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5 次期侯爵様付きになりました

 数日とはいえ今日からザカリー様付きとなり、正直めんど・・不安になる。

 メイド同士の話からザカリー様は重度の女嫌い!なのに何故?私なのか・・


「間違いなく昨日の事だよなぁ・・」


 カインと二人でいる所をザカリー様本人に見られた。ザカリー様は勘が働く。

 次期近衛隊長の話も出ていると聞いた。そんなお方に目を付けられた?かも知れない・・そう思っただけで今、目の前にある扉をノックするのも気が滅入る。


(ハァァァ、仕方ない。諦めて行くか!)


 覚悟を決めてノックしようとした瞬間、


 ガチャッ!


 と、扉が開いた。中から顔を出したのはザカリー様の従僕ハントさんだった。


「お待ちしていましたよ?シアさん」


 そう言いながら扉を大きく開き中へと誘導したハントさんは、ザカリー様本人が選んだ人だと聞いた。もともと乳兄弟で一緒に育った事もありザカリー様が当主となった際は執事に昇格すると聞いた。

 ちなみに現執事のバルトさんはハントさんのお父さんと聞いた。

 確かによく見ると雰囲気が似ている。


「ザカリー様、シアさんがお見えになりました」

「おはようございますザカリー様。本日より数日ですがよろしくお願いします」


 頭を思い切り下げて挨拶をする。


「「・・・」」


 返事が無いため頭を上げる事もできない。ただ声が掛かるのを待つのみ。


「いつまで頭を下げているつもりだ?」

「・・ザカリー様が上げろと言うまでです」


 頭を下げ続けながら答えると プッ!と吹き出すような笑いが隣から聞こえた。私は頭を上げずに顔だけを横に向けると


 失礼!


 と口に手の甲を当てながら笑いを堪えているハントさんと目が合った。


「頭を上げろ。仕事はハントから聞け。俺は用があって出掛けるからな。」

「かしこまりました」


 そう答えると扉の前まで移動すると静かに開けて、ザカリー様が出掛けるのを見送った。

 ハントさんは玄関まで見送ったのか、暫くしてから部屋へ戻って来ると仕事の指示を出してくれた。

 そうは言っても数日の間だけの事、指示されたことはザカリー様の居室のベッド周りの掃除と寝具、パジャマの交換。浴室掃除と本日よりお泊りの第二王子殿下の特別室の清掃だった。


「掃除が終わりましたら次は何をしたら良いですか?」


 普段の掃除を思えばザカリー様の私室の掃除と特別室の掃除だけなので午前中で終わってしまった。この後の休憩が終われば仕事を失う。私はザカリー様の執務室で仕事をしているハントさんに声を掛けた。


「仕事が早いとは聞いていましたが本当なんですねー。でしたら私の仕事を手伝ってくれますか?」


 言われた仕事は書類の整理だった。

 机の上に積まれた書類を(緊急)(急がない)(破棄)の三種類に分けるだった。

 私はザッと書類に目を通し、三つの山へ振り分けていく。


(見るからに釣書や夜会のお誘いは破棄!)


ハントさんは別の仕事があると言って帳簿に目を通している様子だったが、私は言われた仕事を淡々とこなしていった。


「ハントさん終わりました。こんな感じで宜しかったでしょうか?」

「ああ、ありがとうございました。もうこんな時間でしたね、今日は上がってもらって大丈夫ですよ」


 私は頭を下げて部屋から退出しようとして、ある事に気付きハントさんへ聞いた


「明日はガーデンパーティーですが、私はどこの手伝いをすれば宜しいでしょうか?」


 ザカリー様の執務室で仕事をしていても、続々とお客様が到着している様子は伺えた。

 明日は当日来られる方もいらっしゃる、人手は多い方が良いだろう。


「シアさんには特別な仕事を用意してありますので、明日は侍女長の指示に従ってください」

「・・・かしこまりました・・」


 特別な仕事・・私はカイン様と顔を合わさなければ良いわ!と、軽い気持ちで次の日を迎えたのであった。





 「お待たせ致しました」


 俺がオードラン・ブルガイド第二王子殿下をもてなしていると、乳兄弟のハントが私室へ入って来た。


「やぁハント久しぶりだね!今まで仕事だったのかい?お疲れ」


 オードラン殿下は近くに控えている侍女にグラスを持って来るように言った。

 俺はハントを空いているソファーに腰掛けるよう勧めると 失礼します と腰を下ろした。


「で?彼女は元気にしているのかい?さっきザカリーから聞いたけど元婚約者がこっちに来たんだって?」

「シア・・ですね。彼女は優秀ですね。私が一度言った事は間違えずに進めます。他の侍女からの評判も良く父も、あの難しい侍女長からも一目置かれている様です」


 俺はハントの報告をワインを飲みながら聞いていた。

 確かに俺に少しも色目を使わない女は初めてだな・・

 そう思っていたら


「彼女の中でカイン様が居なければ、こちらの国の貴族の養女にしザカリー様と婚姻を結んで欲しいくらいです」

「ブッッ!!なっ、ハント何を言っている?!!」

「へぇー、君がこんなに褒める女性は珍しいな!明日会えるのが楽しみだよ!」

「・・・」


 ハントは俺が睨んでいるのもスルーして、オーランド殿下が持参したワインを美味しそうに飲んでいる。


(確かにハントがここまで褒めるのは珍しいな・・)


 そう思いながらワインを口に含む。


「そう言えばその令嬢の母国、バレイド国のリード殿下より書状が届いた。持って来たのは例の執務官だけどね!」


 そう言いながら俺に書状を手渡した。

そこにはこれから起こるであろう事が細かく記されており、その際にはカイン・ベラスターを使って欲しいと記されていた。


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