お天気屋のきみ
「カクヨム」様に投稿した作品をオリジナルに
「小説家になろう」様向けに描き直したものです。
オリジナルはこちら
https://kakuyomu.jp/works/16817330661464089221/episodes/16818093087469016981
じわりと滲みだした蒸すような
熱気に心をかき乱されたかと思えば
肌を手で擦り温もり求めるような
冷気が身体の中を吹き抜けていく
気分機嫌がコロコロと変わる
天気屋なのは知ってるけれど
それにだって限度はあるでしょって
ついつい声を上げたくなるけど
声の代わりに空を見上げて
風邪でも引いたの、と
問いかけてみる
いつも通りに答えはなくて
なんのことなの、と
どこ吹く風で
日差しを受けて背伸びするような
枝葉みたいに差し出されたのは
誰もが目を留めて立ち止まるような
紅葉みたいに染まる手のひら
気持ち加減が素直に出せず
言葉に出来ないと知ってるけれど
それにだって限度はあるでしょって
声上げる相手はあなたじゃなくて
なんのことなの、と
どこ吹く風でも
握ってあげたいその手を見つけられず
せめて少しでも息が楽になるように
その背にそっと手を添えた
夜が明けて 陽が昇るような 自然さで
夏過ぎ去って 冬が訪れ
辛いとも平気とも分からないから
できることがあるのかも分からないし
自分の行動はただの自己満足かもしれなくても