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「魔王様」の定義  作者: 神無 乃愛
「魔王様」の定義 本編
28/91

空気を読んでくれ!


「ねねねね姉さんがぁぁぁぁ!!」

 エリの絶叫を無視する形で千紘たちはまた妖精(ピクシー)たちのところへ戻った。

「達樹はそこまで鬼畜じゃないぞ?」

「そそそそういう問題ではなくてぇぇぇぇ」

 パニックを起こしているエリを静めたのはシスだった。

「エリ様、少し落ち着きください」

「ででででもぉぉぉ!」

「多分エリ様が動いた方が面倒になりそうな気がします」

「ひひひひ酷いですぅぅぅぅぅ!」

 エリへの尋問は達樹とシス。操縦も哉斗とシスに任せておくのがよさそうだ。


 このとき、余計な事をいつの間にか口走っていたらしく、のちほど軽く達樹に尋問を食らうとは誰一人思わなかった。


 さて、やるべきことは沢山ある。

 その一つが移動方法である。

「そうえば、達樹の部屋にも一体妖精(ピクシー)がいたわね」

『いっいつの間に?』

「それは達樹しか知らないわよ。従女よりも質素な服を着て、鳥籠に入ってたけど」

『私たちの仲間を鳥扱いするなんて信じらんないっ!!』

 千佳の発言にエメラルドがぎゃいぎゃい騒ぎ出した。

「とりあえず、黙って。妖精(ピクシー)の件は達樹が起きたら確認するから……。

 エメラルドさん、移動方法をまず教えてくれ」

『……言いたくなくなってきたわ』

 それもそうかもしれない。

「いっそタツキが起きるのを待ったらどうだ? 僕たちが頭を悩ませて考えていることすら、タツキの手にかかればあっという間だ」

「私たちの国の言葉でね『お茶の子さいさい』とも言うわね」

 千佳が遠い目をして言ったが、その通りだと日本国籍側は思った。



 達樹が起きるまで、移動中の食物について考えていた。

「自治領の自給率をもう少しあげるしかないな」

「芋系を作れるようにしないとね。あとは雑穀類かしら?」

「出来れば蕎麦が欲しいとこだな」

「……チヒロ、チカ、すまない。もっと分かりやすく」

「シスさん、ごめんなさいね。もっと自治領内で取れる作物を多くしようって話をしてたの」

「エリザベスさん、一度自治領内で取れる食物の一覧を見せてもらえますか?」

「それなら既にタツキ様にお渡ししましたわ」

 やっぱり抱え込んでやがったか。千紘はため息と共に、今後どうするかを考えた。

「そんな話してたら、お蕎麦が食べたくなりました」

「エリ、空気読まないのもいい加減にしろ!」

 哉斗が怒鳴った。

「だだだだだって! かかかか翔さんが打ったお蕎麦は別嬪でした」

「『別嬪』は違うだろうが……。『絶品』だろ?」

「かかかか哉斗さん……、ここここ怖すぎです!」

「エリ、哉斗は普通に間違いを正しただけだろうが……お前の脳みそは小学生以下まで下がったか?」

「ちちちち千紘さんまでぇぇぇ! 私をいじめないでください」

「誰もいじめてねぇだろうが! 人聞き悪いぞ!」

 何故、こうもカオスになる? 昔もエリは空気を読まないことがあったが、それに拍車をかけ始めている。


 ぞくぅ、悪寒が……いや、半分くらいは怒りのこもった殺気だ。

「エリさん? エルフリーデさんに俺が『食人鬼』って吹き込んだらしいけど、どういうことかな?」



 そこには、起きたばかりでまだ無理が出来ないはずの達樹が、素晴らしく素敵な……、しかも恐ろしいほど冷徹な微笑みをして立っていた。


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