本心は読ませませんが?
薬を飲みながら、達樹は一つ計画通りにいったことを確信していた。
達樹にとって移動方法は正直に言えば問題なかった。エメラルド以外の妖精から方法を聞いていたのだ。
それを知らぬ振りをした理由は、エメレルドの口を割らせたかった、たったそれだけの理由だ。この先もエメラルドに「協力」してもらうには、必要不可欠だった。それを止めたのは、千紘だ。
ぱさりと、自治領内の地図と世界地図をテーブルに置いた。
エメラルドが「協力」しなくても達樹としては問題はない。鳥籠の中にいる妖精に果物を一つやる。それだけでこの妖精は喜ぶのだ。
「達樹、入るわよ」
部屋に入ってきた千佳たちが、鳥籠の中を見て驚いていた。
「既に唆し済みなのね」
「人聞き悪いなぁ」
千佳の言葉に達樹は軽く返した。
「もうちょっと、自分を大事にしなさいよ」
「してるよ?」
「言い方悪かったわ。評判も大事にしなさいって言ってるの」
そんなもの、あっという間に変わるものだ。
ばっちーん。
その音と共に、達樹の頬に千佳の平手が飛んできた。
「あんたは私たちの『弟』なの! 分かってる!? それなのに頼ってこないって結構屈辱なのよ!!」
「千佳姉ちゃん……」
「あんた一人で抱え込まないの! 憎まれ役は一人がいい? 違うでしょ!」
「千佳姉ちゃん、憎まれ役じゃないよ。れっきとした手段だ」
「大馬鹿者!」
千佳が珍しく泣いていた。
しかし、病状を知らない千佳にこれ以上言う事は出来ない。
「僕もチカの言う通りだと思う。君の悪い癖だ。そうやって抱え込むのは。
僕たちは君の身体のこと、あまり知らない。でも、この国、いやこの世界の為に色々してくれているのは分かる。だからもっと話をしたい」
シスの言葉はある意味殺し文句だ。
だからこそ、頷けない。
「タツキ、地図ばっかり見てても仕方ねぇ。動いてみねぇとな。
そういや、ドワーフある言い伝えだと、砂漠には『未開のオアシス』があるらしい。天候にそれなりに恵まれ、資源も豊富らしい。ただ、砂漠の中央としか知らせらていない」
「クンツォーネさん、ありがとう。その言い伝えが真実である事を祈るよ」
桃源郷のような場所なのだろう。
「そういえば通行証ってどうなってるの?」
「問題ございません。主力の布を魔法で強度を上げ、紐にして二度と解ける事がないようさせていただいておりますよ。あとは木に神殿の通行証の陣と方位磁石? でしたかしら、それを植え込んですぐに使えるようにしておりますから」
エリザベスからも進捗状況を聞けた達樹はすぐに次の行動に移ろうとした。
だが、それは叶わなかった。
久しぶりに常用している薬で止められない、発作を起こしたのだ。




