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神器物語  作者: 米丸
第2章 二人の過去
22/23

Ⅸ 休日

最初の鬼ごっこから3年が経過した。現在は3段階目の鬼ごっこだ。

内容は俺に波動を使った防御をさせれば終わり、というもの。


俺は今木の太い頑丈そうな枝の上に仁王立ちしている。


「ぜえぇぇぇぇいぃ!!」


エリーはそんな俺に正面から跳躍して木剣で切りかかろうとしている。


エリーの跳んできた軌道は俺が今いる位置から飛び退いても俺が立っている枝に着地できるように考えている。

おそらく、飛び退いてもすぐにまた跳躍して追撃が出来るようにだろう。


「甘いぞ!」


俺は脚に炎を灯し、脚を枝に叩きつける。


バキッ!


俺は枝と共に落下していく。


「うっそ!?」

「バカやろう!さっさと思考切り換えろ!大きな隙になるって何回言わせんだ!」


俺は折った枝をエリーに向けて蹴飛ばした。


「しまっ!・・・・んぐっ!!」


枝はエリーに直撃しエリーは落下した。


「ぐっ!・・・」

「やれやれ、日も暮れてきたからもう帰るぞ?今日は終わりだ」

「イヤ!まだやる!」

「お前1人でモンスター相手にできんのか?できるならやってもいいが?」

「できっ・・・・!」


エリーは一瞬できると言おうとしたがやめた。

エリーは知っているからだ。鬼ごっこではまだ俺が本気を出していないことを。本気を出していない俺にボロボロに負けている。そんなんでモンスターと戦ったら駄目だ、相手は俺たち人よりも強く、手加減など知らない。エリーはそれを察したのだろう。


「・・・・」


沈黙するエリー。


「それに、お前大分疲れてるだろ?明日は休みだ。もう少し頭冷やせ」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


翌日

リーガル村


「ジークよ、エリーの修行の進み具合はどうじゃ?」

「村長」


村の酒場で空腹を満たしていると村長がやってきた。


「まぁまぁ?」

「ほう、あまり進んでないとみえるの」

「そろそろクエストにも行きたいんだけど、今の段階が終わらないと到底無理だから」

「フム、長い目でみてやれ」


分かってはいるけど、そろそろ何か依頼を受けないと金が危ない。この村から王都までの旅費すらもなくなってしまう恐れがある。


「何が何でも早めにクリアしてもらわないとな」

「ぬ?まさか手を抜くと言うのか?」

「手は抜かない。むしろ本気で行くつもり」


「ただいま~・・・ってあれ?二人してなにしてるの?」


突然のレイラのご登場。


「レイラ、ご苦労じゃったな」

「レッドウルフの討伐だったから簡単よ」

「なんだ、お前クエストに行ってたの?」

「レッドウルフの群れが現れたらしいからね。そういうジークこそ今日はエリーちゃん鍛えなくていいの?」

「今日は休みにした。たまには身体休めないとな」

「へ~、・・・・じゃぁ、今はエリーちゃんはフリー?」


・・・なにを企んでる。


「まぁ、そうなる」

「襲ってこよ!!」

「させるかぁ!」


レイラが走り出した瞬間、即座に俺はレイラの足を引っかけた。


「いったぁ!」


見事に転倒したレイラは顔面から地面に激突した。


「邪魔しないでよ!」

「するわ!ウチの子襲うな!」

「何言ってるのよ!最近のエリーちゃん体も発達してきていい感じじゃない!それに可愛いじゃん!」

「だからって何故におそうんだよ!!」


確かに今のエリーは体つきは大分大人に近づいてきた、身長も伸びて、今では俺の肩くらいまでにはなっている。


「こうなったら・・・喰らえ!」

「んな!」


レイラはライフルを取り出し、俺に向けて撃ってきた。


「少し大人しくしててね!」


そのまま走り去っていった。


チクショウ、網を射出してくるとはな・・・


「まぁ、いっか」


俺はその網を燃やして解いた。


「い、いいのか?」

「まぁ、エリーも多少の気分転換は必要だろうし、レイラは襲ってくる・・・・って言ったからね。いい機会だと思う」

「?」


俺の言葉に首をかしげる村長。


「まぁ、心配御無用ってやつ?」

「そ、そうか」





「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」




お?始まった。


遠くから聞こえたエリーの叫び声を聞き届け、俺は自分の用事を済ませに村をでた。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「エリィィィィィィィィちゃあぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

「きゃぁぁぁ!!!」


家の扉がバタァン!!と強引に開かれレイラがエリーに飛び掛かった。

エリーは咄嗟にそれを蹴飛ばして迎撃した。


「ごめんなさい!!!」

「ぐふ!・・・いいのよ。それよりかなり反応よくなったんじゃない?」

「ちょっ!鼻血出てる!!」


レイラは決め顔で言うが先ほど蹴飛ばされたせいで鼻血がダラダラと流れており、ギャグにしか見えない。


「それで?なんでそんなに凹んでるの?」


鼻血を止め、気を取り直してレイラは問いかける。


「昨日の修行でもまた上手くいかなくて・・・私自身も全然伸びてないし」

「あ、やっぱり?」

「やっぱりて・・・」

「じゃぁ、波動を交えて私と組手しない?」

「え?」

「違う相手と武器を交えるのも、たまには楽しいわよ?」


レイラはウィンクしてエリーを密林へと連れ出した。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



リーガル密林



「じゃぁ、始めるわよ?」

「お、お願いします!!」


その言葉と同時にレイラはハンドガンを両手に構え発砲。弾は無属性弾。

対するエリーは即座に氷の壁を展開し防御、同時に壁に隠れ次の術の発動を試みる。


「そのくらいの壁だったらこれで貫通できるのよ!?」


レイラはハンドガンからライフル銃に切り替え射撃。


ズガガァ!!   バキィィン


「え!?」


氷の壁は不自然に崩れ、煙を巻き上げた。刹那、何かが光るのを感じたレイラはその場から飛び退く。


ガガッ!!


氷の槍が煙に紛れ飛んできた。


「やるじゃない!!」

「やぁぁ!!!」


今度はエリーが仕掛ける。氷で造った楯と剣を手に肉薄し、剣を振るう。レイラはハンドガンで剣を撃って弾く。その衝撃でエリーは大きく仰け反ってしまった。


「あ!」

「終わりね!」

「まだだよ!!」


エリーが根性で踏ん張り、氷の楯で打撃を与える。


「あぐっ!!」

「あ!ごめんなさい!!」


エリー自身手加減が出来ていなかったことをレイラの反応を見て気付く。


「い、いいのよ!中々強くなってるじゃない!」

「また鼻血でてるよ!!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「すごいなぁ、エリーちゃん」

「なんで?」


レイラの鼻血を止血してしばらくの間、密林の崖で並んで景色を眺めていた二人。レイラは唐突に口を開いた。


「だって、修行を初めて3年でもうここまで伸びたのよ?」

「全然だよ・・・」

「エリーちゃんは私のランク知ってる?」

「中位ランクじゃなかった?」

「ブブーッ!」

「え?」


エリーが記憶していたレイラのランクは中位だったはずだ。なぜこんな答えが返ってくるのか。


「上位ランクに上がったよ!」

「え!?うそ!!」


いつの間にランクアップしていたのか、エリーにとっては予想外だった。

波動士のランクとしては下位と中位がほぼ一般的なランクと言える。上位ランクにまで上がれば、それは実力者という紛れもない証となる。エリーのように身近にSランクの波動士がいること自体とても貴重なことなのだ。


「エリーちゃんは上位ランクである私に勝ったんだよ?すでにそれだけの力は持っているってことよ」

「・・・・」

「なに?信じられない?」


エリーは黙ってうなずく。


「しかたないじゃん!!」


レイラは強くエリーの背中をたたく。たまらずエリーは咳き込んでしまったのだが。


「だってエリーちゃんの相手はジークなんだよ?Sランクってのは、簡単に言えば異常な強さと言えるからね?」

「異常?」

「そう!エリーちゃんはいつも一緒にいて、逆にジーク以外の波動士も私以外あんまり見たことないから分からないと思うけど。ジークは最早バカだからね?あんなやつに攻撃を当てろとかそういうのの方が無理だからね!?」


「その無理なのをどうにかするのがこの課題なんだよ」


「ウゲッ!」

「うげってなんだよ・・・」


噂をすればなんとやら。当の本人、ジークが現れた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「その無理なのをどうにかするのがこの課題なんだよ」


「ウゲッ!」

「うげってなんだよ・・・」


レイラが不味いものをみてしまった!と言わんばかりに苦い顔をする。


「お前、人のこと好き勝手言い過ぎだ」

「ホントのことじゃん!」


いぃーっだ! と歯をむき出しにするレイラ・・・をシカトして俺はエリーの方をみる。

歯ぐきを出すな!歯ぐきを!


「それでエリー?気分転換はできたか?」

「え?」

「え?じゃねぇよ。なんの為の休みだよ」

「あぁ・・・」

「とりあえずまぁ、明日再開するから。それまでしっかり休んどけよ?」


俺が言った途端レイラが反応する。


「エリーちゃんフリー!?じゃぁあたしと!」

「アホかぁ!!」

「ぐほぉ!!!」


俺はすぐさま渾身の踵落としを脳天に叩きつけた。

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