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短編集『錦上添花』其の一.  作者: Artciel@アルトワールドクラフツ
1/10

1.モンステラ

錦上添花(きんじょうてんか)


善美なものの上に、さらに善美なものを加えること。本来、美しい錦の上に、さらに美しい花を添える意。よいもの、美しいもの、めでたいことなどが重なることに用いる。

▽「錦」は美しい綾織物あやおりもの。

一般に「きんじょうにはなをそう」と訓読を用いる。

(三省堂 新明解四字熟語辞典より)


---


砕け散った破片、朧氣なる記憶は述べる。

質素ながら華やかなる王都(ミヤコ)

天国を表す色彩に満ちた花々。

数々の濃淡を潜ませた緑に満ちる木々――…

・・

堕とされし光の子を救うべく、数多の記憶を潜り操りて、辿り付きしは嘆きの箱庭。亡者共の棲まいにして奈落の底。亡者の纏う闇に抱かれし光の子等、蒼き剣に闇を剥がれ、かつて在りし場に還り賜う。其は滅びの女神、今尚彼の地に留まり、亡者の足掻きを刈り取りけむ。

さて、此処は何処であろうか。

・・

此の世は三千世界、其処には二つの国があった。

砂漠の王国ロブリーズと、極寒の帝国メガロポリス。

この二国は不自由な環境ながら、その勢力は均衡しており、度々戦争を起こすほど仲が悪かった。

しかし、頻繁な戦争は両国の繁栄を確実に阻害しており、過酷な環境下で破壊と創造を繰り返す物質的・精神的な余裕は最早無くなっていた。

以上より両国は、国主とその兄弟姉妹の政略結婚による休戦協定を長らく続けていた…――

ここ三千世界のおかには、北に帝国メガロポリス、南に王国ロブリーズという国が残っていた。後者はしばしば“沙漠の国”と形容されるが、実際は湿地・森林・熱帯エリアも存在している。

本日、熱帯エリアの植物を確認したので、報告する。

「着いたよー! …?」

王国の中心…から少々西を南北に縦断するニテス川は、王国最大流速を誇る川である。北は山岳都市スパイク、南は王宮城下町近郊まで伸ばすその勢力は、そのうち王宮ベルベットに流れ込むと警戒される程だ。

「暑い…死ぬ…暑い…」

「だいじょうぶ?」

「沙漠よりはマシかな…」

同時に、ニテス側沿いの地域の気候差も世界一で、北は冷涼、南は温暖湿潤という話だ。また行くことがあれば、温度調節の出来る服や魔法石は持って来た方が良さそうだ。

「つまりニテス川の氣候は極端なんだ…あ、コレかな?」

さて、アサヒとカロリーヌは王立植物協会による依頼に応じて、ニテス川に赴いていた。依頼内容は、或る植物の存在調査および採取だ。

アサヒは今見つけた植物と、頂いた依頼書を確認した。

「該当植物は熱帯エリアに生息、つる性、気根、

 葉に羽状深裂穴|(鳥の羽の様な深い切り込み)があり、水滴を出す事がある。

 切って出た汁はかぶれ注意…」

「モンステラね。サトイモ科。」

「サトイモかぁ。じゃあ、水は好きな方だね。」

モンステラは、茎の節々から白くて太い根を出すつる性の植物だ。

帝国では建物内に緑を提供する観葉植物として重宝され、王国から態々輸入している。

では、王国ではどう使われているのだろう?

留学生としては氣になる所だ。アサヒは色々質問してみた。

「大木に巻き付いてるけど、日光が苦手なのかな?」

「この様子だと、そうねー。」

「…なんでモンステラの葉には切れ込みがあるの?」

「あたしが聞いたのは、穴にあたる部分の細胞が死ぬんだって。」

「もしかして、細胞自然死アポトーシス

「よく分かんなーい。けど、それで光合成を効率良くするとか、

 風で折れない様にするとか、雨を通すとか、理由は諸説ある感じ。」

「そ、そうなんだ…ちなみに、王国ではモンステラって、何に使うの?」

「実を食べるの。」

「へ?! 実が、できるの?!」

「食べるのは或る品種だけだよ。人差し指を二回り大きくした様な、

 緑色の実が出来るから、その、ウロコみたいな皮を剥いて食べるの。」

「マジですか…」

「あ、丁度あるね! 食べてみる?」

「あっじゃあ、頂きまーす!!

 …なんだろう、バナナなのにフルーティな感じだ…」

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モンステラは茎葉を水に挿すと生える!つよいぞモンステラ!!

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参考ホームページ

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%9D%E3%83%88%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%82%B9

https://monstera.jp/mania/encyclopedia/flower/

https://allabout.co.jp/gm/gc/65936/

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CAST

・リノクのアサヒ

・カロリーヌ=コンフラワー

ようこそ、あるとわーるどくらふつ〈Art' World Crafts〉へ!

かつて巨匠パブロ・ピカソはこう仰ったそうです。

「芸術とはわれわれに真理を悟らせてくれる嘘である。」

(“Art is the liethat enables us to realize the truth.”)

植物の事も世の中の真理も知りながら、荒唐無稽を楽しむ事も、両立できたらと思い書いています。へえそうなんだ!と思って頂ければ幸いです。

それでは、また。


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Note:https://note.com/artcielinnature(同書修正後の投稿先;有料)

Ameba:https://ameblo.jp/artciel-in-creation/(二重投稿先)

Twitter:@artcielincreate

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