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妹の学費欲しさに身代わりとして後宮に入ったら王太子からの思わぬ溺愛が待ち受けていました  作者: 西瓜太郎


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とりあえずはどうにかなりましたが、ほんの一瞬先延ばしにしただけにしただけで根本の解決にはなっていないのです。こうなってしまった以上お嬢様に後宮に来ていただいて、入れ替わるという方法が一番良い解決策な気がします。というよりこの方法しか思いつきません。


私は急いで手紙を書き始めた。レイスチャー家を正室として迎え入れたいという申し出のお話、あと一週間後にまた皇太子様がお渡りになるということ、後宮に来ていただいて入れ替わり関係を元に戻すしかないということを急ぎ便せんに書き連ねました。


早馬便で出したため明日にもお返事をいただけるだろうと思い少し気持ちが落ち着いてきました。



手紙を出した次の日には、レイスチャー家の家紋封蝋がされた手紙が届きました。

しかしその内容は驚くべきものでした。


麦の研究は今良いところまで来ており、手が離せる状態ではない。そもそも正室になったら研究などもうできなくなる。そんなのごめんだ。だから父を王太子様のもとに上奏に行かせたが、説得がうまく行かなかったら本当に正室になってもらうかも。


このような内容が書かれておりました。

「そのようなことを言われましても、私教養やマナーなんてできませんし」

そばにいたカナに語りかけると

「お嬢様は昔からハチャメチャなところがありましたからね。あきらめるしかないですよ、ミミ殿」

私は頭を抱えてしまいました。もうこうなったら伯爵の上奏に期待するしかないということらしいです。


不安な気持ちのまま一日を過ごした。その後1週間なんの音沙汰もなく安心しかけたタイミングで旦那様が宮へいらっしゃいました。


すぐさま宮の客間に案内をし、カナにお茶の準備を頼んだ。

「早速本題に入るのだが、王太子様の決意は硬いらしく、上奏も聞き入れてはくださらなかった。そしてこのままでは、どうしようもないとこれまでのことを正直にお話した。」

「すべてでございますか」


「ああ、身代わりのこともすべてだ。王太子様はお怒りになることなく、現状の領地の問題などがあるにも関わらず、この後宮制度で迷惑をかけたと逆に謝罪されてしまった。」


王室を欺いた反逆罪で極刑となっても文句は言えない中、穏便に済ませて下さった王太子様のお心の深さに驚きました。


「これから私たちはどうなるのですか?」

そう旦那様に問いかけたその時

「君にはここに残り続けてもらう。」

扉の向こうからどこかで聞いたことのある、声が聞こえてきました。そして扉から王太子様がいらっしゃいました。私は驚きのあまり固まってしまい、旦那様が席を立ち挨拶の姿勢をとっているのを見て、漸く急いで同じようにお出迎えの礼を行いました。


一通りの流れが終わり、王太子様と伯爵そして私という形で再度話し合いが行われることとなりました。

「そして先ほどおっしゃられていたのはどういった意味でしょうか?」

「今回この件を不問にする代わりに、僕からいくつか提案をさせてもらった。今のまま君を後宮に残し、レイスチャー家で養子とし、正室候補としてこの宮へ残ってもらう。もちろん伯爵は快くこの提案を受け入れ合意してくれた。」

旦那様も王太子様の隣で深く頷いていらっしゃいました。


ただ私にはそんな役目はできないと思い、正直に今の気持ちをお伝えしました。

「このようなご温情をいただき感謝してもしきれません。ですが私は今まで平民で使用人として生きてまいりました。マナーや教養がございません。どうか私を正室として迎えるということはお考え直しください。」


「マナーや教養はこれから身につければよい。それに一生正室として過ごして欲しいわけではない。」

私が意味が分からないという表情をしていると、王太子様は今の後宮を取り巻く問題について昨晩より詳しく話を聞かせて下さりました。

かなり国庫を圧迫している状況にある後宮の解散をするには、大臣たちを納得させる大義名分が必要であるということ。そのためにレイスチャー伯爵家の長女を正室にしようとした。

次の日に慌てたレイスチャー伯爵の上奏により現状を知り、考えを変えたそうだ。


そして3日間考えた結果、後宮解散の大義名分として正室選定を行うこととしたらしい。

ただ選定の候補として挙げられるのは、宰相であるシュタイン公爵家やその分家の者が大半だそうだ。シュタイン家は建国当初からこの国の宰相を輩出し、この国の政治と深く関わり、強い影響力を持つ家だ。よく言えば伝統を重んじ、悪く言うと古い考えに固執し、王太子様が進めようとしている貴族改革へ強く反発しているとのことだった。もし正室としてシュタイン家の者を迎え入れてしまうと、王家の力がシュタイン家よりも弱くなることは目に見えている。

現状を打破するには、シュタイン家へ対抗できる力をつけられるようにならなければならない。そのため中央政治に関りのない地方貴族ではなく、中央貴族の有力家と手を組むことにしたそうだ。そして、柔軟な考えを持つフリッツ公爵家の三女を王太子妃として迎えることがこの短い期間で内定したらしい。

しかしまだ幼く後宮に入るには1年かかるという問題が残る。それまでこの規模で後宮運用するのは費用の無駄である。そのため正室候補として7名程度後宮に残し、妃選定が進んでいるように見せかけ時間稼ぎを行うことにしたそうだ。


「そのため、任期は1年でよい。また正室候補として残る家の者には毎月領地に対して特別報奨金をだす。そのためそなたの主人の研究費も増える。またそなたの妹の学費の件は伯爵に聞いている。1年後後宮を去る時には退宮費を2000万ゴールド出す。もちろん毎月の宮予算とは別払いだ。条件は悪くないだろう。」


そもそも王室を欺いた反逆罪について見逃してもらっている以上断るという選択肢などあろうはずがありません。


「承知いたしました。」

「理解が早く助かる。そして急で悪いが今から1週間必要な手続きのため宮を出ろ。詳しいことは伯爵から話があるだろう。私はこれで失礼する。」

そういって王太子様は、急ぎ足で宮を出ていかれました。


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