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「魔王様」の定義  作者: 神無 乃愛
「魔王様」の定義 本編
49/91

酒の席は無礼講で

本日四話目です! 久しぶりに筆が進んでますが、話が進んでませんOTZ

 そこから魔王領に行くのは結構簡単なのだ。実際、クンツォーネたちとの交渉の際に使わせてもらっているルートだ。

 今回も侵略する意思など最初から持っていない。どうせならアネッサ嬢を探し出して連れて帰るなり、何なりすればいいと思っている。


 しかし、大人数になればなるほど魔王領の住民を刺激するのは確かだ。

 わざとらしく酒場と一緒になっている宿に部屋を取り、酒場の一ヶ所を陣取って地図を広げる。

 この地図もアリエルにもらったものだ。

『かなり詳しいのね』

 エメラルドが驚いたように呟いた。

「そりゃそうでしょ。ただ旅をするより目的があったほうがいいだろうし。アリーさんの楽しみはこの地図書きだったと思うよ」

 この地図が信頼できるのは、今までの行動で分かっている。

「で、現在地はここ。クンツォーネさんがいた場所がここ。それから、以前やり取りしたのは、こことここ」

 一度地図を写して、そこに×印を書いていく。ここにアネッサ嬢はいない。

「それから、エメラルドさんがいた魔王領はここだね」

『!』

 とん、と指を置いただけでエメラルドが反応した。

「アネッサ嬢、ここにもいないでしょ?」

『ど……どうして……』

「俺がもしその魔王様だとして、攫ったのだとしたらその場においておかないかな。仮にアネッサ嬢が望んだとしたら、尚更そこに匿っておくのはおかしいからね」

「……お前って捻くれてるよな……」

「ありがとう。おそらくアネッサ嬢を連れてった魔王様も俺と同じ思考回路してると思うよ」

「……うっわぁ……会いたくねぇ」

 翠が顔を引きつらせながら呟いていた。

「というか、アネッサ嬢がどういう理屈で行方不明になったかが分からな……」

 周囲の魔物たちがこちらに向かってきた。おそらく、アネッサを知っているか、それ以外の何かを知っているのだろう。

「お話なら、付き合いますよ?」

 酒場の店主に頼んで、とりあえずありったけの酒を頼んだ。



「てめぇは飲まねぇのか?」

「俺下戸だし、薬飲んでるし」

 自治領でも同じ話をした気がする。

「下戸と飲むより、酒豪と飲んだほうが楽しいでしょ? 俺はただのパトロン」

 ちゃりん、数枚の金貨を酒場の店主に渡した。

「これで足りるでしょ? 明日の仕込みも出来るくらいに。来るもの拒まずでいいよ。とりあえず宴会。俺には酒分なしのもので」

「この人間の奢りだとよ! 今店主に金を渡してたぞ! 仲間呼べや!!」

 このノリでついていけるのは、達樹を除く男連中くらいだろう。千佳やエルフリーデと一緒に、酒場の片隅に逃げた。

「千夏姉って酒飲めるんだ……」

「あの子は兄さん以上の酒豪。放っておきなさい」

「エリさんも飲めるんだね」

「エリに関しては、初めて見る光景だからどうなるか分からないわよ。……何かあったら兄さんが止めると思うから……」

「結局は千紘兄頼りか……」

 エリに対してはあちらの世界にいた頃から千紘に頼っている。

「エリを見つけた時点で兄さん諦めてるから大丈夫よ。達樹はエルフリーデちゃんを守ることだけ考えなさい」

「そうさせてもらうよ」

 千佳はちびりちびりと酒を飲み、エルフリーデと達樹はノンアルコールの飲み物をもらってゆっくり飲んでいる。勿論、金貨で代金を弾んだおかげか、料理も美味い。

「で、あんたら魔王様がどうと言ってたみてぇだが?」

 酒場の店主が本題に入ってきた。

「ん~~。知り合いの知り合いが魔王様に攫われたことになってるんだけどね」

「『なってる』っててめぇ」

「俺だってよく分からないよ。知り合いが別世界から俺たちを呼んだんだし」

「ってことは、『伝説の勇者様』か?」

「違うかな? まだ『伝説』になってないし、勇者様って柄じゃないしね」

「柄じゃねぇって……」

 店主が絶句したところを見計らって、達樹は事の次第を話した。

「まぁ、正直魔族と魔物の違いすら分かってないし。どちらかと言えば、このあたりって魔界からはみ出た輩が多いのかなって思ってるけど」

「本当にてめぇは人間か?」

「種族的には人間だよ」

「俺はな、勇者様ってのが大っ嫌いなんだよ。勝手にこっちの領地を荒らして帰ってく、略奪の限りを行うと、人間領では英雄扱いなんだろ?」

 店主の言葉に達樹は笑みを返した。

「一応、魔王を倒せば勇者様らしいけどね。……為政者の魔王様を倒す気ないよ。それにいい情報をあげる。今、グレス聖王国とエーベル王国では内乱の危機だ」

「!!」

 千佳も含めた近くにいた面々が絶句した。

「事実だよ。内乱の種を撒いてきたから」

 再度地図を広げながら、次はどういう風に相手と話すか考えていた。


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