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「魔王様」の定義  作者: 神無 乃愛
「魔王様」の定義 本編

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41/91

予想通り過ぎです


 かつん、その場にいる女三人に近づいてきたのは司祭の服を着た男だった。

「リュグナン副司祭……」

 エリザベスが男の正体を口にした。

「お久しぶりでございます。エルフリーデ様」

 恭しく頭を下げた先にいたのは、銀の髪の少女。つまりはエルフリーデである。

「帰りましょう。このような下衆な場所におられては、御身が穢れてしまいます」

「あんたといる方が、穢れると思うけど? リュグナン副司祭」

 呆れ果てた声で千紘が言った。

「エルフリーデちゃんにだけ声をかけてエリに声をかけないってあたりで終わってるな。……お前が欲しいのは『闇』も使える聖女様だろ?」

「何のことですか?」

あの人(、、、)の読みどおりなんだよ、あんたは。元々エリを連れてあちらに行っただって計算外だった。違うか?」

「あちらの世界と親交があるのか?」

「あるね。翔さんとも仲がいいし」

 その言葉にリュグナンが反応した。

「翔さんの依頼でね。エリとエルフリーデちゃんを守るようにって」

「……忌々しい男め」

 翔の名前を出して、達樹の存在を知らせず誤解させること、それが達樹の言い分だった。

 ちなみに、最初に千紘が言った「あの人」は達樹のことである。そして、翔からは直接依頼を受けているわけではない。おそらくそうであろう、という憶測の元動いているだけだ。

「どこまでも私の邪魔をする男だな! あれは!!」

 リュグナンが魔法を放つ瞬間が戦闘開始の合図である。達樹がためらいもなく別場所から、もう一人の男に向かってナイフを投げた。そして、続けざまに「光属性」のナイフをリュグナンに投げる。

「伯父上!」

「ビンゴ」

 千紘は笑みを浮かべて呟いた。達樹が投げたナイフはただの光属性のナイフではない。

 その裏に、エリに頼んで「闇属性」を付加したのだ。


 投げられた相手の心の闇を増幅させるためだけに。

「私が、司祭長になるのだ! そして天界、魔界も制圧するのだ!! 私の声は絶対! 唯一神に匹敵する!」

 驚愕する騎士風の男の後ろに達樹は立っていた。

「これが、あなたの信じた『神』の声を聞くもののなれ果て。神とは一体何か? あなたはそれを考えたことはあるのか?」

「貴様……」

「欲を叶えるのが神か? 違うだろう。日々の信仰の元、敬い恐れること、これが信仰の始まりだ。それを忘れては困る」

「貴様は何者だ!」

「俺はこの国を統べる事になった王だ。安心しろ、グレス聖王国がここを攻めてこない限り、応戦することはない。ただし、覚えておけ。今後同じことが神殿側を通してでもあった場合は、遠慮なくグレス聖王国は滅ぼす。そして、それ位の力があるということだ」

 ナイフを男の首にあて、達樹は言う。

「聖女様を監禁していたのはお前達だ。そして聖女様は二人」

「……聖女様が二人?」

「そう、あそこにおられる、銀の髪の少女と黒髪の女性、二人で聖女だ」

 そこまで言うと、達樹は男から離れた。エルフリーデたちのところへ向かう。

「たたた達樹さん」

「大丈夫。千紘兄は強いから」

 戦闘に関してだけ言えば、目立たない。何せ、哉斗と翠が強すぎる。

「貴様ぁぁぁぁ!!」

 男が剣を抜いてこちらに来た。達樹はためらうことなく男の手にナイフを投げた。


 甘いかも知れないが、これで戦闘能力が落ちればいい、戦闘する気力がなくなればいい、そう思っていた。

「達樹!」

 割って入ってきたのは、千紘だった。どうしようもないところまで来てしまっているらしい。


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