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神器物語  作者: 米丸
第2章 二人の過去
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Ⅳ 怒りの炎

現在俺はエリーを村に一度帰して足跡と血痕を辿ってステイン達を追いかけている。


まぁ、この足跡とかは確実に罠なんだけどね。

何故かって?答えは簡単。


今まで捕まっていないのに、今更こんな自分達の手がかりを残すようなミスをすることなんてまずありえないからだ。

そして、過去に同じように足跡や血痕が残っていて、それを辿っていったが返り討ちにあい惨殺されたという事件もある。


常に気配を探りながらそれを辿っていく。


「・・・・・・・・・」


うん、的中のようだな。足跡とか途切れたし、気配がする。


後方に二人、右方に一人、左方に一人、上方に三人、前方に五人。


徹底的に潰すつもりらしい。


しかし俺も簡単には潰されるつもりはない。師匠に対人戦闘の技術とかメチャクチャ叩きこまれたし。

あれは死ぬかと思った。


「おい、そこの君」


後ろから声かけられた。


「ここで何をしているんだい?君みたいな子供がこんな森の中にいたら危険じゃないか」


いい人のフリして近づくとは、なかなかですな。だが俺にはこいつが盗賊団の一人だとはっきり分かる。

笑顔でいい人そうではあるが、雰囲気が完全にそれだ。


「心配には及びません。俺は波動士なので」

「・・・これは失礼。下位ランクかな?」

「ハハハ・・・そう見えますか?」

「だって、普通に考えたらそうでしょう?」

「何してんだよ?クリア」


もう一人来た。


「セイス、すまないな。子供がいたから声をかけたら波動士だって言うから、いろいろ聞こうかと思ってね」

「そうかい」


さりげなく人が増えてきた。


「あぁ、彼らはわたしの仲間でね」

「へぇ・・・」

「それで、何の依頼を受けてこんな森へ?」

「それはですね・・・・」


俺は、はじめに声をかけてきたクリアと呼ばれた男の顔面を蹴飛ばした。


「あんたら盗賊団の始末だよ。逃がさねぇからそのつもりでいろ」

「下位ランクのガキが何言ってやが・・・ブゴァ!」

「悪い、足が滑った」


この一撃で盗賊団の怒りを買ったみたいだ。一斉に襲い掛かってきた。


因みにだが俺はもうすでに手足に炎を灯して強化している状態だ。もしかしたら殺してしまっているかもしれない。


剣を振るってくるがそれを避ける、避けた動きをそのまま遠心力に変えて右拳で横腹に一撃、間髪いれず顎に膝蹴り。


ヒットした瞬間に鈍い感触がした、恐らく顎の骨が砕けたのだろう。


「なんだこのガキ!」


「あ、そうだ。ひとつ言っておく」


更に一人の首に裏拳を叩き込んで首の骨を折って言う。


「俺のランクだがな」


盗賊団の攻撃を避けながら右手中指のリングに波動を込めて聖剣を召喚して言う。


「下位ではなく。Gランクだ!」


目の前の盗賊の首を切り飛ばしながら言った。


「コイツ!」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「さてと、一人は生きてるよな?」



盗賊12人をそう時間をかけることなく一掃した。


「うぅ・・・・」


お!いたいた。


俺は生き残っていた盗賊の一人のところへ歩み寄り、胸ぐらをつかんで無理やり立たせて木に叩きつけて、首元に聖剣を構える。


「ぐっ!」

「さて、教えてもらおうか?」

「な、何をだ?」

「お前らが拠点にしてるところだよ」

「お前みたいなガキに誰が言うかよ」

「ほう?」


聖剣に炎を灯し頬に軽く当てる。


「ぎゃぁぁぁ!」


ジュッ!という音と共に悲鳴を上げる盗賊。


「そのガキに秒殺されてんのは誰だよ?おい」

「ちっ!」

「それに、お前に拒否権はない、分かったか?」


「・・・・」


「分かったかと聞いてんだ!もう一度言う、拒否権はねぇんだよ。次、返事も無かったらその口からこの剣コイツねじ込んで喉元えぐる!」


口の前に聖剣の切先を構えて脅す。恐らく途轍もない殺気も感じた事だろう。若干震えている。


「わ、わかった・・・」

「それでいい、道案内しろ。嘘教えたら、体を関節ごとに中途半端にあぶっていく」


盗賊は一瞬ブルッと体を振るわせた。

因みに今の脅しの一番のみそは「中途半端に炙っていく」だ。中途半端って事は確実に皮膚を焼かれ、火傷の痛みを充分すぎるほどに味わい、尚且つ死なない。しかもそれを間接ごとに受ける。想像したくないね、うん。


「う、嘘はない。信じてくれ」

「信じるも何もないだろ?あんたが案内した先にステイン達がいなければさっき言ったみたいに各関節を中途半端に焼く。その逆だったらそんなことはしない」

「ほ・・・本当だな?」

「あぁ、本当だ」

「・・・・こっちだ」


盗賊ってのは中々に下種で卑怯だよな。

自分が助かるためだったら平気で仲間を裏切る。まぁ、所詮その程度の関係でしかないというわけか。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「お前に聞きたいことがあるんだが?」

「な、なんだ?」


あの、声が震えてるんですけど。


「猫人族の集落襲ったよな?」

「そ、それがどうした?」

「その時に何人か女性攫ったろ?」

「あぁ、5人攫った」

「その女性方はどうなった?」

「へっ!今頃は他の奴らの相手をしてるだろうよ。その内3人は昨晩死んだいったがな」

「弄びすぎでか?」

「それ以外に何がある?」

「他の2人はまだ生きてるんだな?」

俺が拠点を出るまでは・・・・・・・・・・な。もしかしたら後の2人も今頃は死んでるかもな」


なんかムカついてきた。


「な、なんだよ。き、聞かれたから答えただけだぜ?」

「あ、そう」


「お前、マジでなんなんだよ?」

「あ?何が」

「お前、どう見ても10代のガキだ。それなのに強ぇし、ランクはGだっていうし、殺気は半端じゃないし、脅し方もえげつないし・・・」

「下種にえげつないとか言われたくない」

「ゲスて・・・」


俺からすれば、お前こそなんだよって感じだ。

現在、こんな会話をしてはいるが別に盗賊コイツを拘束しているわけではない。むしろ逃げようとする事だって出来る。


逃げようとしても結局捕まると思っているのか、それとも単に馬鹿なだけか。

どちらにしても拘束しておく必要はなさそうなので楽だ。


「あ!」


なんだ?突然声張り上げて。


「逃げようと思えば逃げれるじゃん!」


声に出した時点でアウトだろ?こいつは馬鹿だった。


「他に気を逸らして逃げるか?いや、拠点はもうすぐだとかハッタリかませばいいか?いや、気を逸らして逃げよう」


ブツブツ言っているがダダ漏れだぞ?


「なぁ、この先に湖があるんだ、ちょっと休憩しないか?」


しかも実行しようとしてる。


「逃げる気だろ?そんなことした瞬間さっきも言ったが中途半端に焼いてくぞ?なんなら今その腕をやってもいいが?」

「・・・わ。わかった」


ふたたび脅して案内させる。


「ここだ」


しばらく歩いて、茂みの中に隠れて言った。


「あの洞窟か?」


見張りと思われる男が2人洞窟の前に立っていた。


「そうだ。場所は教えた、もういいだろ?」

「なにが?」

「なにがって、言ったろ?ちゃんと場所教えたら焼いたりしないって。開放してくれ」


そうだったな。


「確かに言ったが、しかし勘違いしてないか?俺は『そんなことはしない・・・・・・・・・』とは言ったが焼かないとは言ってない」


「え・・・」


盗賊の表情が固まる。


「安心しろ。地道に焼くことはしない、一瞬で終わる」


「う!うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


「火炎拳!」


炎を拳に灯して逃げようとする盗賊を殴る。それとほぼ同時に炎は火炎放射のように伸びて盗賊を吹き飛ばし焼死させた。盗賊はそのまま見張りが居るところまで飛んで行き、洞窟の壁に激突する。


「元々お前ら盗賊に情けをかけるつもりなんて微塵もねぇよ」


盗賊の焼死死体に向かって呟いた。


「な!なんだ!?」

「見つかったのか?」


見張りが動揺してる隙に手と脚に炎を灯して急加速。一人を聖剣で切り伏せ、もう一人は後ろから首に腕を回して拘束し、剣を首元に添える。


「なんだテメーは!?」

「Gランクの波動士だ」

「!?」

「ステインはこの中か?」

「答えるつもりは・・・ング!」


言い終わる前に首を絞めて黙らせる。


「拒否権はない。現在お前に対する主導権は俺が握っている。お前は俺の質問に答えるだけでいい、それ以外のことはしゃべるな。いいな?」


見張りの盗賊はコクコクとうなずいた。


「中には何人居る?この中にいる奴らで全員か?」

「頭を含め36人居る、中にいるので全員だ」

「そうか、じゃぁ、今から中に入って「見つかった、敵襲だ」と大声で叫んで仲間を外に呼べ」

「え?中には30人は居るんだぞ?・・・・へ!どうせお前は囲まれて終わりか」

「そんなもん知ったことか。大人数だということを伝えろ。じゃないとお前は焦熱、もしくは灼熱地獄を味わう」


「っ!?」


「行け」


「て、敵襲だぁ!!大人数で来たぞ!!」


叫びながら洞窟の中に入っていく


中からうっすらと声が聞こえる。煽るか。


俺は火球を数個作り出して同時に洞窟の壁に当たるようにぶち込む。

更に連射していく。火球を放ちながらトラップのための波動陣を地面に形成する。


「くっそぉ!どこだぁ!!」


来た来た。


こりゃまたゾロゾロと団体さんの御出ましだな。


先頭をとって出てきた男に火球を放つ。


「ぐえぇ」


爆発して吹き飛ばされる。


ん~33人?まだ中に居るのか、面倒だな。速やかに片付けよう。


俺は盗賊団の前に出ながら先ほど形成した波動陣の術を発動させる。


「発動 『フレア・フィールド』」


軽く詠唱すると盗賊たちの足元に大きな光の円が出現しそこから炎が噴出して、盗賊たちを完全に囲んだ。


フレア・フィールドは俺が作った術で、相手を炎で囲い込むという単純なもの。この術の炎自体の殺傷力は低いがかなりの強度を誇り、この外に出ようと攻撃しても炎に弾かれるため出ることは不可能だ、つまり俺以外の者は出ることはできない。外からは誰でも入れるようにすることも、入れないようにすることも俺の意思次第で出来る。例外として俺より強い者(主に師匠)は出ることが出来る。


・・・・というより、あっけなく壊されたという苦い思い出がある。


因みにだがこの術を作った理由は、俺が戦いやすい環境を自分で作りたかったからというのが大きい。

炎だったら、自然の炎でもそれなりに操れるしね。他人のはまだ難しいけど。


「ぎゃ!」


「あがぁ!」


「!なんだ!?」


突然の襲撃に動揺しまくりの盗賊たちを、炎に身を隠しながら迅速に切り伏せていく。

火球を飛ばし、火炎放射で焼き、殴り飛ばし、蹴飛ばし、切倒す。


攻撃をした隙を突くためか、1人を蹴飛ばした瞬間に2人斬りかかってきた。姿勢を低くして回避して、その状態のまま2人の足を蹴り転ばせて斬りつける。今度は後ろから6人同時に来た。人と人の隙間を抜けて一番後ろにいた男に肘打ちをかまして炎槍を5本つくりそれを飛ばす。肘打ちを喰らった男以外の5人に刺さり爆発して肉片が飛び散った。


残り10人ほどになったところで思った。


そういえばステインの姿が・・・


外を見ると他の盗賊とは雰囲気が違う男が1人後ろに2人の取り巻きを従え立っていた。

立ち去ろうとしている。


させるか!


残りの盗賊を片付けて、その3人のところへ跳躍する。


「よう、あんたがステインか?後ろのは何だ?」


着地して睨みつけながら問いかける。


「あぁ、俺がステインだ。後ろの2人は幹部といったところか?」


「そうか・・・」


言いながら足に炎を込める。


「よ!」


跳躍するように肉薄して2人のうち1人を斬り捨てた。


「なに!?」


更にもう一人に聖剣を突き立てる。


「ぐぅ!」


ち!ギリギリで受け止められた。


「ステインさんはここから離れてください」

「必要ない、このガキはお前が片付けてくれるんだろ?」

「・・・・そう貴方が言うのであれば」


押し返された。


キィン! ガキ!


激しく剣と剣がぶつかり合う。


俺は右側から横一文字に振るうが、バックステップで回避された。相手はそのステップの勢いを殺さずに肉薄してきて、剣を振るってくる。


いなし、受け止め、回避し、振るう。


お互い一歩も引かない連続攻撃。


炎柱えんちゅう


相手の目の前に火柱を立てる。


「ぐっ!」


ひるんだ隙に火球を放つ。しかし、ギリギリで回避のために跳躍した。俺は炎を推進力に加速して着地地点に構える。


「しまっ!」


「終わりだぁ!」


聖剣に炎を灯して一閃。


相手は斬り焼かれ、絶命した。


「・・・・ほう?」


ステインはまだ、その場に居た。


逃げる必要は無いと言っているかのごとく。


「ステイン、最後はお前だ」


再びフレア・フィールドを発動させる。


「灰になってもらう」

「なかなかに面白いガキだな。お前はバラして、さらして、見せ物にしてやんよ」


刹那


お互いの剣がぶつかり合い、火花を散らした。

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