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現実世界

木漏れ日の下で

作者: 澪澄にけ

 

 “木漏れ日”って言葉を考えた人、すごいなあ。

 なんてあたしはのんきに思っていた。

 髪や制服が汚れる心配もせず、あたしは草むらにあおむけになって寝転がっている。なんの木かはわからないけれど、都会暮らしにしてはすくすく育った木の下で、すくすく伸びた枝からすくすく広がった葉っぱの隙間をかいくぐって、あたしのところまで届く陽の光を浴びている。

 ここはたぶん、公園だ。公園、と聞いて想像するような広さも設備も全然ないけど、他になんて呼んだらいいのかわからない。都市計画とか区画整理(なんて言ってはみたけど、どっちも意味はよく知らない)の時にミスでうっかり余らせちゃった→狭すぎるからなんか建てるのも無理→しょうがないから緑でも植えときゃいっか、って感じでいい加減に造られた…っていうのはあたしが勝手に考えたいきさつ。でも大人の男の人なら十歩くらいで横切れちゃうくらいの広さ(っていうか狭さ)、遊具もなにもなくて古びたベンチが適当に置いてあるだけ、ってことを思えばそんなに的外れでもない気がする。

 これだけなんにもなければ当然子どもも近寄らないし、子どもが来なければお母さんたちの井戸端会議の舞台になることもない。すぐそばに高校があるけどこっちは裏門側で、たいていの生徒は駅前に近い正門から帰るからやっぱり近づかない。さらにこのへんは工場が多いから日中は機械の音がうるさくて、逆に夕方以降は静まりかえるのでどっちにしても落ち着かない。

 誰かがわざとそうしたみたいに、人の来ない条件の勢揃いした場所だった。そんな場所だからこそ、あたしのお気にいりだったのだ。


 「お姉ちゃん、なにしてるの?」

 いきなり近くで声がして、あたしはびっくりして飛び起きた。ベンチの後ろでさらに植え込みの陰になっているここは、外から見えないはずなのに。

 声の先には小学生くらいの女の子が立っていた。

 ふたつ分けにして耳のあたりで結んだ髪、パーカーにミニスカ+レギンスという格好は見るからに活発そうだけど、顔立ち(っていうより、顔つき?)のほうは冷静そのもの、という感じ。大柄な中学年か小柄な高学年に見えたから、とりあえず五年生、とあたりをつける。

 「…えっと。木漏れ日、浴びてるの」

 寝転がってぼーっとしてました、というのがいかにも間抜けだったので、ちょっと気取って答えてみる。でもそのあとすぐ、これじゃちょっと素っ気なかったかなと気になった。あたしは妹もいないし、小さな子と話すのに慣れていない。

 「コモレビ?」

 女の子が言うとまるで、ゲームのキャラクターみたいに聞こえた。妖怪の一種で見た目はもこもこ、人懐っこくていたずら好き。なんてキャラ付けしてる場合じゃないけど。

 「木のあいだから漏れてくる、陽の光」やっぱりぶっきらぼうになってしまう返事をごまかすみたいに、あたしは空を指さす。本当は子ども相手(って中学生のあたしが言うのもなんだけど)だから戸惑っているわけじゃなかった。あたしは人と話すことに慣れていないのだ。

 お父さんはあたしが起きるころには出かけてて、あたしが寝たあとに帰ってくる毎日だったから会話どころかろくに顔も見ることもなかった。お母さんは家にいてもあたしが目に入ってなくて、無駄なおしゃべりどころか必要な話さえ伝えるタイミングにいつも悩んでた。学校にだって、友だちと呼べる相手はひとりもいなかった。授業であてられでもしないかぎり、まる一日、ひとことも話さずに終わることだって珍しくなかったのだ。

 そんなことを思いかえしてぼんやりしてしまい、あたしは女の子の質問を聞き逃してしまったらしい。「え、ごめん、何?」

 「それ、お姉ちゃんが考えた言葉なの?」

 一瞬意味がわからなかったけれど、『コモレビ』のことだと気づいてあわてて首を振る。「違う違う、朝日とか夕日とかとおんなじで、ちゃんと辞書にも載ってる、はず。そのうち授業で習うよ、きっと」  

 …と言ってはみたけどわざわざ辞書をひいてみたことはないし、授業で習ったのかどうかも覚えてない。

 「そうなんだ」女の子はなぜかにこにこしていた。「すごいねー」

 「…何が?」

 「朝日とか夕日とおんなじって言ったけど、全然違うじゃん。イチテキに」

 イチテキって…位置的、ですか。変わった子だ。こんな公園に来た上に、さらにこんな死角まで入り込んでくる時点でそりゃあもうとっくに変わってるんだけど。

 女の子は結んだ髪の先っぽを指でくるくると巻きながら、説明を続ける。「朝日は朝見ればどこから見たって朝日だし、夕日は夕方ならどこでも夕日でしょ?コモレビは木の下限定だけど、木の下から見るかぎり朝日も夕日も全部コモレビになるんだよ」

 あたしは女の子につられたようににっこり笑った。女の子の考えはあたしと同じというわけじゃなかったけれど、『木の下限定』という部分が重なっている。木の下、それも陽の光がまっすぐ落ちてくるほど枝ぶりが寂しくはないけど、すり抜けて降りてこられないほど葉っぱが繁っていない木。そんな木の下からでないと見ることができないような、限定モノの陽光に名前を付けて呼ぶということが、あたしにはなんだかすごいことに感じられたのだ。

 誰に話してみたってきっと「だから?」と言われて終わりだと思っていた。もともと話す相手がいなかったことを別にしても。

 「小学五年生にしてはなかなかできるな、きみは」

 機嫌が良くなったせいで妙なテンションになったあたしに、女の子はけげんな顔で答える。「あたし三年生だよ?五年生って何、どっから?」

 小さな子に慣れていないあたしに、年齢の目測なんて高度なワザはやはり無理だったらしい。それにしても三年生にしては大人っぽい顔してると思う。言い訳じゃなくて。

 「このへんに住んでるの?」

 気を取り直して聞いてみると、今度は素直にうなずいた。あの工場の向こう側、と指をさして教えてくれる。

 「あんまり家から離れちゃ駄目って、お母さんに言われてるんだけど」

 「そうだよ、子どもがひとりでふらふらしてたら危ないよ」

 「じゃあお姉ちゃんはなんで、こんなところで寝てるの?」

 木漏れ日を浴びていたという優雅な説明を無視して、女の子は的確な表現を使った。

 「…気に入ってるんだもの。公園じたい人が来ないし、たまに工場の人とかが休憩に来てもここにはだれも気づかないし。隠れ家みたいなもんだったの」しょっちゅう学校をサボってはここに…と余計なことまで白状しそうになって、急いで口をつぐむ。

 女の子はあたしが黙ってしまったのを誤解したらしい。「誰も来ないお姉ちゃんだけの秘密基地だったのに、あたしが邪魔しちゃったんだね」

 いつのまにか秘密基地になっている点も存分に突っ込みたいところだったけれど、女の子がうつむいてしまったので思いきり首を横に振った。「邪魔なんかじゃないよ。話相手になってくれて、逆に結構嬉しいっていうか」結構どころか実はかなり嬉しかったりするんだけど、小学生相手に人恋しさ全開の態度も情けなかったのでここはなるべく、さりげなく。

 「ほんと?ならまた来てもいい?」

 「もちろん」さっきまでのポーズも忘れてうなずいてしまってから、年長者としての注意のほうをかろうじて思い出し、付け加えた。「明るいうちならね」


 女の子は翌日もやってきた。

 「申し遅れましたが、真木千波という者です。よろしく」

 来るなり真面目くさった顔でぺこりと頭を下げられて、あたしは笑いだしてしまった。  

 「どこでそんなの覚えたの?ドラマ?」

 「おばあちゃんの真似」

 どういうシチュエーションでそんな台詞が出たのかが気になるけど、とりあえず無難に答えておく。 

 「千波ちゃんちのおばあちゃんって、上品なんだね」

 「うちのおばあちゃんじゃないよ。前住んでたとこの、はす向かいのおばあちゃん」

 斜め向かいじゃなくてはす向かい、という言い方もそのおばあちゃんの影響だろうか。        

 それからも千波の話にはときどき、古めかしい言い回しや小学生にしては難しい単語が混ざって出てきた。

 どうやらあたしには初めての友だちができたらしい。年齢差からいえば『妹みたいな子』とでもいうべきなのかもしれないけど、妹を持ったことがないからそれがどんな感覚なのか知らないし、年下だからって千波を軽く扱おうとは思わない。千波は千波であたしが年上だからといって遠慮したり、逆に甘えたりなんて態度をとろうとしなかった。

 「先月引っ越してきたばっかりなんだ」千波は木にもたれているあたしの前に、ぺたんと座りこんでいる。公園の外からも中からも見えない植え込みの中は、ふたりで潜り込むのにちょうどいい感じだ。いつか本屋で表紙だけを見た“心地よく秘密めいたところ”というタイトルが頭に浮かんでくる。

 「家の向こう側は学校もあるしだいたい勝手がわかってきたから、そろそろこっち側も探険してみようと思ったの」

 『勝手がわかってきた』って。小学校でひそかに「あの転校生、変わってるよね」とか噂になったりしてないだろうか。どう見てもおもしろくなさそうな公園に来てみたり、植え込みの奥まで『探険』してみたのは転校したてで放課後一緒に遊ぶ相手がまだいないからかもしれない。

 そのうちクラスに仲のいい友だちができて、ここにも来なくなるんだろうな。ちょっといじけた気分になった自分が千波よりも子どもに思えた。

 そんなあたしの気持ちに気づくわけもなく、千波は身を乗り出す。「お姉ちゃんは?うち、どこ?その制服、ここの学区の中学と違うみたいだけど」

 あたしはしぶしぶ、となり町の名前を告げた。

 「駅の向こう側?…なんでそんな遠くから?」千波は目を丸くしているけれど、家や学校の近くでサボってたら誰かに見られるかもしれない、町なかにいたらいたで補導されるかもしれない、と不安になってどんどん離れるうちにこんなところまで来てしまっただけだ。

 もっとも、誰かに見つかったからって本当はどうってことない。先生はしょっちゅういなくなるあたしに最初のうちはお説教もしてたけど、サボるだけで遊び回ったり悪いことをするでもない生徒をもてあましているように見える。一度お母さんに連絡をとってたけど、その時のお母さんの無関心な態度にびっくりして半ばあきらめたのかもしれない。お母さんはあたしが何時に帰ったって帰らなくたって、怒ったことはない。お父さんは帰ってないことにだってきっと、気づいてない。

 ひとごとみたいに淡々と、あたしは話した。同情してもらいたいわけじゃなくて、単なる事実だったから。

 黙って聞いていた千波がぽつりと「うちと逆だね」と言った。「うちのお母さん、すごくうるさいの」

 「それは千波ちゃんが心配だからじゃない」

 「あたしが心配なんじゃなくて、あたしが面倒を起こすのが心配なんだよ」

 とっさに言葉につまったあたしに、千波はやっぱりひとごとみたいに説明してくれた。 

 「あたしは変わってるんだって。同じ年の子たちと馴染めないし、もっと小さいころはもっと変だったらしくて、お母さんはクーソーヘキとかキョゲンヘキとか言ってた。だから今でもあたしの言うこと、まともに取り合ってくれないんだよ」

 相変わらず小学生ばなれした表現を使ってるけれど、それとは別に千波が大人びている理由が少しだけわかった気がした。


 それからも千波は、学校から帰ると公園に通ってくるようになった。 

 「年が同じだからって、話が合うわけじゃないもん」たわいない話の途中で、千波がぽつりとつぶやく。ふたりであおむけに寝そべるとさすがに植え込みの中は窮屈だったけれど、こうして木漏れ日を浴びるのがあたしたちの日課のようになっていた。「たまたま同じ学区に住んでたまたま同じ年の子を集めたからって、みんな同じこと考えてるわけじゃないんだから」

 クラスに溶け込めないことで、先生かお母さんになにか言われたんだろうか。確かにあたしや『はす向かいのおばあちゃん』みたいな年上すぎる友だちばかりというのは、まわりの大人から見れば心配かもしれない。だけど似たような状況だったあたしがお説教できる立場でもないし、そんなあたしからすれば千波の考えには全面的に賛成、そして反省させられた。最初に小学生相手にどうとか考えたことを。

 「ここに来てること、お母さんに言ってあるの?」

 「言ったら連れ戻されちゃうよ。聞かれたら本屋で立ち読みしてたとか、適当なこと言ってかわしてるの」

 悪いことをしているわけでもなく、暗くなる前にきちんと帰ってくるから(それだけはあたしが気をつけているのだ)叱ることもできないらしい。だけど小学生にして親の追求を『かわす』というのはどうかと思う。

 「…あ、誰か来たよ」

 千波の言葉にあたしたちはそっと起き上がり、反射的に身体を低くした。千波のお母さんでもないかぎり見つかって困るわけじゃないけれど、ここに誰かが来るたびに隠れるのはあたしたちのあいだで暗黙の了解になっていた。

 植え込みの隙間から、公園に入ってきた人影を観察する。近くの高校の制服を着た、髪の長い女の子だ。

 中学生のあたしにとって、高校生はみんな大人に見える。だから何年生なのかはよくわからない。同じ女子高生でも、駅前のファッションビルでよく見かける集団とは違うタイプ。緩いウェーブのかかった柔らかそうな髪はパーマじゃなくて癖毛っぽいし、色も染めてない黒だ。それ以外も全体的に真面目そうな印象だった。

 女子高生はあたしたちのいる植え込みのそばのベンチに座った。

 千波とあたしは工場の騒音にまぎれるように、小声で会話をかわす。「女の子が来たのは初めてだね」「あたしたち以外にはね」「ひとりで何してるのかな?」

 「サワキさんごめんっ、遅れたっ」

 今度は男の子の声だ。どうやらひとりではなく待ち合わせだったようだ。縮こまっているあたしたちは男の子が入ってきたことに全く気づいていなかったので、不意打ちに驚いた千波などは数センチ飛び上がったように見えた。

 駆け寄ってくる足音に、サワキさんと呼ばれた女子高生が弾かれたように立ち上がる気配がした。そっとのぞいてみると、男の子のほうも同じ高校の生徒らしい。制服のブレザーをちょっと崩した感じで着て、髪はおとなしめの茶髪。童顔でちょっとアイドル系の顔立ち。地味めで色白で優しそうなサワキさんとそんな今ふうの男の子が並ぶとややミスマッチ感ありだけど、それはあたしの勝手な感想。

 「私こそごめんね、こんなところにいきなり呼び出して…」

 サワキさんはあたしたちにもわかるほど緊張していた。さっきのベンチにふたり並んで座る。「学校だとだれかに見られそうだから…」

 「そんなの全然いいって。でもここ、公園?学校の近くにこんなとこがあったなんて知らなかったなあ」

 語尾が震えて消えていくサワキさんに比べて、男の子は明るく答えている。

 「私が乗るバスは本数が少なくて…」突然関係ないことを言い出したように思えたサワキさんはそのあとに続けて、いつものバスを逃したときは近い路線の別のバスに乗ること、そちらの路線のバス停は裏門から出たほうが近いこと、そうして出たときに偶然この公園を見つけたこと、いつも人がいないから話をするのにいいと思ったこと…を要領悪く話した。それが本当ならサワキさんはあたしたちのすぐそばを何度か通っていったことがあるのだ。この距離で気づかれていないのだから、そばを通ったくらいであたしたちを見つけられなかったのも無理はないけど。

 辛抱強く聞いていた男の子はようやく口をはさむきっかけをつかんで聞く。「そうなんだ。それでその話、ってなに?」

 とたんにサワキさんはうつむいてしまったので、あたしたちには彼女が黙っているのか小声でなにか答えているのか、まるでわからなくなってしまった。千波の顔を見ると、千波もこちらを見てこころなしか目を輝かせている。

 (これってやっぱり)

 (だよね?)

 声を出さずに会話をしながら、あたしたちはふたりの様子に全神経を集中した。のぞき見&盗み聞きでサワキさんには申し訳ないけど(男の子にはなぜか悪いと思わなかった)ここまできたら結果を知らずにはいられない。

 残念ながらそれからは男の子までもが声を落として話すようになってしまい、あたしたちには会話の断片しか聞き取ることができなかった。それでも「…マジで?俺?」とか「ずっと前から…」とか「…モトミヤくんは人気あるし」「そんなこと」なんてやりとりがあって、モトミヤという名前らしき男の子が最後にこう答えるのは聞こえた。

 「えっと…それじゃ、よろしく」

 サワキさんがぱっと顔を上げた。「…本当に?…私、で、いいの?」

 頬を赤らめてつぶやくサワキさんを見て、あたしと千波は(無関係なのに)こっそりハイタッチもどきをしていた。サワキさんの片想いが実ったのだ。


 サワキさんとモトミヤくんはときどき公園に来るようになった。そのたびにあたしと千波は隠れたけれど(最初にそうしてしまったから、なんとなくそれが習慣のようになってしまったのだ)、それも長い時間ではなかった。どうやらふたりは待ち合わせに来るだけで、ここから別の場所にデートに行くらしい。 

 学校から一緒に出ればいいと思うんだけど、校則が厳しいのかな、とかおとなしそうなサワキさんがみんなの噂になるのをいやがったのかな、とかあたしたちはいろいろ推測していた。

 あたしも千波も、サワキさんに勝手に好感をもっていた。だからはじめのうちは楽しそうにしているサワキさんを応援していたのだけれど、何度かふたりを見かけるうちに千波は難しそうな顔になっていった。

 「あのモトミヤって、サワキさんにはふさわしくないと思う」

 「はあ?いきなり何言い出すの」

 その日もふたりが落ち合って、話をしながら公園を出ていくのを見送ったあとだった。 

 短い時間にかわされた会話を聞くかぎりでは、ふたりはとても仲が良さそうに思えた。読書家らしいサワキさんが本の話をすると、モトミヤくんは「読んだことないけど、今度読んでみるよ。貸してくれる?」なんてにこにこしていた。

 なのにそれを言うと千波は人さし指を立て、厳しい顔つきになって言う。

 「そういうとこだよ。この前もサワキさんがなんかの映画について話してて、モトミヤが今度観てみよう、とか言ってたでしょ?もともとの趣味が合ってないってのは別にいいんだけど、モトミヤはその場かぎりで適当に愛想のいいこと言ってるだけだと思う。あれは駄目だよ、調子いいのは口先だけ、ペラッペラの軽薄男だね」

 あたしはびっくりして千波をまじまじと見つめてしまった。「なにそれ、まさかそれもおばあちゃんから教わった言葉なの?」

 ううん、と千波は首を振る。「前の家の裏のアパートのOLさん」

 千波のお母さんが心配するのもわかる気がしてきた。

 「うーん、だとしてもサワキさんはモトミヤが好きで」あたしまで千波につられてモトミヤを呼び捨てにしている。「本人が満足してるなら、あたしたちがどうこう言うことじゃないしね」

 だいいちあたしたちは一方的にサワキさんに好意を持っているだけで、友だちどころか知り合いでもない。小学生と中学生が最初からずっと盗み聞きをしていて、さらに彼氏のダメ出しまでしていたらいくら優しそうなサワキさんだって怒るだろう。千波の判断が正しいと決まったわけでもないし。

 そう思っていたのだけれど、千波は結局正しかったようだった。


 その日は珍しく、モトミヤが先に公園に来た。いつもはサワキさんが早く来てベンチに腰掛けているのに見当たらないので、モトミヤもちょっと意外そうだった。

 モトミヤはベンチに座るとスマホを出してしばらくいじっていたが、ちょうど誰かから電話が入ったらしく耳に当てて話し始める。

 「…おう。今?公園。サワキと待ち合わせ。…そう言っただろ、信じてなかったのかよ…そうそう、ここに呼び出されて。マジだって。ずっと好きでしたっ、とかもうひと昔前の少女マンガ?ああいうノリでさぁ」

 聞いていたあたしは自分の顔がこわばっていくのを感じた。笑いながら話しつつ、サワキさんが来るのを気にして公園の入り口をちらちら見ているのがよけいに腹立たしい。千波にいたっては今にも飛び出してモトミヤに殴りかかりそうな顔をしていたので、あたしが肘をつかんで止めていなければならなかった。

 「笑わしてもらったし、ああいうタイプはじめてだからちょっとつきあってみてもいいかなって…え?大丈夫だって、学校違うし。うちの学校にもカナの知り合いがいるから、いちおう注意してサワキとは別々に学校出てるしさ…ああ、塾だって言ってある。もちろんカナと会う日はサワキに塾だって言ってんだけど」電話からかすかな笑い声が聞こえてくる。「…そうだよ、だからカナには言うなよ。実は俺もそろそろ限界?とか思ってて。全然話合わないしさ、ノリも」そこまで言ってモトミヤは小走りの足音に気づいたらしい。「悪い、来たみたいだから切るわ」

 「ごめんね!当番の仕事が長引いちゃって」公園に駆け込んできたサワキさんを見た瞬間、モトミヤはそれまでの意地悪そうな顔から無邪気な笑顔に切り替えてスマホをポケットにしまった。「いいよ。じゃ行こうか」

 出ていったふたりを見送って、あたしと千波は憂鬱な気分で顔を見合わせた。

 「…サワキさん、もうすぐフラれるってことだよね」

 「フラれるっていうか…もともと二股かけられてて、しかもカナって子のほうが本命だったってことだね」

 「別れるのはいいとしても、どうせならサワキさんからフッてほしいなあ。あいつの本性知らせてあげたいけど、やっぱり無理…だよね」

 「知らせなくても、もうすぐわかっちゃうよ」

 あたしはため息をついた。千波があたしが名乗ったあともずっと「お姉ちゃん」と呼んでるみたいに、あたしはサワキさんを「お姉さん」という感覚で見守っていた。サワキさんがなるべく傷つかないといいと思ったけど、モトミヤにそんな気遣いを望むのは無理な気もしていた。


 次にサワキさんがやってきた時、あたしはひとりだった。千波はほとんど毎日来てくれたけれどそれでもやはり、時々は来られない日もある。ここにいるということはサワキさんはまだモトミヤと別れておらず、当然本性も知らないということだ。いつもどおりベンチに座り、文庫本を広げている。

 もしかして、あいつは今日サワキさんと別れるつもりかもしれない。あたしはサワキさんが心配で、かといってできることもなく、植え込みからそっと様子をうかがっていた。  

 …来ない。

 それから一時間くらい経っても、モトミヤは来なかった。

 この前のサワキさんみたいに、何か理由があるのかもしれない。それにしても遅すぎるし、サワキさんが落ち着かなげにスマホを何度も確かめているのを見ると連絡も来ていないようだ。

 さらに少し待って、サワキさんが思いきったようにスマホを操作して耳に当てた。ずいぶん黙ってそうしていたけど、モトミヤは電話に出ないらしい。あきらめていったん切り、今度はメッセージを打ち始める。

 途中でサワキさんは立ち上がり、公園の入り口から左右を見回していた。今まさにモトミヤが来るところではないか、と思っているのだ。

 やがて戻ってくると打ち終えたメッセージを送信し、サワキさんはスマホを両手で握って返事を待っていた。まるでお祈りをしているみたいに見えた。

 「お姉ちゃん」

 背後からささやく声がして、あたしは悲鳴をあげそうになった。いつのまにか千波がいる。サワキさんが入り口のほうに行っているうちに、植え込みをかきわけて外から入ってきたらしい。

 「サワキさんがいたから見られないようにこっちから来たの。用事でお母さんと駅前に行ってて遅くなっちゃったんだけど…なんでこんな時間にまだサワキさんがいるの?」   

 「あいつが来ないんだよ。このまますっぽかす気なんじゃないの」

 「ひどいね…あ、でも今はそれどころじゃないの。お姉ちゃんに話があって」

 「あ、ちょっと待って」

 サワキさんのスマホが鳴り、あたしたちはひそひそ話を止める。

 急いでサワキさんがスマホを操作する。ここで我慢できなくなったあたしは静かに立ち上がると、サワキさんの後ろから伸び上がるようにしてそっと手元をのぞきこんだ。

 『考えたんだけど、やっぱ俺たち無理だと思う。明日からは学校でも普通にクラスメートってことで、よろしく』

 そんな短くていい加減で身勝手な文章が目に飛び込んできた。サワキさんは画面を見たまま凍りついてしまっている。

 千波のところに戻ってメールの内容を伝えると、千波も息を呑んでサワキさんを見た。  

 直接言うどころか、待ち合わせをすっぽかしてさんざん待たせておいて、連絡が来てから(それもじかに話さなきゃいけない着信は取らずに)やっと返信をよこす。モトミヤは千波の言ったとおり、その場その場を適当にあしらっている奴だったのだ。

 あたしも千波もサワキさんも、黙り込んだまま時間が過ぎる。やがて工場の音が止み、あたりはさらに静かになった。

 それでようやくあたしは、あたりが暗くなっていることに気づいた。「千波ちゃん、もう遅いから早く帰ったほうがいいよ」

 「うん…でも」

 「話なら明日聞くから。サワキさんも」あたしはサワキさんを見る。泣いてはいなかったけれど、あたしたちが普通の声でしゃべってても気づかなそうなくらいぼんやりしていた。「早く帰ってくれるといいんだけど…」

 そのとき、公園の入り口に影がさした。その影はいったん入り口で立ち止まっていたけれど、サワキさんの姿に気づいたのかゆっくり中に入ってくる。

 うつむいていたサワキさんがはっと顔を上げる。でもその影はモトミヤではなく、サワキさんはもう一度うつむきかけた。けれど、知らない人間ということで今度は警戒心がわいたらしく慌てて立ち上がる。

 「何をしているんですか」

 影はサワキさんに話しかけた。緊張していたサワキさんの肩からすっと力が抜けるのがわかる。その影は作業服を着た男性で、大きな植木鋏と黒いビニール袋を持っていた。

 「役所の管理課の者です」サワキさんの視線に気づいて男は言った。「もう遅いですよ。おひとりですか?」

 「はい。でももう、帰ります」

 植え込みの中で会話を聞きながら、千波がささやいた。「この茂みも刈られちゃうのかなあ。隠れられなくなったら困るんだけど」

 「千波」あたしがいきなり呼び捨てで、しかも真剣な声で話しかけたので千波はびっくりしてあたしを見た。「さっきみたいに植え込みから外に出て、大急ぎで家に帰って…ああ、それより誰か大人に会ったらその人に警察を呼んでもらって。会わなかったら家でお母さんに頼んで」

 どうして、と言いかける千波を手で制して、あたしはまっすぐに目を見据えた。「お願い。…サワキさんが、危ないの」

 千波は一瞬の沈黙のあと、うなずいた。

 大通りまで送りましょうか、いえ大丈夫です。そんな会話をしながらサワキさんたちが入り口に向かう。そのあいだに千波はそっと植え込みをかきわけ、公園の外に抜け出した。少し音がして男が振り返ったが、風のせいだと思ったらしくすぐに向き直る。

 あたしの勘違いで、サワキさんは何事もなく帰れるのかもしれない。そう思いかけたのに、男は入り口の手前でサワキさんを先に行かせ、見送るふりをして背後に回った。 

 鋏が後ろ手に地面に投げられる。それと同時に黒いビニール袋がサワキさんの頭にかぶせられ、くぐもった悲鳴はビニール越しに押しつけられた手で塞がれた。


 暴れるサワキさんを後ろ手に押さえつけ、男は公園の奥へとサワキさんを引きずってくる。投げた植木鋏は公園の真ん中あたりに落ちていて、それを足でさらに奥に蹴るとその場所までサワキさんを運んだ。

 …警察が来るまでどれくらいかかるだろう?小学生の千波の言葉をお母さんや出会った大人はすぐに信じてくれるだろうか。千波は直接何も目撃していないから、具体的に説明することもできない。けれど千波には手遅れになる前に通報してほしかったし、なによりもここにいて危ない目に遭わせたくはなかったのだ。

 千波が人を呼ぶまで、サワキさんを助けるのはあたししかいない。

 男はあおむけに倒れたサワキさんのお腹を蹴り、そのせいでサワキさんは口を塞ぐ手を離されても声を上げられなくなっている。ビニール袋で息苦しくて、気絶しかかっているのかもしれない。ほとんど暴れていなかった。

 このままではこいつに殺される。

 ものすごく怖かったけど、サワキさんを殺させはしない。真面目で優しい人なのに軽薄男にフラれた上、変質者に殺されるなんてひどすぎる。

 もう一度蹴られてぐったりしたサワキさんを見下ろし、男が植木鋏を手にとったのを見てあたしは植え込みを飛び出し、自分でも何かわからないことを叫びながら男の腕を両手でつかんだ。

 神様、仏様、この際妖怪コモレビでもいいから、力を貸してください…!

 ぽかんとして動きを止めた男が、しがみついているあたしを焦点の合っていない目で見る。「なんだ…うわっ!なんだおまえ、なんなんだよっ」

 めちゃくちゃに腕を振り回す男にあたしは必死で食い下がった。どうやってもあたしが離れないので男はパニックを起こしたらしく、鋏を取り落として尻もちをつく。ぎゃあぎゃあ喚き続ける男の声のおかげか、サワキさんの意識も戻ったらしい。よろけながらも起き上がり、ビニール袋をはぎ取っている。

 状況が飲み込めていないらしいサワキさんも、興奮している点では男以上だった。ビニール袋の端を持って、目の前にへたりこんでいる男を殴りつけ始める。「なによ、なんなの、なんなのこれ!どうして私がっ、こんなっ…」

 できればサワキさんにはこの隙にさっさと逃げてほしかったのだけれど、そう思う以上にその迫力に押されて見守るしかなかった。いつも物静かに話していたサワキさんが、泣きながらだけど大声で怒鳴っている。その上人を殴っている。他に何もなかったとはいえビニール袋でというのがおかしいけど、植木鋏を振り回されるよりはいい。

 サワキさんはたぶん目の前の男だけでなく、モトミヤのことも殴ってたんだと思う。


 男の意味不明の喚き声とサワキさんの泣き声のおかげか、公園の外から人の声と足音が聞こえてきた。かすかにサイレンの音も聞こえてきたから、千波もがんばってくれたのだろう。

 腕を離しても男が動けない状態なのをたしかめて、あたしはまた隠れた。植え込みの裏に回るのと入り口で「どうした?」「何があった?」という声がするのは同時だった。

 それから男が駆け付けた人たちに拘束され、サワキさんが保護され、警察が到着して事情を聞き始めるのをあたしはこっそり聞いていた。男は訳のわからないことをぶつぶつ言っているだけだったけど、サワキさんはしっかりしていた。すごく怖かったはずなのに、本当は芯の強い人だとわかって嬉しかった。ひどい目にあったけどその分せめて、失恋のショックを忘れられているといいな、と思った。

 翌日になっても、公園には事件の噂をしにきた人がちらほら見えた。そんな人たちを避けるためか、千波は今日も植え込みをかきわけてやって来る。「昨日はごめんね。通り掛かりの人に知らせたあとで家から一一○番したんだけど、お母さんを説得できた代わりに今日はもう外に出ちゃいけませんって言われちゃって」

 「そりゃそうだよ。通報を許してくれただけよかったよね」

 新聞やニュースや近所の噂話で、事件の顛末はだいたい知っているようだった。千波はにっこり笑って親指を立てる。「間に合ったね、お姉ちゃん」

 「千波のおかげだよ」あたしは千波の頭を軽くなでる。「ありがとう」

 「サワキさんが無事でよかった。きっとお手柄女子高生、って有名になるね」

 あたしは笑った。「そうだね」

 「お姉ちゃんも手伝ったんでしょ?犯人がそれらしいこと喚いてるの聞いた人がいるって。錯乱してるだけだと思われてるみたいだけど」

 千波はあたしの顔をのぞきこみ、小学生に似合わない憂い顔をして聞く。「それで…どうする?あたしが警察の人に言おうか?なんか、うまく説明できる方法を考えて」そこまで言うといったん口を閉じ、目を伏せる。         

 「お姉ちゃんを殺したのも、あいつなんでしょう?」

 「…うん」

 あたしはあの男の顔を思い浮かべた。人がいないから痴漢も来ない、ってのんきに思っていたあたしも悪かったのだ。変質者はいたんだから。それにしても公園の管理人が変質者なんて反則だ。それとも油断させるためにそういうふりをしてただけなのか。   

 あの時もここで木漏れ日を浴びていた。いつのまにか眠ってしまって、目が覚めたら暗くなっていた。そしてさっきのサワキさんみたいに、あいつに声をかけられた。

 暗くなってから草木の剪定に来るなんて変だ、って気づいたのは殺された後だったんだから、我ながら鈍いにもほどがある。植木鋏を、ビニール袋を、あんなふうに自分に使われるなんて思ってもみなかった。モトミヤの本性に気づけなかったのを思うと、鈍さは死んでも治らない、ってことみたいだけど。

 だからこそサワキさんを同じ目に遭わせたくはなかった。自分を殺した相手に立ち向かうのは本当に怖かったけど、自分が殺した相手が向かってきたあいつのほうが先に怖がってくれたからなんとかなったのだ。

 「あいつが自白しなくても、あたしが掘り返して、遊んでたら見つけたって言って警察に知らせる」千波が目の前の木の根元を指さす。この木がこんなにすくすく伸びたのは、あたしのおかげでもある…のかな。「そうしたらお姉ちゃん、家に帰れるよ。ずっとここにいなくても」

 「…身体がここにあるから、家に帰れないわけじゃないんだ。家に帰っても、喜んでくれる人も悲しんでくれる人もいないと思ったら、ずっとここにいてもいいかって気になって」

 「そんなことない」千波は力強く言った。「お姉ちゃんのお父さんとお母さん、ものすごく心配してるよ。昨日駅前に行ったって話したでしょ?お姉ちゃんのお母さん、駅でお姉ちゃんの写真が入った紙を配ってたの。この子を見かけませんでしたか?ってやつ」

 「…嘘」あたしのことなんか、関心がないはずだった。家出したって気にしないだろうと思っていた。

 「本当だよ。お父さんと交代で、いろんな場所で配ってるんだって。警察も女子中学生の失踪ってことで最初は捜査してくれたらしいけど、もともと学校サボってひとりでどこにいたのか誰も知らなかったし、時間が経ってもなんの進展もないから行き詰まったんだって。…うちのお母さんに頼んで、少し話をしてもらったの。お姉ちゃんのお母さん、後悔してたよ。夫婦仲が悪くて娘の様子に気をつけてやらなかった、だから娘のことをなんにも知らなかった、話も聞いてやらなかった。だから行方を知る手がかりになるようなこともわからないんだ、って」

 …あたしは初めて、帰りたいと思った。こんな帰り方をしたらきっとお父さんもお母さんも悲しむだろうけど、それでも待っていてくれるふたりのいる家に帰りたかった。声が届くことはなくても、「ただいま」って言いたかった。

 「…お母さん…お父さん…」

 千波はうなだれたあたしを見て、申し訳なさそうに言った。「本当はもっと早くそういうこと調べて、お姉ちゃんに教えなきゃいけなかったんだよね。でもお姉ちゃんの言うとおり誰にも心配されてないなら、ここでこのままあたしの友だちでいてほしいと思って」少し恥ずかしそうに続ける。「お姉ちゃんと別れるのがいやだったの…ごめんね」

 「謝ることないよ。あたしだって、あんな奴がうろついてたような場所に千波が来るのは本当なら止めるべきだったんだよ。いつ危ない目に遭うかわからないんだから。だけど寂しくて、最初に話しかけられたときすごく嬉しくて…しゃべり方までおかしくなっちゃったくらい。明るいうちに帰すのが精一杯だった」

 あたしは泣いていた。ただひとりの友だちとの、お別れが近づいているのだ。

 「お母さんに相談してみようかな…うちのお母さん、ずっとあたしの言うことまともに聞いてくれなかったけど、昨日一生懸命話したら信じてくれたよ。だからきっと大丈夫だよ」

 千波も泣いていた。あたしもお母さんともっとちゃんと話ができたら、わかりあえたんだろうか。先生みたいにあきらめてしまわないで、もっともっと一生懸命、話してみればよかったんだろうか。

 「ありがとう…」

 あたしと千波は示し合わせたみたいに空を見た。ふたりで木漏れ日を浴びるのはきっと、これが最後だ。

 「…千波のことだけがちょっと心配だけど、ね」

 死者と普通に交流する少女。想像するだけでもこの先、難儀な人生を送りそうだ。

 あたしがわざと明るい声でそう言うと、千波は泣き笑いのような表情を浮かべて答えた。

 「おばあちゃんも、OLさんも、みんな別れ際にそう言ったよ。あたしは大丈夫だから、向こうでふたりに会ったらそう伝えといてね」

 くすくす笑いながら、あたしは目を閉じた。

 …失くした身体にも、陽の光の暖かみが感じられる気がして。

読んでいただき、どうもありがとうございました!

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