素晴らしい発明品
「私の所へ来てくれ!新しい発明品だぞ」
ある日の朝、Y氏に親友のS博士からの連絡が来た。今日は大切な日なので準備していた所だが、あいつはすぐに来ないとすねてしまう。仕方なく行くことにした。
山の上にある小さな小屋、それが彼の研究所だ。さっそく中に入ると快く出迎えてくれた。きっと発明に没頭していたのだろう。目にはくま、ヒゲはぼうぼうだ。
彼に促されるままソファに座る。
「さっそくだが、何を発明したんだい。」
彼は僕が持ってきたコンビニのおにぎりをほうばりながら言った。
「それだよ、そこにあるシール」
「へー、これがかい。どんな発明品なんだい。」
すると喉が詰まったのか水を飲んで
「君も車で来たなら信号があっただろう。赤になるたび、うっとうしくなかったかい。」
「まあ、そう言われてみれば」
「だろー、そんな時にそれだ!それは、自分が走る信号をすべて緑にしてくれる。つまり、ずっと止まらずに走り続けられるのさ。」
するとY氏は立ちあがった。
「それを僕にくれ!おにぎりを何個でも、いや金だってあげるから」
「まあまあ待ってくれ、別におにぎりがほしいわけではない。それに、まだこれは試作品なんだ。そして車用にしか作っていない。が、私は車の免許を持っていない。」
「ということは」
「だから親友の君にこの試作品を使って、感想を聞かせてほしいということだ」
「ああ、もちろんだ!」
その日の夜、Y氏は恋人とドライブをした。Y氏はこの日のために、仕事を頑張り指輪を買い、2人の思い出のレストランを予約した。そして今日は親友から素晴らしい発明品をもらった。おかげで信号なんか気にせずに、気持ちよく夜の綺麗な街を走り抜けることのできる。あとは、彼女の好きなドライブをして、レストランでプロポーズをするだけ。
そんなことを考えていると、彼女が話しかけてきた。
「ねぇ、もし信号で止まったら。話があるの。」
彼女は隠しているつもりのようだが、手の中には青い指輪ケースがあった。




