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神聖女子の悪友に認定された俺。  作者: 坂井ひいろ


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025 見慣れないアプリにドキ!

 心地よい疲れを感じながら、ホームで独り帰りの電車を待つ。


 ブルル、ブルル。


 ・・・?俺のスマートフォンが右のポケットの中で揺れる。


 ドキ。


 スマートフォンを取り出すと、見慣れないアイコンに着信のマーク。何だこれ?


 ちょっと迷ったが、思い切ってアイコンをタップする。アプリが立ち上がる。


 何だこれ、やたらと少女っぽい画面。タイトルは・・・。


『カップルアプリ 二人の恋が深まる天使の小部屋』


 これ、バカップル専用アプリだろ!


 メッセージが現れる。


『一哉、ありがとう。楽しかった。気をつけて帰ってね。これは、ご褒美』


 いつの間にインストールしたんだ。優のやつ。アプリの中のアルバムソフトが自動的に立ち上がる。優の撮ったペンギンの写真やら、彼女の幼い頃の写真がスライドショーで次々と表示される。


 優に見せてもらった、ドンくさデブの三島優みしま ゆうだ。微笑ましい。


 くっ。俺の昔の写真も全部かよ。うげ、優の撮った今の俺の写真まで・・・。


 くそ、顔面筋肉が緩みまくっている。完全にアホ顔じゃんかよー。だから見たくなかったんだ。


 おふっ。温泉旅館での俺の寝顔。あのやろー、こんな写真も撮ってたんかい。


 なるほど、寝ている間に仕込んだんだ。バカップルアプリ。


 ブルル、ブルル。


 スマートフォンが再び揺れて、メッセージが届く。


『一哉の撮った写真も入れてね。ズルとか内緒はなしだぞ。私の唯一の悪友ワルトモ工藤一哉くどう かずや


 逃げられそうもねーなー。俺は写真ホルダーごとバカップルアプリにドロップした。


 ブルル、ブルル。


 三つ目のメッセージが届く。


『一哉、優のエッチい写真ばっか撮っている』


 俺はメッセージを返信する。


『優がエロいのが悪い』


 ブルル、ブルル。


 すかさずメッセージが帰ってくる。


『じぁあ、これはオマケ』


 添付された画像を見てウッとなる。


 こっ、これは!お揃いのTシャツをきた優のカットバン前の写真・・・。学園のヘタレ平民男子を一瞬で悩殺できる最強お宝画像。トイレで自撮りしたのか。何てやつだ。


『殺す気か!』


『死んだら困る』


『なら慎め』


『はい』


 バカップルアプリのチャットでこんなメッセージのやり取りをしていたら知らない内に、俺の乗るはずの電車がホームを出て行くとこだった。


 ほんま、もう。乗り遅れただろが。


『私のスケジュールをまるっと全部共有してっから、一哉も入れてね』


 二人のスケジュールなるものを開く。えっ!


 優のやつ・・・。勉強や習い事で分刻みにスケジュールが埋まっている。エステタイム迄設定されている。これ全部こなしてんのか?


 容姿端麗、頭脳明晰、スポーツ万能!三拍子揃い組のクールビューティ、天下無双の学園アイドル、佐伯優さえき ゆうは血のにじむ努力の上に成り立っていることを思い知った。


 一カ月、予定ゼロの平民男子の俺とは大違いだ。神聖女子アンタッチャブルはやっぱり雲の上の存在なのだ。


『俺、特にスケジュールなんて無いし』


『じぁあ、一哉のスケジュールも私がいれてあげる』


『遠慮する。いや、断固拒否。優と同じスケジュールなんて死ぬ。ヘタレ平民男子には無理』


『じぁあ、一哉のお休みは全部優のもの』


『それも拒否。せめて土日の一日にしてくれ。体も、心も、心臓ももたん』


『うふ。じゃあ入れとくね』


『お前、土日もスケジュールがビッシリだぞ』


『オールOK。まるっとキャンセル。悪友ワルトモ優先』


『好きにしろ』


『うん。好きにする』


 こうして俺のスケジュールは勝手に埋まっていく。待ち合わせ場所や行き先の情報までタップ一つで出るなんてけっこう便利だ。


 基本、バカップル専用アプリだから、二人以外はロックがかかって使えないようになっている。


 顔認証ねー。これなら、母親おかんや学校の他のヘタレ平民男子に優との共有アルバムとか覗かれる心配もないか。


 おっ。ご丁寧にカモフラージュアイコンとか、メイン画面のラブラブ感を消してカスタマイズもできるんだ。


 って、これ誰が使うんだ。お昼のスクープ番組とかにでる大人の世界の事情ってやつか。


 まあ、神聖女子アンタッチャブルとヘタレ平民男子の悪友ワルトモ関係はある意味学園の大スクープに違いないけど。


 世の中知らんところで進歩しとるわ。リア充カップルのことなんて全然知らんと言うか縁が無いから、バカップルアプリなんか見向きもしなかったけど・・・。


『三か月分、一哉と優のラブラブスケジュールを入れたよ』


『ラブラブちゃうし。悪友ワルトモだろが。殺す』


『でへ』


 しかし、神聖女子アンタッチャブルのプライベートをこんなに大っぴらに知って良いものなのだろうか。


 隠し事無しとか言うレベルか、これ。位置情報を共有してっから、リアルタイムにどこにいるか迄丸見えだぞ。


 まあ、俺としては待ち合わせに便利だし、優の乗った電車がちゃんと優のうちに向かってっから安心だけど・・・。


 あれっ!優のうちの住所も、優の誕生日も、記念日も、星座も。うっ。手相占いの結果まで丸わかりじゃんかよ。


 うわっ。昨日のスケジュールのタイトル・・・。


『一哉と優の初めてのお泊り』


 んで、中身は・・・。時間付きで克明に記されている。


『一緒に花火』とか『一緒に宝探し』とか、まだ許せるが『一緒お風呂』とか『一緒にお寝んね』とか勘違いするだろ。優の父親おとんが知ったら死ぬわ。


 思わずメッセージを打ち込む。


『優、昨日のスケジュールのタイトルは何だ!』


 即座に返答が戻ってくる。


『事実。優、嘘は書いてない』


 事実だけど・・・。


『一哉と優の大切な思い出』


 それも、ある意味、事実だけど。


『忘れたくない』


 ・・・。


『優の好きにしろ』


 こんな返事しか書けない俺ってどうなん。ヘタレ平民男子。工藤一哉くどう かずや。なんもかんも、全てさらけ出して共有する悪友ワルトモを得たのだった。


 技術の進歩と優の大胆さに、俺の心臓がトクンと鳴った。

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