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11-3

「私は何とかしてリリーを助けたかった。そして分家の子爵に奥方の責任を取らせた。そしたら子爵が遠い国ではリリーの心臓を元気な心臓に取り換えられる医師が居ると聞いたんだ!私は藁にもすがる思いで探させたよ!リリーの命が助かるなら俺は何でもやると決めて・・」


 モーガン様の目がどんどん下がっていく。

 隣のハンナさんも同様に下を向く。


「ああ見つけたよ。医師を・・わざわざその国まで足を運んで・・でも言われたのは (生きた人の心臓が必要)だった。ハンナは言ったよ、自分の心臓を使ってくれと・・。彼女の忠義に感謝したよ。だけどその前にリリーの心臓が止まってしまったんだ」


 モーガン様はリリー様を失って、自身の我も失われたのだ。その後モーガン様は子爵家を取り潰し一族全員を処刑した。


「あの時モーガンが提出した書類は、子爵夫人が侯爵夫人に毒を盛った殺人と・・」


 オーランド殿下はその時の事を思い出しながら言った。モーガン様は黙って頷く。


 あとは殿下が調べた通りだと思います。と、モーガン様はまた黙った。


「それだけなら私は今お前を捕らえたりはしない!なぜバレイド国の闇商人と手を結んだんだ!」

「・・・」

「何とか言ってくれ!お前は・・そんな事出来る人間では無かったはずだ・・」


 オーランド殿下は悔しそうに問い詰めた。

 私は知らず知らずのうちに隣にいるカインの袖を掴んでいた。


「旦那様は奥様の様な方をただ救いたかっただけなのです・・何がいけないのですか?貧しくて生きて行くのも必死な人間を高いお金で買う。奴隷と何が違うのですか!」


 ハンナさんが叫ぶ。

 確かに奴隷は罪人ばかりでは無い。貧しくて親に売られる者もいる。

 でも、それでも命を取ったりはしない。


「綺麗事が言えるのは、ご自分がその目に合った事が無いからです」


 ハンナさんの言葉が胸に突き刺さった。私自身も色々あったが、命までは取られなかった。


「どんな手を使ったのか知らないが、バレイド国の商人は私の言う人間を送ってくれていた。商人の後ろに大きな人物がいたのだろうな?会った事は一度も無いがね・・」

「こちらでも調べていた。最初は貧しい領民が、平民になり気付けば貧しい貴族にまで手が及んだからね」


 バレイド国の王太子殿下が口を挟んだ。


「だから秘密裏に調べた。そちらの前バート伯爵夫妻に・・彼らは素晴らしかったよ。私の欲しい情報を必ず持ってきてくれたからね。もちろん王家の影も動いたが貴族の中には貴族しか入れないからね」


 そう言ってリード王太子殿下は私の方を見た。

 そして黙って私に目を閉じた。まるで謝罪を述べているように・・


「そしてその後ろの貴族をもう少しで掴める!と思った瞬間、バート伯爵夫妻は何者かの手によって殺されたんだ」


 その言葉を聞いた瞬間、覚悟はしていたのに胸を抉られる感触に陥った。

 警察はただの物取りの犯行と決めつけたが、やはり両親は誰かの手によって殺害されたのだ!


 その瞬間、なぜか私は悔しさよりも私の考えが間違っていなかった事が嬉しかった。

次からはアリシアの両親の話になります!

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