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さて、輝けるお姫様の美貌は年を経るごとにますます輝かんばかりになっていきました。
その黄金の髪は蜜のごとく、深い蒼の瞳は輝ける宝石のごとく、その微笑みは女神のごとく、ただし、その性格は・・・・少々変わったものになってしまったようであります。
「きゃあああああ、ローザ姫!その髪はどうしたのですか?」
侍女の悲鳴が響き渡ります。
「えとねー、邪魔だから切っちゃった」
腰まであった、艶めく髪が肩までばっさり切られていたのです。
「あの黄金のような髪をお切りになるなんて!」
侍女たちは涙を流さんばかりに驚いています。あるものは失神しかけるその姿を見ると、さすがのローザも悪いことをしたかもなぁと思うのですが。
「だって書き取りの練習するのに邪魔だったんだもん」
下を向きつつポツリとこう言い足しました。
「わたし、みんなみたいに覚えられないの。だから何回も練習してるの。でも髪が長いと書き取りの紙にかかってしまって邪魔になるから・・・」
「だったら髪を纏めましたのに!!」
鬼のような形相でつめよってくる侍女マーサに一歩後ろにひきつつも姫が答えます。
「頭重くなるから・・・やだ」
お姫様は自分の美貌に無頓着でありました。
でも、そのかわりに自分なりに必死に能力を高めようとしていたのです。
輝く美貌にあぐらをかかず、ローザは大変な努力家でした。