたくしへの供物ですか?」

「違いますよ。アネッサ女王」

「わたくしの名前を人間ごときが呼ぶでない!!」

 うん、プライドが高いな。達樹はそう判断し、ついてきたのが翠で良かったと思った。

「人間ごとき、ですか。では勝負しましょうか」

 にっこり笑って女王に言う。

「なんじゃ?」

「俺をあなた方が一日で誘惑できたら俺の負け。誘惑できなかったあなた方の負け。勿論インキュバス族との対等な同盟と、俺たちへの協力を」

「人間に協力だと? 笑わせるでない」

「自信がないんですか? 俺たちはただの人捜しです。あなたと同じ名前を持つ、人間の女性、アネッサ嬢を捜しております」

「自信? 人間風情が笑わせてくれる!」

 次の瞬間、バートと翠に耳打ちした。

「分かった。お前に任せる。王はこちらで抑える」

「よろしく」

 そしてまた、女王に向き直った。

「自信がないから、俺の要請を受け入れられないのでしょう? 自信がおありなら、是が非でも受けてください」

「良かろう! わたくしに対しての無礼、その命で償え!」

 色香のある女性は、正直達樹はかなり慣れている。

 いい例が継母だ。


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