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神器物語  作者: 米丸
第1章 蟲狩り
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Ⅶ 黒い壁

蟲狩りが始まって大体4時間が経過。


甲虫種モンスターの数は一向に減らない。いや、減ってはいるがこちらの数も減っているためそう錯覚してしまう。


そんな中、俺はある提案をした。

内容は、俺が使える最大級の波動をぶっ放して流石に一掃とまではいかないが激減させる。というもの

常識で考えればそんなことは不可能に近く、実際に可能にすることができるとすればランクはSSSランクに匹敵する波動と実力ちからを持っていることになる、しかし、俺のランクはGランクである。

まぁ、このランクでも充分すげぇんだけどね・・・


俺と言い争った相手が俺を気に入ったらしく俺の案を受け入れ、他の皆も受け入れてくれた。

なんっつう訳わかんねぇ展開だよ畜生!



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ヒュウゥゥゥゥ・・・・・ パアン!!


退避を指示する信号花火


再び交代の時間が来て、入れ替わる。


正直この交代制はめんどくさいし、退いてる間も蟲が襲ってくるしで、効率的にはあまりよろしくない。


「そんじゃ、いっちょやってきます」


「小僧、頼んだぞ!」


「いけぇ!小僧!」


マジで小僧小僧言われてる。


俺は防壁門から炎を推進力に使い猛ダッシュをかけ、そのままモンスターの大群の前まで行く。


聖剣を召喚し波動をめいっぱい込め、地面に突き立てる。

そしてそこを中心に半径3メートルにも及ぶ波動陣が展開される。


波動陣は術を発動する上で結構大事なものになってきたりするものである。

自分が作り出したものだろうが、他人が作り出したものだろうが発動するのが簡単な術、発動するのが難しい術、いろいろある。波動陣は元々それをカバーするために造られたもので、発動する際の補助的役割を果たしてくれる。つまり波動陣を使えば、より簡単に術を発動することが可能になるという事だ。他には、杖やアクセサリーといった道具、波動具という物もある。これもまた術の発動の補助をしてくれる道具で、術を記憶させた波動陣を波動具の中に組み込むことで、更に発動が簡単になった為、昔はできなかった咄嗟的な発動が可能となった。ちなみに、術や波動陣は自分で造ることが可能である。波動陣や波動具はあくまでも術を記憶させ、補助させるものにすぎない。


「万物を焼き払う業炎の火柱」


波動陣から地を走るように多方向へ光が伸びる。


烈火れっか 爆砕炎柱ばくさいえんちゅう


ドゴゴゴゴゴゴゴゴォォ!!!


と地響きを立てながら、甲虫種モンスターの大群の中から無数の大きな火柱が火山の噴火の如く吹き上がり、多くの甲虫種モンスターを焼滅させる。いかなる生命の存在も許されぬ灼熱の火山地帯、そういう表現が似合う光景が視界に広がる。一種の絶景といってもいいかもしれない。


「なんて奴だ・・・」


「あれほどの術が使えるのか」


「無双の炎使いの名は伊達じゃねぇな」


口々に言う波動士や騎士団。

火柱はこのまま消滅すると周りは思うだろう。しかしこれで終わりではない、更なる追い討ちがある。

火柱は大規模な爆発を起こし辺り一帯を吹き飛ばしす。もちろん蟲はその大爆発に巻き込まれる。一帯は火の海となり、紅蓮世界が広がる。圧倒的破壊力を見せつけた。爆砕させる火柱、ということでつけた術名、そのままであることは突っ込まないで頂ければ幸いである。


・・・・っていうかやりすぎたかな?


以外にも甲虫種モンスターは一掃できた。


うっそ!?一掃はできないと思っていたけど、えぇ?


俺は火の海を消火しながら思った。


「小僧!よくやったな!」


「ヒュゥゥーーーー!!」


防壁に戻ると歓喜の声が上がった。すれ違いざまに肩を軽くトンと叩いてきたり、頭をぐしゃぐしゃと荒くかき回してきたり、終いには女性波動士からちょっと痛いくらいの強さで包容された。うん、ちょっとキツかった。

これらの行動は恐らく、「よくやった!」的な意味合いを持っているのだろう。さすがに包容にはびっくりした。


まさか、みんなもう終わったと思ってる?


悪いけどこのままでは終わらないのが現実。第二陣が押し寄せてくる気配が森の中からする。

凄まじく悍ましい存在。さっきまでのとは大違いの甲虫種モンスター、何が違うのか。今、ここで死んでいった騎士や波動士の血の匂いや蟲達の死骸の匂いに誘われやってくる甲虫種を喰らう甲虫種。つまり、肉食性の甲虫種モンスターが今からやってくるのだ。さっきまで戦っていた蟲とは違い好戦的な個体が多く、攻撃力もまたさっきまでの蟲達よりは平均的に上回っている。


「まだ終わっていません!次が来ます!」


俺は新たなる敵群の接近を周りに伝える。


「あ?次?なんでだ!!」


「ここにはたくさんの死骸や遺体がころがっているからですよ!!その匂いに誘われて肉食性の蟲やってくるんです!」


もう一つ言うなら、早く片を付けたかった理由はこれ。肉食甲虫が襲来する前に片付けて対処したかった。もう片付けたから結果オーライ。ここからが大変になってくる。


「おっしゃぁぁ!! 返り討ちにするぞぉぉぉぉ!!」


俺と言い争った男が言った。


「「「うおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」」」


・・・・・・この人、人を引っ張っていく才能持ってんじゃね!?


なんてことを思ってしまう程に、その場に居た人達が一斉に声を上げる。


士気も上がってるっぽいからまぁ・・・いいか


俺は俺で目の前に迫ってくるモンスターの大群に意識を集中させる。


って、さっきとは比べ物にならない数だなぁおい!!多すぎじゃね!?


目の前には視界を埋め尽くす程の蟲の大群、もはや黒い壁と言った方が最適かも知れない。

すぐさまその大群・・・っていうか壁?の中に突っ込み、再び火炎鞭を使い焼き払っていく。

蟲が大量に蠢くなかで爆炎が上がり隙間ができる。その隙間は閉じようとするも鞭の如く振るわれる15メートル近くの炎によってこじ開けられる。他の波動士や騎士も俺に続く形で壁の中に突っ込む。


うん、ホントに士気は上がっているっぽいな。けど・・・・・


「がぁぁぁぁぁぁ!!」


「ヴアァァァァアァァアアアァァァ!!」


色んなところからまた叫び声が聞こえ出す。

前よりも被害が拡大。


なんか、結構ピンチじゃね?いや俺がじゃなく他の方々が。空を飛んでる蟲もいるし・・・


バチッ!バチバチバチバチ!! ドドゴォッ!!


不意に電気の特徴的な音が鳴り、次に爆発音が続き煙が上がる。蟲十数匹が巻き添えとなり、絶命した。

煙の中に人影が見える。


・・・・・まさか


俺は直感した。誰がやったのか、どれだけの実力をもった人物なのか。

煙の中の人影が立ち上がる。手には特殊な形状をした大剣。

あの体格であの電撃を有し、更にはあの特徴的な形状の大剣を持っている人物は俺の中では一人しか思い当たらない。俺の親代わりであり恩人でもある恩師。


SSS(スリーエス)ランク波動士 雷帝 ラギ・ビライガ


「派手にやってるな、小僧」


アンタも小僧言うか!!


俺は思わず顔を引きつらせてしまう。


「師匠こそ、派手な登場ですね。それより今までどこにいたんですか?」


「ん?防壁北門だ」


遠い!!


「真逆の方角じゃないですか!!何故わざわざここまで!?」


遠すぎる!!!


「大方片付いたからな。助太刀に来たんだ、ありがたく思え」


頼もしい。でも、他に回ったほうが良かったのでは?


「あと」


ん?


「貴様が不甲斐無いようであれば殴り飛ばそうと思ってな」


こえぇよ!でも、久々の師匠との共闘になるのかな?これは。


密かに師匠との久しぶりの共闘となることに胸が高鳴っていた。

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