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「魔王様」の定義  作者: 神無 乃愛
「魔王様」の定義 本編
16/91

謎が謎を呼びますが、出来ることからはじめます

 向こう側でどれくらいの時間が過ぎているか分からないが、そろそろ大丈夫だろうということで、空間を繋ぐことになった。

 今回電話するのは千紘だ。

『もしもし?』

 そう言って出てきたのは、千紘たちの母だった。

『そちらもスピーカーモードにしてもらえないかしら』

 言われた通り、千紘は皆に聞こえるようにした。

「やっほ~~。お母さぁん」

『千夏!』

「皆元気だよ。どうせ小母さんたちもいるんでしょ?」

『えぇ。いますよ。皆さんの声を聞かせて頂戴』

 こちらでも一言ずつ皆が話す。そして向こうにいる母親連中もそれに答えた。向こう側で少し涙声なのは仕方ないだろう。

 シスが悔しそうな顔をしていた。

『あ、そうそう。お前達に贈り物があるから、受け取っとけ』

 いきなり入った男の声。そしてあまりにも唐突な爆弾発言だった。

『さっさとしないと切るぞ。早くしろ』

 何故に? そう思いながらもこちら側で強く念じる。

 そして届いたものを確認する前に、向こうで電話を切った。


「……薬学の本。結構多めに寄越しやがったな。あの親父」

 千紘は思わず毒ついた。そしてカルテのコピーと今までの処方箋。そして医学の知識の本。

 なにやらかしてんだよ、そう思ったが、他に届いたものを見て愕然とした。


 翠のところには、中世ヨーロッパの建築の本が。そして城砦をどのように作るかまで書いている本である。

 それよりも、驚いたのが哉斗の所に届いた剣と紙だ。

「……親父~~~~~!!」

 既に哉斗がきれかかっている。

「『もし、聖女の名前がエルフリーデなら色々封印されているはず。一つは、魔法耐性の無い異性を中間に挟んで清めの魔法を唱えれば解ける』……哉斗兄、小父さん何者?」

 読んだ達樹が呆れたように哉斗を見つめていた。

「そうだよねぇ。さっきといい何か知ってるよね」

「とりあえずこれ、試すしかないと思うな」

 千夏と達樹が話し合っていた。

「魔法耐性が完全に無い人間というのは、この世界にいない……タツキがいたか」

「どういうことだ?」

「魔法耐性というのは、どういった魔法が使えるかということなんだ。例えば、チヒロ。君の場合だと火と土と光の魔法が使える。これ、逆を言えば、身体がその属性に耐えられるからこそ、使えるという考えなんだよ。

 そして、この世界は魔法の恩恵を受けている。つまり耐性が無い人間なんて生まれてすぐに淘汰されてしまう。

 ただ、間違えないで欲しいのは『耐性がある=魔法が使える』ではないということだよ。耐性があって、魔力があることが魔法を使える条件だ」

「じゃあ、どうして達樹は生きていられる?」

「偶然の産物だ。僕が召喚したから、耐性に関しては僕の庇護下にある」

「なるほどな」

 おそらく偶然ではないと千紘は思う。哉斗の父親がどこまで絡んでいるかは分からないが、「魔法耐性がない」という達樹の存在を誰かが欲して、シスの召喚魔法に干渉したのだろう。

「とりあえず、『清めの魔法』とやらを頼むわ。媒介に達樹を挟めば問題ないんだろ?」

 まずは一つずつ問題を解決していくしかない。


 あの魔法陣を知る、狸小父は一体何を知っているのだろうか。


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