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神器物語  作者: 米丸
第1章 蟲狩り
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Ⅳ 和国からの参加者

王都に来てから一週間、これといった変化や出来事はない。むしろこのままこの「神器物語」が終わるのではないか?ってな勢いで何もない、至って平穏で平凡で平和だ。


だが平凡なのは良いことだ。等と適当なことを考えながら商店街を見て回っている。


「やっすいよぉ!お?そこのにいちゃんやぁ!見ていかないか?」


「今日は珍しくシーライク鉱石が採れたんだ、欲しい奴ぁ早いもん勝ちだぜぇ!!」


元気のいい声が飛び交っている。

立ち並ぶ店の品々を覗きながら歩いていると後ろから声をかけられた。


「そこのお方よ、わえと同業の者とお見受けし、道をお尋ね申したいんじゃが、よろしいか?」


なんだ?この口調は、方言か?


「はぁ・・・」


「この近くに奉行所があると思うのじゃが、道に迷うてしもうての」


「ぶぎょうしょ・・・ですか?」


「おぉっと、すまん、ここらの国ではギルドとよんでおるんだったな!」


あぁ、なんだギルドね。


この独特な口調に戸惑いながらも案内する。


「あの、聞いてもいいですか?」


「む?なんじゃ?」


「もしかして、和国からきたんですか?」


「おう!そうじゃ」


やはりか、この髪型と服装から予想できた。

頭頂で髪を束ねた独特のヘアスタイル、髷と呼ばれるもので、服装も確か和服と言われるものだった。

和国の侍と言われる人だ。


「何でまたそんな遠い国からはるばる来たんですか?」


「ぬ?この国ではそろそろ蟲狩りなるものがおこるのではなかったのか?」


「あぁ、蟲狩りですか。やはり和国にも蟲狩りの話は届いてるんですか?」


「勿論じゃ。国を挙げての蟲達との戦!武士としてはこれに参加せぬ話などないわ!」


拳を握り力強く言った。しっかしまぁ、この蟲狩りもまた有名になったものだな。


「それはそうと、名を聞いてなかったの、わえは虎太郎と申す、秋月虎太郎じゃ」


「俺はジーク。ジーク・アラウド・・・あ!付きました」


そうこう話しているうちにギルドへ到着した。


「あそこに座っている女の人に蟲狩りへの参加を伝え契約してもらえばそれで完了です」


「左様か。かたじけない、恩に着るぞジーク殿!」


さ~て、なにしようかな。いつ蟲が来るか分からないとは言っても今はまだ至る所でお祭り騒ぎ、屋台は出てるし。しかも食べ物類だけでなく武器や道具関係の屋台まで出てる。使えそうなのあったら後で買おうかな。

とりあえずこの蟲狩りの大まかなシステムを説明しておくとしよう。


蟲の大量発生の危険があるとモンスター観測隊からの知らせが入ればまず警備隊が警戒にはいり、調査騎士団が調査する。その調査の結果、蟲の大量発生と見なされれば蟲狩りの準備が始まる。

最初に防壁の固定兵器の入念な整備が開始され、次に蟲と戦うために波動騎士団を集結させる、最後に波動士の召集だ。


蟲というものは一匹や二匹はいつの間にか防壁の内側、つまり都市の中に入り込む。それを。発見した場合は支給された発煙弾を空に向かって撃ち知らせる、これが同時に合図になり、蟲狩りはスタートする。

意外と簡単なシステムだ。

発煙弾が撃たれれば、すぐさま避難が始まる。

しかし都市内は広大な広さなので一発じゃ伝わらない、その為発煙弾に気付いた波動士がまた発煙弾を撃ち知らせる、それが都市中に広がっていく寸法。さらに防壁にいる警備兵が信号弾(発砲後に音と光を放つ弾)を撃つ。これが、最終的な合図となる。

今はまだ発煙弾撃たれてないし、大丈夫でしょうという感じ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


翌日


「ジーク・アラウドという者が此処に居ると聞いてまいったぁ!」


宿のロビーに響く男の声。


「あの・・・すいません、他のお客様の迷惑になってしまいますので、大声はお控えして頂きたいのですが」

「おぉ、すまぬ。お主、ジーク・アラウドという者を知らぬか?此処にいると聞いてまいったのじゃが」


「ジークさんですか?確かに今この宿に宿泊なさってますが。なんでしたらご案内いたしますよ?」


「それは真か?ありがたい!」


長い廊下を歩いていくと中庭が見えてくる。


「あ!あちらにいらっしゃいます」


「ぬ?どこじゃ?」


「あの、岩の上で座禅を組んでる男の子です」


「おぉ!真に助かった、恩に着る!」


岩の上で丁度胸の前辺りに炎を灯し座禅を組んでいる。これは波動のコントロールの修行になる。


「ジーク殿ぉぉ!!!」


「おわっ!」


突然大声で呼ばれ、体が勝手にビクッと反応し、集中が途切れ灯していた炎がボン!と音を立てて小さい爆発を起こした。当然、俺はそれに巻き込まれ煙の尾を引きながら岩から転げ落ちる。


「すまぬ、ジーク殿!大丈夫でござるか?」


「いってぇ・・・あ、虎太郎さん」


「申し訳ない、座禅を邪魔してしもうた」


「いえ、いいんですよ。それより何故ここへ?」


「ふむ、昨日のことで礼を申したくてな」


こりゃまたご丁寧に。


「礼なんてそんな」


「手助けしてもらい、礼も言わぬは武士として許されぬ」


「・・・・・・・」


答えに困る・・・


「あ、そうだ。一緒にこの都市をまわりませんか?」


「ぬ?何故じゃ?」


「ここで蟲狩りに参加する波動士の仕事の一つです。こうしてる今も、もしかしたら蟲が入り込んでるかもしれないんです」


そう、蟲が入り込んでいないかを見て回るのもまた波動士の仕事、蟲を発見すれば発煙弾を撃ち蟲を退治。


「なるほどの。しかし、わえでよいのか?」


「はい。他に行動を共にする人もいないですし、暇ですし」


実際、虎太郎さんと会った時も巡回してた時だし。

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