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ブレーメンの聖剣 第3章散華<サンゲ> 下巻  作者: マグネシウム・リン


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エピローグ

エピローグ


 王宮の天蓋が割れた。

 デザインが似つかわしくないそれは、巡空艦(じゅんくうかん)の発着場と思っていたが、一度も巡空艦を見たことがない。そりゃそうだ。あれはロケットの格納庫。そして発射場だ。

 轟音と白煙でビルが生えてきたかと思ったが、ロケットだ。燃料のみを満載したロケットが、鳥が飛ぶぐらいの速度で空に浮かんだと思ったら急に加速してあっというまに虚無の災害が覆う漆黒の空へ消えた。

「おもしれぇ。いいものが見れた」

 王宮はオーランドの中央/小高い丘に半地下形態で建っている。その森は──木立のように見えるそれは全部が大口径の自動迎撃機銃(セントリーガン)だった。冷却水が蒸発して雲を作っている。

 波のように腐獣(テウヘル)が群がる。巨大な意思を持って、禁忌の知識に手を出した文明を焼き尽くそうという醜悪な意思で。

 自動迎撃機銃(セントリーガン)がすべて飲み込まれた後、光があった。ぷっつりと丘を登っていた腐獣(テウヘル)どもが両断され霞と消えた。

 まるでダンスホール。化学レーザーのミラーボールが波のように押しかける腐獣(テウヘル)を切断する。

 再びの轟音。摩天楼と同じサイズの巨大ロケットが2本続けて飛び上がった。

「どっちにアナが乗ってるんだろうな。畜生、はっきり見えなくなってきた」

 癖で目を擦ろうにも手が動かない。脚も動かない。繋がっているかさえ定かじゃない。

「おもしれぇ」

 死ぬときはあっさり死ぬもんだ。

 3日3晩戦い続けた。

 とっくに弾は尽きたしマチェーテも折れた。

 仲間ともはぐれた。

 ニシともはぐれてしまった。アイツのことだからまだどこかで戦っているんだろうか。

 レイナはひとり、半壊したビルの屋上にいた。地上は漆黒の波が蠢いている。瀕死のヒトひとりには興味ないというように、王宮へ殺到している。

 手に力が入るうちに、と例の薬を飲んでみたが、なかなか良い。気分が良い。苦痛という苦痛から解放された。軽いオーガズムもおまけで付いてくる。

 もう眠い。

 よく見えない。

 でももう一度。

 手を動かして、胸の上に置いていた写真をもう一度、顔に近づける。馬鹿みたいに笑いあった仲間たちだ。

「結局、どう死ぬかなんだ。そうだろう? ニシ」

「ニシ、これは価値ある戦いだったんだよな」

 天高くロケットが白い煙を残して、もうたぶん宇宙ってところに行ってしまったんだろう。

「これで、人類は子孫をつないで、ニシ、お前が生まれるんだよな」

 もう音は聞こえない。光も消えた。

「誰かのために戦えた。人類ってクソ野郎どもだ。今日はいい死に日和だ」


ブレーメンの聖剣

第3章 散華 下巻

(終)

挿絵(By みてみん)

あとがき

 みなさん、こんにちは。作者のマグネシウム・リンです。

 いやーーーついに、ついに「ブレーメンの聖剣」シリーズの3部作が完結しました! 最初の第1章を書き始めたのが2023年のことなので、おおよそ3年ですね。しかしながら、ストーリーの構想自体は15年前から温め続けておりまして、その長年の夢がかなったということです。はい、感無量。そして(全話じゃないですけど)毎週1エピソードを挿絵付きでアップするという目標も達成できました! イラスト自体は2020年から始めました。ちょうどコロナの時期で暇していたので。とはいえ、狙ったクオリティを1週間で仕上げるというのはなかなか難しかったです。それでも、要領よく仕上げるコツをつかんだので今ではスムーズですね。2日か3日、10時間あれば1枚が完成します。

 小説のほうは、地の文を1人称文体と3人称文体を混ぜて書いています。ちょっと珍しいかな。1人称文体は口語を多めに混ぜて、主人公レイナちんのヤンキー口調でまとめています。

 さて、第3章のストーリーはずううっと以前に作った作品を基にしています。その名も「砂塵のレイナ」。高校生の時新人賞に送った作品っすね。(当時の新人賞は印刷して送るのですが、評論が帰ってくるのでありがたかったです)話の大筋は似ていて、怪物うごめく砂漠、賞金稼ぎの凸凹トリオ、王様の宝石、怪物に変身できる少女、といった要素でした。そしてこの話が小説創作の原点……ということはつまり、第3章を起点に第1章、第2章の話を作り、すべてをまとめて「ブレーメンの聖剣」のシリーズに仕立て上げたのです! なので第1章の時点で第3章のプロットは3割がたできていました。そういう意味でも、僕の集大成ともいえる作品です。人生に悔いなし。


<ここからネタばれ含みます>



 第1章から第3章までのストーリーをぜんぶ、続けて読んだ方はこう思ったのでは。「全部 バッドエンドじゃん」

 んー僕自身、別に悲劇が好きってわけじゃないですけど、「ブレーメン」シリーズ全体を通してみるとやっぱりこのバッドエンドが多少、必要なのです。ストリートから成りあがったレイナが戦う理由を見つけ有終の美を飾ります。

 ストーリーは「クライムアクション」と銘打っています。これは、僕がちょうどゲーム「サイバーパンク2077」をやってた時期にストーリーの骨子プロットを書いたからなのです。知らない方に説明すると、「サイバーパンク2077」は近未来のアメリカ西海岸の都市を舞台にした、死にかけた主人公が信頼と裏切りを重ねながら栄誉の死を遂げる、というストーリーです。作中では頻繁に選択肢が現れます。敵陣への攻め方から、捕らえたギャングを殺すか生かすか、まで。そしてストーリーが分岐していきます。

 この「ブレーメンの聖剣 第3章」の小説も、そうした「選択と分岐」をちりばめています。レイナが決断に迫られたとき“えいやっ”と選択します。いわゆるマルチエンディングで、この小説のストーリーは“グッドエンド”の分岐です。選択を間違えていたら上巻の早いところで、レイナ、死んでましたからね(笑)


 さて少し作品解説していきますか。


 話の軸としては

遠い遠い過去の第1の人類の移民計画(少なくとも十数万年以上前)→

ブレーメンとの争い(1500年前)→

テウヘル(獣人)に反旗を翻されるヒト(1400年前 ネネが生まれた頃)→

ブレーメンとの共闘・勝利(1000年前 第1章)→

ヒト内部抗争(1000年前)→

連邦(コモンウェルス)vs国家(ネーション)(500年前)→

国家(ネーション)の消滅(500年前)→

連邦(コモンウェルス)の分裂(450年前)→

ヒトの滅亡(第3章)

 という2000年の歴史でした。その歴史に翻弄される3人の主人公の物語です。

 レイナの乗る前駆二輪(バイク)。膝丈ほどの高さを反重力機構で浮かんで滑走します。ちょうど、『スターウォーズ』のスピーダー(エピソード6)みたいな感じです。前方駆動二輪の略です。この世界では石油が枯渇し人工石油に頼っているため、電力で動く反重力機構の方が使い勝手がいいのです。もっとも二輪車はレシプロ(内燃エンジン)が主流なので、レイナの乗るバイクはシボレーV8エンジンに換装したハーレーデイビットソン ショベルヘッドみたいな感じで、作中でも異様な存在です。

 アーヤの乗るバギー(ちなみに、声がきれいで歌の上手いアーヤ、名前の由来は坂本真綾さんです(笑))もまた、前方駆動で後ろがタイヤです。オフロードでは軽い車体にトルクの強いエンジン、が正義なのでSUVなどではなくバギーにしました。挿絵のモデルはカワサキのATVですね。欲しい。

 続いて武器の話。

 ゾンビといえばショットガン。なのでレイナの持つ武器は水平に連式ショットガンです。さらに銃身を切り、銃床ストックも切り落としたソードオフ・ショットガン、と言われるものです。現実では、趣味性ですね実用性は無いです。射程が短く、狙いもつけづらい。とはいえ、インファイト(至近距離)に来るゾンビ相手なら、こういったショットガンとマチェーテという組み合わせは理にかなっているのかな、と。ゲーム「fallout」「メトロ エクソダス」でも僕は主にショットガン重視ですはい。

 アーヤは短機関銃……いや世界観的に“サブマシンガン”って言葉が使いにくかったからです。挿絵のモデルはクリスベクターですね。作中では対人武器(護身用・軍用)と対テウヘル武器と大別されますが、これは護身用です。なので腐獣(テウヘル)相手には効果が薄く対人戦闘でも心もとない武器です。

 シスは狙撃銃。挿絵のモデルはM200 Intervention です。映画「ザ・シューター/極大射程」でも登場したライフルですね。筒みたいなw。6x60ぐらいの照準器が付いているんですが、設定上シスの耳の観測器と義眼の測距儀、補助脳の演算で撃つので、実は照準器は使ってないんですよね。モチーフはやはり『攻殻機動隊』のサイトーさんです。

 ニシは標準的な歩兵ですね。拾った三三式ライフルと連邦軍制式拳銃。それぞれのモデルが、FAMASとP226です。どこでも戦える経験豊富な兵士、なのでどんな武器でも戦えます。最終的にはかなり改造を施したようですが。

 続いて食べ物の話。

 よく言う話で「小説の人物を描写するときは食べ物を食べさせたら良い」というのがあります。食べる物、食べ方、食べる時間などでその人となりが分かるからです。この第3章では食事の描写をかなり多く入れました。ぜひ食事を通してそのキャラクターを見てみてください。ちなみにレイナ。ダイナー(アメリカの庶民派食堂)で食事をする際はパンケーキと牛乳を注文しています。お子ちゃまですね(笑)ソードオフ・ショットガンを振り回していても、中身はまだまだ少女なのです。一方で酒は苦手で(そもそも未成年ですが)あまり口にしていません。

 飲み物は、もちろん現実のものを登場させるにはいきません。コーヒー(僕は重度のコーヒー派)はだめなので「茶」で代用しました。ニシが「コーヒー飲みたい」シスが「ぷぷぷ、プッシーください(コーヒー)だって」という元ネタは、某国での日本語聞き間違いジョークです。ぐぐったら出てきます。ビールは、しょうがないのでそのままです。テキーラ→サボテン(ハリハリ)酒と変えました(もっとも、テキーラの原料はリュウゼツランですがサボテンっぽいので)。

 続いて気候の話。

 なんかずっと暑そうでしたよね(笑)今、僕が常夏の国+乾燥地帯(シャワールームにカビが生えないぐらい乾燥)に住んでるせいもあってあまり季節変化のような感覚が疎くなっているんです。なので、終始砂漠、乾いた風という雰囲気が続きます。都市フアラーンの雰囲気はゲーム「サイバーパンク2077」のワトソン地区なのですが、あれもけっこうごみが散乱して乾いた空気感ですからね。で、ストーリーでは唯一大陸(タオナム)は同じ地球に存在し、3億年前の超大陸(パンゲア)だったわけですが、地質学的には超大陸は南極付近に固まっていて小さい大陸もあったようです。実際気温は分かってないですが、3億年前ごろから氷河期に突入したようです。ストーリーの設定上では、ネネの放ったヤイ=アックプラン(地磁気を消し太陽風で地表を焼くと同時に地殻を引っぺがす兵器)によって大陸が動き始める、という設定もありました。そしてその後地上は氷河期→植物の地上進出→石炭紀を迎えます。

 まあ、なんというか“月間ムー”で出てきそうな超古代文明っていう話、好きなんですよね。3億年前はやりすぎかもですが(笑)移民してきた人類と動植物、そして進化ではなく(ア・メン)により作られたブレーメンなら3億年前にいてもおかしくないかなーとか考えました。

 

 さて第3章で謎の人物が出てきましたね。ニシです。本人は「2010年の東京から来た」と告げますが、話が妙です。人類(ゲプト)軍、文明人類学、惑星文明連合……気になりますよね、よね?

 そうです。第4章が始まるのです! 3作のサーガが終わったら新しい3作のサーガが始まるのです! スターウォーズ式ですね! (3作続くかどうかは未定ですが……)

 そして告知!

ブレーメンの聖剣 第4章 神戯(シンギ)前章

 第4章と第5章はどちらも 神戯(シンギ) となります。神……ひさしぶりにロリ神の登場です。お楽しみに!!

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