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神器物語  作者: 米丸
第1章 蟲狩り
11/23

ⅹ 卵駆除

波動士10人で構成された甲虫種モンスター討伐隊。


いや、実際には討伐隊とかではないし、駆除の標的は甲虫種モンスターではなく、その卵。

完全に俺の遊びです。まぁ、チームではあるかな?うん。


そんなチームが複数。

俺と師匠と虎太郎さんは別々のチームになった。


現在地は王都の東側にそびえるフミラ山の樹海の結構な奥深く。

ここに来るまでに20回近くも蟲たちと交戦した。


「チィッ!まだ卵とか巣とか見つけれてねぇってのに、もうこれで何回目だよ!」


訂正、交戦は現在も行われている。

木の上から襲い掛かってきたり、地中から襲ってきたりで大変だ。幸いなのは周りのカバーがあったり、それなりにランクが高い人が四人程度ではあるが居たりでまだ死者がいないことかな?

俺も火災を起こさないように頑張って蟲を倒していく。


「これも蟲狩りに参加している俺らの役目っていうか義務なんだから、やらなきゃいけないだろ?」


蟲を殲滅し一休み。


「ハァ ハァ・・・そりゃそうだが」


息を切らしながら言う。


「こんなにきついとは思わなかったよ」


「ハッ。お前参加したことなかったの?」


「! 悪いか?」


「いんや?」


うわ~、意味深な否定だなおい。


なんて思いながらその会話を聞いていたら視界の端に何かを見た気がした。そこを見ると、白い物体が木にへばり付いている。


「あ、蟲の卵だ」


白い糸で作られた繭に覆われた卵を発見し、そう言葉を漏らしたとき2~3人が反応した。


「どれだ?」


「え?あれです」


木の上を指差す。その先を見て引きつったような表情を浮かべる。


「デカ!」


でしょうね、甲虫種モンスターの卵ですし。


「キモチ悪いな・・・」


でしょうね、あれだけ大きければ。


「破壊したら色々飛び出しそうだな。オエ・・・」


でしょうね。「オエ」て、いったい何を想像したんですか?


「でも破壊しないといけないよな」


「あ、こういうタイプの卵は火に弱くて燃えやすいので、こうすれば」


俺はすぐに炎を灯し、火炎放射。


ゴウゥッ!


木もろとも焼き払う。


「この通り。簡単に燃えます」


「なるほど、よく知ってんな」


「前回も参加していたので」


ここにある卵はどうやらこれ一個だけのようで他は見当たらない。てことで移動開始。

しばらく歩いて、ふと誰かが呟く。


「結構な奥まで来たみたいだな」


その言葉が発せられた理由は簡単、目の前には蟲の卵がかなりの数存在。ここまでくると正直キモイ。

各々が卵の駆除に入る。周りからはグシャァ! とか、グチュゥ!とかそういうグロい音が引っ切り無しに聞こえてくる。俺は火炎放射で焼滅を図る。


「ギギギ・・・」


頭上から聞こえたそれは、とても小さな鳴き声であり微であったが聞き取ることができた。蟲の鳴き声だ。

恐らくここらにある卵の親だろう、蟲の中には卵を守る個体も存在する、これもその一体であろう。上方を見ると網が張ってあり、他の蟲の死骸が絡みついている。その死骸は、体の水分を全て吸い取られたように干からびている。

この蟲は体内で生成される糸を使って巣を張り、獲物がそれに掛ると今度は直接糸を獲物に巻き付け拘束して食す。

ガサガサと音を立てて登場したのは、クモ型の甲虫種モンスター オオコガネ と言われる腹部が黄と黒の縞模様で大変不快で気持ちの悪い蟲。大きさは大体5~7メートル。ぶっちゃけ、蜘蛛は苦手。


糸で作られた巣に絡み付いている蟲の死骸は勿論、オオコガネの食べ残しと言える。


蜘蛛は顎と胃がない。かわりに、突きたてた牙の先端から獲物の体内に消化液を送り、内側から身体を溶かし、しゃぶるように吸い尽くすというなんとも嫌な食べ方である。ましてや生きたまま溶かされると考えるともう、本気でいやだ。


炎針を更に応用した炎槍を発動する。

それをオオコガネに向けて投擲、見事顔面にヒットし、頭部から腹部に掛けて貫き内部から焼く。オオコガネはズシンと音を立てて落下。そのまま沈黙し体外にも火が出て燃え朽ちる。


ちなみに、甲虫種モンスターの弱点属性は主に火属性か雷属性。その弱点を付けば簡単に倒せる。

例外もいたりするけど。


オオコガネを焼いていた火が近くにあった卵に引火し卵は焼失、一石二鳥。


しばらく卵の駆除をしていて気が付いたことがある。それは、ここの卵の数が半端ではない。さっきから場所はほとんど変えずに卵の駆除を行っている。しかも蜘蛛型甲虫種モンスター以外の卵は発見されず。


まさか蜘蛛型の巣の密集地帯か?


公園や広場などで一定の場所に何匹もの同種類のクモが巣をつくってクモの巣マンション状態になっているのを見たことはないだろうか?

これはそれと似た状態と言っていい。蟲の場合はこうなると無限に湧き出てくるかの如く出てくるので一苦労。周りに多数の微かな気配を感じ、一番近い一本の木に炎槍を4本ほど発動しそこに向けて飛ばす。

するとドスドスドス!と何かに刺さる音がした、音の感じからして木に刺さったのではない。


「ギイィィィイ゛ィィィィィィ!!」


直後に蟲の奇声。奇声が上がってボトッと落ちて燃える。オオコガネだった。


「ここはオオコガネの巣の密集地帯みたいだな。周りに微かだが結構な数の気配がするのをお前も感じてるだろ?」


そう問いかけてきたのは肩に大きなライフル銃を担いだ男。白髪が目立つ渋めのオッサンという印象だが、なんだ?この異様な威圧感は。


「・・・なんで俺なんです?他にも気づいてそうな人いますよ?」


「いや、気配を感じてからお前だけが動きが変わった。それにさっきから卵を一切破壊しようとせず、蟲を仕留めていた」


そこに気付くなんてな・・・やはりこの人、相当な実力者だ。


俺は蟲が他の波動士に襲いかかる前に倒そうと気配を探っていた。だから、動き方も変わっただろうし、卵はまぁ、他人任せってやつ?


「面白い奴だな、気に入った。自己紹介をしよう、ゼオン・クラナ、ランクはSSツーエスランクで三銃士の一人だ。二つ名は「究極の一撃アルティメットショット」だ。俺の技からきてるのが気に入らないけどな」


実力者だとは思っていたけど、まさか三銃士とわ思わなかった。しかもゼオンっていったら三銃士の中でも一番の火力を誇る男だ。攻撃力では三銃士の中でも世界の銃士の中でもゼオン・クラナの右に出るものはいないと言われている。火力では・・・・世界最強の銃士だ。


「俺はジーク・アラウドです。ランクはGGダブルジーランクです。術とか使いますけど剣士です」


「ほう、ほんとに面白い奴だな。とりあえず、蟲共を排除しようか。さっさと済ませて次の仕事に行きたいのでね」


言いながらゼオンはライフル銃を肩からおろして構える。長さは銃口部分から銃床までで大体、人の肩辺りまでくる長さ。形状としては、銃床に拳より少し大きいくらいの水晶が埋め込まれており、少し膨らんだようになっている。銃身は波動のチャージに使うのであろう撃鉄が銃の右側に付いていて、銃身の上部には遠距離射撃の為かスコープが付いている。


「あそこが多いな」


ゼオンは銃口を向けながら言う。俺もかなりの数の気配を感じている方角だ。


「俺が「究極の一撃アルティメットショットと言われる所以の一部を見せてやろう」


「え?」


銃床の水晶が激しく光り出す。


この水晶は波動石と言われる水晶で、人と同じように属性がある波動石もあれば属性が無い波動石もある。さらに波動石は使用者の属性に関係なく石が有している属性の波動を発生させる。例えば水属性の波動を持った波動士が炎属性の波動石を使えば炎属性の波動を発動できるといった具合だ。主に銃士が対峙するモンスターの弱点属性に合わせて使用したり、術士が他の属性の術を発動したりするために使っている。最近では剣に水晶を埋め込め、それを取り換え可能にして他属性の波動を発動して戦う剣士も現れている。


ゼオンの波動石の光がより強くなり、大気をビリビリと振るわせる。伝わってくる波動の強さがゼオンの強さを物語る。


「銃士の中でもこれを使える者は少ない、銃士の必殺技とも言える」


ゼオンが足に力を籠め、踏ん張る。


「フルバースト!!」


次の瞬間、ゼオンのライフルの銃口から高出力の波動弾が放たれる。これはもはや銃弾ではない。その弾道上にあるものは全てをなぎ倒さんとするエネルギー体。地面をえぐり、木々をなぎ倒し、蟲を消滅させる。更にエネルギーを放出しながら向きを変える。


「ちょ!掃射!?みんな!彼の後ろへ!!」


俺は叫んで呼びかけ、その様子を見守る。ゼオンを中心に円を描くようにあらゆるものが消されていく。


「くっ!・・・ふぅ・・・」


半周してそれは終わった。


「こりゃすげぇな・・・」


卵も蟲も、前方180度にあるものは全て消し飛んだ。


ってやりすぎじゃね!?


なんて言ってしまいたいほど容赦のない一撃、爆砕炎柱くらいかそれ以上ではないだろうか。正に究極の一撃アルティメットショト


ただ一つ心配なことが。


「これだけ広範囲の攻撃で他のチームの方々を巻き込んでたりとかはしてないですか?」


ゼオンは少し考えて言った。


「多分大丈夫だろ」


おい!!!?

多分でいいのか!?巻き込んで一緒に吹き飛ばしてたらどうすんですか!?


「冗談さ、そこまで広くない射程で撃ったから、他のチームに被害はないはずだ。範囲は大体百メートルくらいかな?」


それならいいんだが・・・


「とりあえず、開けた場所も確保できたわけだし。ちと危険もあるだろうがここらで野宿するか?」


あ、そういえばそういうことになっていた。


卵駆除で森に入っている間、ある程度の卵が駆除できるまでは森の中で過ごすことになっている。なっているというか必然的にそうなる。

何故なら、卵は基本的に森の奥地に産み付けられる。その為駆除するには時間をかけて奥地に入ってこなければならない。日が沈もうとする度に森を出ていたらそれこそ時間と労力が無駄になり、卵も駆除できないままになってしまう。そこで森の中で少しでも安全な場所を探しそこで野宿するという方式が取られた。1チーム10人かそれ以上なのは、戦力と夜に見張りをする人数を増やす為らしい。ランクが高い波動士が1つのチームに固まらないのも、ギルドと騎士団がチームを割り振るのも力が偏らないようにしているためだ。生存率を上げる為といってもいい。


ゼオンが言ったように開けた場所は目立って危険もあるが、見晴がいい為見張りもしやすく、木の上から蟲が振ってきてグシャリ、パクン、なんていう展開の危険も回避できる。


折れた木をベンチ代わりにして焚き火を中心に俺を含め10人ほどの波動士がいろんな話をしていた。


前回の蟲狩りの話や、自分の経験談や失敗談。ほんの少しではあるが、それは1ミリ程かそれ以下かもしれないが、安息の時となる。


各々が持ってきた食糧やどこからか草食種モンスターを狩ってきて肉を剥ぎ取りそれを焼いてみんなにふるまいながら空腹を満たした。


「なぁ、これから誰がこのチームに指示を出していくんだ?」


それは誰かがふと漏らした一言。本人からすればほんの些細なことで、すぐに決定するものと思い言ったことなのだろう。まさか、揉め事になるとは思いもしないで。俺も思っていなかった。


「じゃぁ、それは俺が仕切る!」


「はぁ?お前にゃ無理だ、違うやつがいいね」


「あぁ?じゃぁテメェがやんのか?あ?」


「俺じゃねぇよ!」


「待てって二人とも。喧嘩はよしなって」


「いきなりしゃしゃり出てくんじゃねぇよ」


「なんだと?コラ」


「あ?やんのか?コラ」


「上等だ、かかってこいよオラ」


あ~あ、始まっちゃったよ・・・血の気の多い人もいたものだ。


掴み合いと取っ組み合い。正直見ててハラハラする。じゃぁ止めろよ!って話なんだが、勢いがあってここで止めようとしたら巻き添え喰らうのがオチだ。

止めれなくはないけど力ずくになるから嫌だ。


「言うけどな、お前だってしゃしゃり出てんじゃねぇかよ!何が「じゃぁ、俺が仕切る」だよ。人の事言えた口か?」


言ったところで隣に座っていたゼオンが


「チッ!」


と舌打ちをしてライフルの銃口を上に向け、銃床をドン!と地面に叩きつけるように置き、ガコンと撃鉄を引いて弾を込めた。


波動弾以外の弾も使えるんだ。


なんて思いながら見てる前でゼオンは引き金を引いた。


ガオォォォォォォォン!!・・・・・・ォォォォォ・・・ォォン・・・・


「「「「!!!!!!」」」」


どこまでも響いていく銃声。木に止まっていた鳥たちが驚きバササ!と飛び去っていく。その音は場の空気を一瞬で沈黙にさせた。


ガコン!と撃鉄を引く。薬莢が飛び出し、キィンと地面に小さな金属音を立てて落下した。


「お前らなぁ。そんなくだらないことで揉めてんじゃねぇよ。誰が指示するとか仕切るとかどうだっていいだろ?大切なのは如何にしてこの卵駆除を終わらせるか、蟲狩りを終わらせるかなんだよ」


うん、ご最もだな。


「そんなにそれが大事なら、俺とジークがやる」


うん、そうだな。


・・・・・・・・・・・・


ん?



まてぇ!!


「お、俺も!?」


「お前も適任だと思うんだがな」


「いや、やめときます」


「はっはっは!いやか、まぁいい。俺が指示をするが意見があるものはいないか?」


少し見渡す。蟲と卵を一掃した一撃と無理やり黙らせたあの音もあってか、実力者であることは理解したのか、挙手が無いため文句はないのだろうと判断。この場はそれで終わった。

神器物語を読んでいただき、ありがとございます。


蟲狩りも卵駆除に入り、間もなく終わりを迎えます。


まだ、どのようにして終わるのか考えていないのが現実なのですが(笑)

頑張って蟲狩りを終わらせ、次の章に行きたいと思っています。


蟲狩りは後何話なんでしょうねww

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