表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「魔王様」の定義  作者: 神無 乃愛
「魔王様」の定義 本編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/91

エルフリーデの力


「兄さん!!」

 エルフリーデたちと会話している最中に、千佳が慌てたように入ってきた。

「達樹がっ!! 発作起こしたの! いつも持ち歩いてる強い薬も効かないの!!」

 とうとうおきてしまったか。いや、今までそんな発作を起こさなかったのが、奇跡だったのだ。

「すぐ行く! エルフリーデさん、エリ、悪い!」

「どどどどどうしたのですか!?」

 今の話を聞いていたのか、そう千紘はエリに突っ込みを入れたくなった。

「シスさんと千夏は?」

「シスさんは神殿側の『魔法医師(ウィッチドクター)』を呼んできてる! 千夏はエリザベスさんが呼びに行った」

 ということは、かなり危ないかもしれない。今まで無茶をさせ過ぎたと、どんなに後悔しても遅すぎた。

 つん、とエルフリーデが千紘の袖を引っ張った。

「あなたの言い分を聞いている余裕がない。申し訳ない」

 そして一度部屋に戻り、白衣と手術道具を持って達樹の所へ向かった。


 己の無力さを嘆いたのはいつ以来だろう。

 いつも達樹は苦しんでいる。


 それなのにまた(、、)自分の力ではどうしようもない。

 


 達樹のいる部屋に行くと、既に人が集まっていた。

「……にい……さん。……そこまで……」

「阿呆!」

 手術できる状態ではない。そして、この苦しみを緩和できる技量もない。何のためにここまで来たのか、分からなくなる。

「……おれ……まだ……し……い……」

 俺、まだ死ねない。やる事がある。そう苦しげに達樹が呟く。

 達樹は何度も命を狙われた。そして多種の毒。解毒剤で何度も緩和してきたが、それ以上に蓄積された毒の量が酷かったのだ。元々身体が弱かったところにそんな爆弾を仕掛けられては、どうしようもない。

 千夏もナース服になっている。二人揃って一応「仕事着」になったものの、すべき事がない。

「エルフリーデ様?」

 すっと、入ってきたので、気がつくのが遅れた。


 躊躇いもなく、エルフリーデが達樹の手を握った。


 そして次の瞬間、達樹の身体が光に包まれた。

「これが『白き偉大なる癒し』……」

 神殿側の「魔法医師(ウィッチドクター)が呟いた。


 達樹の意識がほとんどない時でよかったと、千紘は思った。


 もし、意識があったら、悪用までいかなくても、利用するという変な自信はあった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ