表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/21

5-2

「えっ?待ってください!私なにも聞いて無いですよ!」


 朝早くに起こされた私は今、侍女長の部屋で何故かヘアメイクをされている。

 よく見ると部屋の片隅にはドレスがトルソーに掛けられていて・・


「あらそうなの?おかしいわねー、私はシアを着飾るようにと言われてるんだけど・・」


 少しわざとらしい感じで答えてきたが ウソ!絶対にウソ!じゃ無ければドレスも装飾品も化粧も、用意出来るはずないもの!!


「とにかく今ザカリー様も準備しているから、待たせる訳にはいかないでしょ?」

「理由だけでも聞かせてください!」


 私があまりにも騒ぐから、侍女長も根負けして


「ザカリー様の女避けよ」


 と、答えてくれた。


 女避け!!!?


 私はその後侍女長とメイド二人の手に寄って、久しぶりに着飾るハメになった。



 パーティーも始まり列席者も全員揃った頃、侯爵ファミリーが登場する事になっていた。

 先ずは侯爵夫妻と第二王子殿下が揃って入場し、次にお嬢様のメアリー様とご婚約者様のフレッド様。最後にザカリー様とエスコートされた私・・

 登場するや否やどこからとも無く聞こえてくる令嬢の歓声と不満。

 聞こえてる筈なのに全く聞こえてないようにエスコートするザカリー様に


「あの・・なぜ私なのかお聞きしても?」


 下を向きながら伝えた言葉にザカリー様は


「・・・女避け・・。それから、君も絡まれたくない人がいるのだろ?」


 私はザカリー様を見ると、


「例の執務官殿がずっとお前を探している。どんな関係かは聞かないが・・今もお前を見ているぞ」


 そう言われ前を向くと、こちらを睨むように見ているカインと目が合った。

 私は無意識に目を逸らすがザカリー様は挑発するかのように私の腰に手を回すと、


「このままダンスでも踊ろうか?お嬢様。嫉妬するアイツの顔が見ものだ」

「えっ?止めてください!他の令嬢方に私が睨まれますから!」


 ザカリー様は おもしろい!と言ってワザと私をエスコートし、ダンスの輪に加わる。

 ファーストダンスは侯爵家全員が踊る。

 曲が始まるとザカリー様のリードで踊り始めたが、久しぶりに踊るから不安もあったがさすが侯爵家嫡男!ちゃんと私をリードしてくれている。

 すごく踊りやすいのだ!まるで・・


「執務官殿と踊っていた時を思い出すか?」

「??!」


 ザカリー様は薄笑いを私に向けながら


「お前の事は調べている。どんな理由かはわからないが・・身元は知っている。」

「なぜ知っててこんな事を?」

「言っただろう?女避けだ!」

「・・・ザカリー様は女性がお嫌いなのでは?」

「誰が言ったんだ!?嫌いでは無い!苦手なだけだ・・」


 どう違うのだろう・・と私は少し呆れながらもザカリー様のリードで踊った。

 一曲目が終わり輪から外れると目の前に怒りの目を向けているカインが立っていた。


「これはベラスター執務官殿。私に何か用か?」


 カインは私の腰に触れられたザカリー様の手を払い除けると、私の腕を取り


「ザカリー様では無く、こちらのお嬢様に用がありまして・・」


 と、引っ張られた。

 久しぶりに嗅ぐカインの香りは、私の好きな柑橘系の香りのままだった。

 私の見えない所で睨み合う二人に、ハントさんがそっと近づき


「このままでは・・そちらのお嬢様もお困りになられますので。」


 こちらにお部屋をご用意しております。


 と、まるでこうなる事を知っていたかの様に誘導した。私はカインに腕を握られたまま移動すると、前を歩いていたザカリー様はカインに


「ここまで来れば良いだろう。その手を離してやってくれないか」


 と話しかけた。

 カインは私を見ると一言


「彼女は私の婚約者ですので、このままで」


 と答えた。


「ベラスター様、それでは彼女が困りますでしょう?こちらに彼女を保護して欲しいと頼まれたのは貴方様の国の方です。まずは彼女に説明するのが先なのでは?」


 案内された席には何故か王子殿下も座っており驚いた。私はカインとザカリー様の間に挟まれる形で座った。向かいには殿下ぎ笑いを堪えながらこちらを見ていた。

 テーブルの上にはお茶の準備が整っており、ガーデンパーティーの延長の様になっている。

 これなら誰が見てもザカリー様が殿下と隣国の賓客を接待していると疑わないだろう。


 それに今ハントさんが言った事も気になる・・


 私を保護?


 私はカインの顔を見つめ、どんな理由があってこのザザーライン侯爵家に私が来たのかを教えて欲しいとお願いした。


 カインは少し長くなるけれど・・と言って話始めた。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ