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【悲報】底辺ダンジョン配信者の俺、うっかりS級ボスをテイムしてしまい同接が止まらない  作者: 無響室の告白


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第7話:忍び寄る聖女と、闇からの視線

『竜の加護ドラゴン・ヴェール』に守られた俺、佐藤カイトは、今や無敵の気分だった。


「ふっふーん♪ 見てくださいリスナーの皆さん! この凶悪そうな人喰い植物も、俺の身体に触れた瞬間に弾かれていきます! まさに最強! 俺、もしかして覚醒しちゃった?」


恐る恐る触れた蔦がバチッと音を立てて弾かれるのを見て、俺はドローンカメラに向かってVサインを決める。


『調子乗んなw』

『それロゼちゃんの力な』

『後ろのロゼちゃんが「やれやれ」って顔してるぞ』

『でもこのバリア性能はやばい、国家予算レベル』


コメント欄のツッコミも今は心地よい。


死と隣り合わせの恐怖が去り、俺の足取りは軽くなっていた。


地下樹海を抜け、開けた場所に出る。


そこは神秘的な青い光を放つ『地底湖』だった。


「綺麗……。こんな場所がダンジョンの底にあるなんて」


「主様。水を差すようで恐縮ですが……少々、急いだほうがよろしいかと」


ロゼがゴスロリ服のスカートを翻し、警戒するように周囲を見回す。


その赤眼は、俺の後方――来た道を睨みつけていた。


「あの『白いの』が追いついてきました。それと……もう一つ。非常に不愉快な、ドブネズミのような臭いがします」


「ドブネズミ? モンスターか?」


「いいえ。もっと性質の悪い、人工的な腐臭です」


ロゼが目を細めたその時、俺たちの背後の茂みがガサリと揺れた。


一方その頃、カイトたちの数キロ後方。


Sランク探索者の神宮寺アリスは、たった今ロゼが焼き払ったであろう巨木の残骸の前に立ち尽くしていた。


「デタラメな火力ね……。これじゃあ追跡どころか、環境破壊の調査報告書を書くだけで日が暮れちゃうわよ」


溜息をつきながらタブレットで現場の写真を撮るアリス。


しかし、ふと彼女の視線が木の根元に釘付けになった。


そこに、明らかに自然物ではない異質な物体が突き刺さっていたからだ。


「これは……『黒のブラック・ウェッジ』!?」


漆黒の金属で作られた、禍々しい杭。


それは人為的にモンスターを興奮させ、スタンピード(大暴走)を引き起こすための違法アーティファクトだった。


「まさか、今回のS級ボスの出現……自然発生じゃないの? 誰かが意図的に封印を解いた……?」


アリスの背筋に冷たいものが走る。


単なる配信者の不法侵入事件だと思っていたものが、急速にきな臭さを帯び始めていた。


彼女は表情を引き締め、さらに加速する。


「急がないと。あの配信者バカ、とんでもない陰謀のど真ん中にいるかもしれない」


そして、さらに場所は変わり――地上。


薄暗い一室で、複数のモニターを見つめる影があった。


「報告します。ターゲット『特異点』の生存を確認。S級個体『終焉を喰らうもの』の制御に成功している模様です」


無機質な声で通信機に語りかけるのは、仕立ての良いスーツを着た『黒服の男』だ。


モニターには、地底湖ではしゃぐカイトと、それを冷ややかな目で見守るロゼの姿が映し出されている。


『……計画通りだ。サンプルを回収せよ。目撃者は消して構わん』


「了解。実行部隊『グリム・リーパー』、現時刻をもって介入を開始します」


男が通信を切ると同時に、画面の中のカイトがビクリと肩を震わせた。


「――動くな! そこで何をしている!」


地底湖の静寂を破り、凛とした声が響き渡る。


俺が驚いて振り返ると、そこには純白の戦衣を身にまとい、レイピアを構えた美少女――神宮寺アリスが立っていた。


「げっ、神宮寺アリス!? 本物だ!?」


「ええ本物よ。そして貴方は現行犯逮捕される被疑者よ、佐藤カイト!」


アリスの剣先が俺に向けられる。


だが、ロゼが一瞬で俺の前に割って入り、凶悪な殺気を放ちながら口角を吊り上げた。


「ほう……主様に刃を向けるか。その細切れになる覚悟はできているのだろうな? 小娘」


一触即発の空気が、地底湖を凍りつかせた。



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【登場人物】

- 黒服の男: 謎の組織の監視者。カイトたちを『サンプル』と呼び、部隊を差し向ける。


【場所】

- 地底湖: 地下樹海を抜けた先にある、青く発光する神秘的な湖。静寂に包まれている。


【アイテム・用語】

- 黒のブラック・ウェッジ: アリスが発見した違法アーティファクト。モンスターを興奮させ、暴走を引き起こす効果がある。


- グリム・リーパー: 黒服の男が口にした実行部隊の名称。

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