3話「腐敗の音」
鉛には毒性がある、この言葉の意味を知るのはもう少し先。
俺は心が踊っていた、春原さんの連絡先を知れたからだ
「まさか春原さんといきなりメアド交換することになるとは…春原さんも俺と話してみたかったのかな…」
多分その予想は合ってると思う、話したくなければメアド交換なんてしないはずだ。
男なんて単純だ、いくらクールなやつでも女子からメアド交換しよなんて言われた日には1日中そのことで頭がいっぱいになる。
「自分から送ろうか…相手から来るのを待とうか…」
こんなしょうもない悩みも学生の俺たちからすれば青春の1つと言えるであろう、ただ青春を謳歌する者にとっては挫折や失恋さえも青春という言葉1つにまとめ、思い出にまでもなるのだろう…。
数分後────
「雪くんこんばんはっ!」
そんな一言がメールで来た時俺は人によっては気持ち悪いと思われるほどめちゃくちゃ早く返信した。
「こんばんは、春原さん」
「今なにしてたー?」
「少し勉強してただけだよ」
「そうなんだっ!偉いね!私は眠いからもう寝る!」
「そっか、それじゃあおやすみ」
「おやすみーっ」
…そんな他愛もない会話をしても学校で話せるかは別だ、よくいるだろ?LINEとかでは兎に角話すけど直接では上手く話せない人、それは俺もなんだ。
次の日の朝
昨日のメールのやり取りを見返したあとつい頬が緩んでしまっていた。
「学校に行くか」
いつもなら学校に行くとなると途端に足が重くなるが今日は驚く程に足が軽くそのままスキップしてしまうのではかと思うほど学校に行くのが楽しみになっていた
学校に着くと奏斗がいた、いつもより元気がないようだ
「どうした?」
俺が話しかけても机とにらめっこをしている
「……放っておいてくれ……」
いつもの元気な声はなく掠れた声でそう言われた
そして少し経った時後ろから誰かに話しかけられた
「ゆーーーきくん、おはようっ」
俺はタジタジになりながらも
「お、おはよう」
「昨日は早くに寝ちゃってごめんね!?」
「全然いいよ」
「またメールで話そっ!もちろんこうやって直接でも!」
「わかった」
その後も少しだけ話した
俺は窓側の席なんだが北から吹く冷たい風に当たりながら小説を読むのが好きなんだが、こうやって誰かと話すのも悪くはないと感じていた。
それを横目に奏斗はぽつりと呟いた…
「…………んでだよ……」
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