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「魔王様」の定義  作者: 神無 乃愛
「魔王様」の定義 本編
26/91

意識のない時の会話と、抱き枕

区切りがいいので、短めです。同時に2話投稿です


 遠ざかる意識の中、達樹はこのまま死んでしまうのかと思った。

 まだ死にたくない。

 どんな卑怯な手段を使ってでも、やりたい事がある。

――あなたは、本当は弱い人――

 ふわふわとした意識の中で、見知らぬ女性の声がした。

――そんなこと、知ってるよ――

――じゃあ、どうして強がるの?――

――そうしないと生きていけなかった。兄さん姉さん以外に、味方は少なかったから――

 聞こえる声に、達樹は赤裸々に返した。

――味方を増やす努力はしたの?――

――自分ができない事は言わない方がいい――

 何となく返した言葉に、女性が戸惑ったのが分かった。

――やっぱり(、、、、)あなたと俺は似てる――

――もの凄く、不本意だわ――

――それは光栄だ――

 いつもの癖で、達樹は嫌味を返した。

 ふわりと身体が温かいもので包まれる感じがした。

――あなたは、優しい人だ。俺とは違う――

 たったその一言で絶句するなら、達樹の交渉相手には向かない。

――あなたを治癒するのはもの凄く不本意。でもこの先あなたがいないと困るの――

――それで?――

――根本的な治癒は出来ないけど、少しでも症状は軽くする事ができるわ。だからあなたは、この先もっと長生き(、、、)が出来る――

 誰にそのことを聞いたのか。知っているのは達樹の他に、千紘しかいない。千紘がこういったことを話すとは思えないのだ。

――あなたに触れたら、流れてきただけ。皆心配してるわよ。あなたが指揮官なんだから、最後まで責任もって――

 そのつもりだよ、その言葉は起きてから言おうと思った。



 達樹が再度目を覚ました時、傍にいたのはエルフリーデだけだった。傍にいる、という点では妖精(ピクシー)もだが、()はずっと鳥籠に入ったままだ。

「助けて、くれたの?」

 助けたのは、達樹のためではない。それは良く分かっている。

「……ありがとう。エルフリーデさん」

 そう告げた瞬間、エルフリーデの顔が真っ赤になった。


 可愛い、達樹は柄にもなくそんな事を思った。ふわふわして、柔らかそう。

 思わず抱き寄せて、再度眠りについた。


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