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11-7

 オーランド殿下の指示でモーガン様とハンナは騎士達に連行されながら部屋から出て行った。

 オーランド殿下とリード殿下はソファに深く座り込むと頭を抱えた。


「リード、こちらの国のことはこちらに任せて欲しい」

「ああ、急いで国へ帰り奴らが逃げる前に捕まえなければな・・。だが、思っていた以上の人物の名に正直驚いてしまった。」


 リード殿下の落ち込み方が酷くどう声を掛けて良いか悩んでしまう。私は両親が亡くなってから社交界へ顔を出していないため名を出された方がどれ程の方か分からない。でも、きっと信頼されていたのだろう。そう思えたのは隣のカインもリード殿下と同じ表情をしていたからだ。


「シア、疲れたでしょう?ここは殿方にお任せして一旦奥へ下がりましょう」

「ええ、そうねマリン。ザカリー様、よろしいでしょうか?」

「!シア?なぜザカリー様に聞くんだい?」


 ザカリー様へ許可を得ようと声を掛けたら、何故かカインが慌てるように言ってきた。

 私は驚きカインを制しながら


「私はまだザザーライン侯爵家に雇われているメイドです。主人に許可を得るのは当たり前では無いですか!」

「でもこの件でシアはバート伯爵令嬢の身分が戻ったんだ!という事は僕の婚約者のままなんだよ!」

「えっ?えっ?」


 それとこれとは別では?と言いたいがきっとカインの耳には入らないだろう。


「カイン、アリシア嬢はずっと心休まらない状態にいたんだ。早く休ませてあげなさい」


 少し呆れたようにリード殿下が間に入ると、さすがのカインも頷くしかなく


「今夜はゆっくりお休み。明日、会えたらランチでもしよう」


 最後は優しい笑顔で扉の前まで送ってくれたので、


「私はここではメイドですのでランチは無理かと思いますよ」


 とだけ伝えカインと別れた。

 私はマリンと共に使用人部屋へと向かったが途中、緊張が解けたのか?急に力が抜けてしまいその場で座り込んでしまった。


「シア?大丈夫?ちょっと待ってて!」


 マリンの声が遠くに聞こえたと同時に体が浮く感覚と、嗅ぎ慣れた優しい香水の香りにそのまま深い眠りについてしまった。



「リード殿下すみません。シアを部屋に送ったら直ぐに戻ります」

「ああ、力尽きてしまったんだね。無理もない、早くベッドで寝かせてあげなさい」


 シアと別れた後、扉を閉めようとした瞬間シアが座り込むのが見えた。急いで駆け寄ると一緒にいたメイドが「緊張が解けたのか急に座り込んでしまって」と言ってきた。

 俺は静かに抱き上げると一旦殿下の元に戻り事情を話した。その際ザカリー様が何かを言いかけたがリード殿下の言葉で黙った。

 


 メイドはシアの部屋を案内しようとしたがそれを断り、自分の部屋へ移動した。シアの部屋のが安心するとは思ったが正直俺が不安だった。

 さすがのメイドも最初抵抗していたが、最後は折れてくれた。


「シアがベラスター様の婚約者と言うのは分かりましたが、結婚前です!申し訳ありませんが今夜は私も同室させて頂きます」


 そう強く言われれば断る事も出来なかった。が、それ以上に彼女のシアへの気持ちが分かり嫌な気分にはならなかった。


「おそらく今夜、私がこの部屋へ戻る事は無いと思うからシアの事を頼みます」


 シアをベッドへ寝かせると俺はそのまま部屋を出た。




「カイン、戻ったか」

「はい。席を外してしまい申し訳ありません」

 

 私の姿に気付いたオーランド殿下が声をかけてきた。俺のいない間に今後の話が進んだらしく


「三日後に私とカイン、バート伯爵令嬢はバレイド国へ向かう事になった。令嬢も現バート伯爵が原因で追われた様なものだからな。その件は国に戻ったら解決する。それよりも・・」

「はい、急ぎ調べねばならない事があります。前もって先触を出しておきましょう」

「そうしてくれ。国へ着き次第すぐに動けるように」


 俺は深く頭を下げた。

 両殿下が部屋から出て行くと残されたのは俺と


「ベラスター卿、少し良いか」


 声を掛けてきたのはザカリー様だった。


「もちろんです」


 そう答えるとザカリー様の私室へと案内された。

次回で終わりです!

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