表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界が奏でる鎮魂歌  作者: もやパン
第一章 いざ異世界へ
5/9

第4話、森の謎

更新が遅くなってすいません

いつもスマホで更新しているのですが、そのスマホが割れてしまうという事件と、期末テストが重なりかなり遅くなってしまいました


これからまた定期的に更新する予定です!


それでは第四話、どうぞ

 ──生き延びる為には敵を倒すしかない──


 それが、この場所でケンが学んだ事だ


 戦わずに済めばそれに越したことはないが、戦う事になった時には相手を殺してでも勝たなくては、ここで生き残ることなど不可能だということを知った

 


 そもそも今回は化け物同士を戦わせる事で上手く逃げ切る事が出来たが、本来であれば熊は時速30km以上の速さで走れたはずなので、どんなにケンが走ってもすぐに追いつかれるはずだった 

 それに、もし緑熊が最初からケンを本気で殺しに来ていたら、オーガモドキと戦わせて瀕死の状態まで弱らせることも出来ずに、ケンは殺されていただろう

 

 そしてそれは、あの赤目のキメラにも言えることで、もしあのキメラが本気で殺すつもりで前足を振るっていたら、今頃ケンはひき肉になっていただろう

 

 (もっと強くならなくちゃな)


 「あれ‥‥?」


 そう考えて立ち上がろうとしたケンは、自分の体が上手く動かない事に気が付く


 見れば、体中の大小様々な傷口から血が流れており、そのままにしておけばすぐに失血死してしまうほどだった

 さらに、アドレナリンで麻痺していた痛覚が戻ってきて、いままでに感じた事もないような激痛がケンを襲う


 「っあぁぁぁぁぁぁ!!」


 痛みと大量出血で意識が朦朧として、ケンは倒れこんだ先、ケンが目にしたのは緑熊の死体の傷口から流れる淡く光る血液と肉だった


 その時ケンの本能が叫ぶ

 

 それを食え!、と

 

 「グッ、血が、足りねぇ‥‥血を‥よこせ!」


 激痛で痛む体を無理やり動かして緑熊の死体に近付くと、傷口から見える生肉に齧りつく

 口の中に溢れる血を飲み、肉を食いちぎるとほとんど噛まずに呑み込んで、また肉に食らいつく

 とてつもなく不味い肉だが、今はどうでも良かった



 そうしてしばらく血肉を貪っていると、だんだんと傷口から流れる血が止まっていき、折れた骨は元に戻っていく

 

 (なんだこれは!?緑熊の血肉には回復効果でもあったのか?‥‥でも、とりあえず失血死する心配は無くなったみたいで良かった)


 近くに生えていた植物の葉を使って体に付いた血を拭き取ったケンは、立ち上がって再び崖に向かって歩き出した





~~~~~~~~~~~~~~~~~



 化け物に見つからないよう、周囲を警戒しながら歩いていたケンは、とある化け物を観察していた

 その化け物は木に実った果物の様なものを食べている



 (あれはこの辺りに生えている木に実っているみたいだが、食える物なのか?‥なんか旨そうだし1つ食ってみるか)


 そう考えつつ化け物から離れたケンは、先程見た果物を1つ手に取って一口齧ってみる



 (う~ん、見た目と食感はリンゴなんだけど、味は梨とキュウリを足して二で割ったみたいな微妙な感じだな‥‥旨くは無いけど食料としてはありだな。それよりも‥‥)


 もう二、三個リンゴモドキを食べたケンが上を見上げると、崖はもうすぐそこだった


 「蜘蛛の巣の上から見た時は、2km位しか離れてないように見えたんだが、ここまで来るのにかなり時間がかかったな。まぁ、とりあえず物は試しって言うし、少し登ってみるか」


 崖登りやロッククライミング未体験のケンがいきなり崖を登ろうとするのは危険なことだが、その場にケンを止める者は誰もいなかった


 手足を出っ張りに掛けて崖を登っていく


 緑熊を食べてからやけに体が軽かったので、行けるのでは?と思ったのだ

  

 


 そうして崖を登り始めて十数分、ケンは違和感を感じて動きを止める

 下を見ればかなりの高さを登ってきているのがわかるのだが、上を見ると、崖を登り始める前よりも崖の頂上が遠くに見えるのだ

 

 「‥‥どうなってやがる」


 焦りだす気持ちを押さえつつ崖を登り続けるが、とうとうケンの手足に力が入らなくなり足を滑らせてしまう

 

 「ヤバっ!‥‥って、あれ?」


 しかし、一瞬の浮遊感の後、気が付くとケンの体は地面の上にあった


 「いったい何がどうなってるんだよ‥‥まずは崖を調べなきゃって事か?ハァ‥」




~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 

 崖を調べ始めておよそ二時間後、まとめると大体こんな事が分かった


 ・崖の端から端まで大体5km

 ・崖の高さは目測で200m

 ・いくら崖を登っても上にはたどり着けない

 ・あと、なんか崖の割れ目の先に洞穴がある


 

 あの後、もう一度崖登りにチャレンジしてみたが結果は変わらなかったため、仕方なく洞穴探検を先にすることにした


 「さてさて、鬼が出るか蛇が出るか‥‥」


 割れ目を抜けた先にはコンビニ程のスペースが広がっており、光るキノコが中を照らしている

 

 そしてそこには、

 

 「なっ!?あれはリュックサックか!?」


 ボロボロになった大きなリュックサックが置いてあった

 ケンは急いでそれに近づくと、中身を確認する


 「中身は、服に、水筒、ゴミに、ナイフ、これは何かの工具か?それと、手帳?中に何か書いてあるな」


『‥17年11月‥5日

 この手帳に私達‥‥こった事‥の場所についての事を書こうと‥‥‥

 11月17日、私‥‥山登りをしていた筈‥‥気が付いたらこの場‥‥‥、何かに崖から落と‥‥った

 そこで、私達はこの洞‥けて、救助を待つことに‥‥が、いつまで経っ‥‥‥‥る事はなかった

 この場所は異常だ、どこかおか‥‥

 ‥‥が崖から落‥た時、落下し始めたと‥ら一瞬で崖の下にいた

 さらに、この‥‥‥がる樹海には、見たことも‥‥‥‥一撃で大岩を粉砕する奴や、毒のよ‥‥‥‥‥‥‥何メートルもある巨人もいた

 さらに、私の友‥‥のをた‥‥せいで死んでしまった

 もうすぐ私の‥‥常食もつきて‥‥‥‥‥

 最後にもしこの手帳を‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥』



 「読めるのはここまでか‥‥しかし所々読めなかったとはいえ、この手帳のおかげでかなりの事が分かったな。

 まず、俺の体験や手帳に書いてある事から推測するに、この崖は小説で言うところの空間が歪んでいるっていう状態なのかもしれないな。

 そう考えればあの高さから落下した俺がほとんど無傷だった説明もつくし。ん、なんだ?」


 割れ目から外を見てみると少しずつ暗くなっていくのが見えた


 「夜ってことか。今夜はここで大人しくしている方が良さそうだな」


 そうつぶやき、壁に寄りかかって座ったケンは目を閉じて先程の考え事に意識を戻す


 (手帳の内容から察するに、恐らくこの場所にいつづけても助けは来ない可能性が高いだろうな。それに崖を登って脱出する事も不可能みたいだしなぁ‥ そうなると森の奥に行くしかないのか?

 しかし今の俺じゃぁ化け物達に簡単に殺されてしまうだろうしな‥‥生き残る為にも、ここから出る方法を探す為にも強くなるのが必須条件ってわけか)


 そうしていると次第にケンは眠気を感じ始める


 (ふわぁ、眠くなってきたな‥‥今日は色々と大変な日だったな‥)


 こうしてケンは眠りについた





///////////////////////////////



 木が生い茂る森の中、3歳ほどの小さな子どもが泣いている


 パパ、ママ、どこにいるの?、と


 その小さな子どもを噛み殺そうと、口を開ける大きな獣にも気付かずに


 しかし間一髪、その小さな子どもを真っ白な鹿が助けて、安全な所へと連れて行ってくれた


 そしてその鹿は小さな子どもに向かって言う


 『人の子よ‥‥私がいつでも貴方の側に居てえげましょう。だから貴方は決して1人ではありませんよ。』


///////////////////////////////

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ