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9 カイン

 シアがいなくなった!

 少し目を離した間に、まるで最初からその場に居なかったかのように・・姿を消した。どこに行っていたのか?一緒に居るはずのザカリー様が一人で姿を現した時、シアは休憩室にでも下がったのかと思った。


「ベラスター卿!彼女はどこへ行ったか知らないか?」


 その言葉で一気に血の気が引いた。

 会場を見渡すもシアの姿は無く、ザカリー様が側に仕える男性に耳打ちをした。指示を受けた男性は直ぐに下がり屋敷の方へと向かった。


「この短時間で彼女を連れ去る事が出来るのは・・おそらく屋敷の人間だろう」

「そうですね・・てっきり外部の人間だと決め付けていた自分にも非があります。とにかく探しましょう」


 ザカリー様は侯爵の元へ行き会場内に不審な動きをした人が居ないか聞きに行った。

 私は踵を返しある人物の元へ向かう。

 お目当ての人物を見つけると怪しまれないように近付き声をかけた。


「スロード卿、少しお時間頂けないか?」


 スロード商会長は私の声色で何かを察したようで、


「ベラスター様、先程の件でしょうか?でしたらこちらで詳しい話をお聞きしましょう」


 そう言いながら席を立った。





「彼女が居なくなりました。私が目を離したほんの僅かな間に・・」


 スロード会長は少し考えた後


「こちらのメイドがゲート伯爵令嬢に声をかけていましたが・・。ではその時に連れ去られた可能性がありますね」

「メイドがですか?」


 会長は黙って頷くと こちらの方へ歩かれて行きました。と案内してくれた。途中ザカリー様と合流し向かった先は


「この先は裏門になります。主に働いている者たちが利用する門になりますが・・」


 そう答えたのはザカリー様付きの従僕だった。普段なら人の行き来があるが今日はガーデンパーティーの為、人通りが全く無かった。

 

「ハントさん!」


 おそらく従僕の名前だろう彼が振り返ると、顔色が悪いメイドがある物を持って駆け寄った。


「マリンの姿が見当たりません!休憩から戻ったら私と交代する予定でしたのに姿を見せず、不思議に思っていたらコレがここに落ちていたと・・」


 差し出された手には頭に付ける飾りの様な物があった。コレは一人一人に合わせて作るために、必ず名前が刺繍されているのだとそのメイドは言った。


「確かにマリンさんの物で間違い無いですね」

「では・・確率的にシアとそのメイドは・・」

「何らかの理由でマリンさんが遭遇し、一緒に連れ去られた可能性があります」


 気付けば周りには私たち以外にも侯爵家で働く者たちが集まっていた。


「外に連れ出された可能性もあるな・・パーティーはもう少しで終わる。その後、護衛たちは見送るていで彼女の捜索を!残りの者は今一度屋敷を探してくれ!ベラスター卿とハントは・・」


 ザカリー様が私を見ると隣に立っている会長に気が付いた。なぜ彼が?と目で語ってきたので説明をすると


「ならばお前も来い!」


 そう言って本館の方へと向かった。

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