変わりゆく日常
前回のあらすじ
目が覚めたら女の子になっていたんだ!!
「ふぁんふぁ!」
(何だ!)
本当は叫びたかったが声を出す瞬間に階段から人が上がってくる音がしたのでなんとか声を我慢し自分がさっきまで寝ていたベッドの布団の中へダイブした
そして、ドアノブが開きそこにはおたまを持った母親の姿があった
「悠介、あんた布団にくるまってにしてるのしてるの?」
「え〜っと、そーのー、なんというか朝起きるの怠くて、」
「そうなの?いいけど、あんた学校どうするの?もう智たちは学校行っちゃったよ」
「ちょっと頭痛いからがっこう休みたいんだけど、いい?」
そう言いながら頭を抱えて軽く咳き込む風を装ったりしたのが通じたのか母さんは
「いつも学校休まないあなたがそう言うのいなら、多分本当のことなんでしょうね、でもね〜」
唸ると同時に手に持ったおたまをを器用にペンを回すようにクルクルと回し三回転ぐらいしたところで再び声を出した
「まぁ、仕方ないわね、学校には連絡しとくからちゃんと休みなさいよ」
「はーい」
そうしたやりとりが一通り終わった後、母さんが部屋から出て行き、しばらく時間が経過しても自分の体は戻りそうにない、さらに言えば、これでも思春期の男の子なので自分の体が気になって仕方ない。男の時になかった胸の突起部分が気になってしょうがない、しかし、実際に触ろうとすると若干の抵抗を感じてしまうという謎の葛藤と闘っていると
今度は割れるほど頭が痛くなってきた。
「ぎぃ•••ぐぁ、、なんでぇ、、ぐぅぁ、、、、」
痛みで消えゆく意識の中で昨日の殴ってきた喋るぬいぐるみの高い無機質な声が聞こえた
「ようやく巡り合えて何よりだわ」
どういうことだと質問しようと口を開こうとしたが薄れゆく意識の中でただ口を開くことしかできなかった。
気がつくと青空だった朝の天気が消え、すこし雲がかかった夕日が部屋を差し込んでいた
「今何時だよ、体痛い、お腹すいた、、、」
今自分の中にある感情をそのまま口に出し、改めて自分の状態を確認すると体は男の体に戻っていた、そして自分部屋を見回すと机の上に見覚えのない1体ぬいぐるみが置いてあった。そのぬいぐるみは見るからに毛糸でできており目もボタンを付けただけの簡素な手作り感の強いぬいぐるみだった。
「おーい、そこのぬいぐるみ、何も喋らないなら今すぐ捨てるぞ」
少し時間が経ち、本当に捨ててしまおうと少し歩み寄ると再び無機質な高い声が聞こえた
「あなた、そういう発言は本当にやらないのが世間に常識じゃないの?」
「常識を知ってる奴は不法侵入なんていなさそうな気がするが」
「それよりもあなた、現実を受け入れるの早いわね」
「それで一体なんなんだよ、、」
実際はぬいぐるみが喋るというヤバイ現実を受け入れるというよりは心と体が疲れ切ってしまい、もうどうにでもしてくれ感が強すぎるため、本当に受け入れられてしまうという不思議なことになっているのだ。
「まずあんたは何者なんだよ」
「サァネ、なんだと思う?」
喋っている対象がぬいぐるみなので顔色が全く変化せず、どんな考えなのか読み取ることができない
結局、教えてくれたのは『自分の体は特定の状況下で女体化する』、『女体化するとなんらかの能力を使える』、この二つだけだった、どんな状況かで女体化するのかすら言われなかったので、下手に部屋を出ることができなくなってしまった、正直、最悪の気分だった。