第1話、赤目のキメラ
初めての作品で初投稿です。
色々と至らぬ所はありますが、どうぞ宜しくお願いしますm(_ _)m
更新は結構ランダムになると思われます。
突然だがここで問題だ。
ドラゴンク○ストやポケット○ンスターのようなRPGにおいて、何故序盤で戦う敵は弱いのか?
答えは簡単、弱い敵にしないとゲームバランスが狂うからだ。 例外として負け確定イベント等もあるが結局は見逃してくれたり、誰かが助けてくれたりする。
例えば、何の装備も持たず、助けが来る可能性も無い、見逃して貰える可能性も無い、ついでに復活も出来ない、そんな条件でラスボスクラスの敵が序盤で出て来るとしたらそれは一種の無理ゲーである。
要するに何が言いたいのかって言うと、ゲームではなく現実でキメラの様な化け物を叩き起こしてしまった俺こと三上 健は、今まさに絶体絶命のピンチだった。
後ろは崖、前にはキメラ、逃げ場の無い俺の背に冷たい汗が流れる。
キメラがゆっくりと体を持ち上げる、ライオンに似ているが桁違いに大きく、猫の様な赤く鋭い目は真っ直ぐ俺を見ていた。
瞬間、途轍もない殺気が放たれ俺は動けなくなってしまった。
生まれて初めて向けられる本物の殺気は俺に明確な死のイメージを与え、次の瞬間
「…!!!」
俺の体はキメラの前足の一振りでぼろ雑巾の様に吹き飛び、後ろの崖へと落ちていった。
目の前が暗くなっていくのをぼんやりと感じながら…
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時は少しさかのぼる
「青い空…白い雲…透き通った海…そしてビキニの姉ぇちゃん!やっぱり夏と言ったらこれしかないだろっ!今年の夏休みは海に行くぞぉ!」
「今年の夏は高校生初めての夏休みだよ?部活とか勉強で忙しいんじゃないかな?」
「んなこと知るかよっ!海を背景にビキニの姉ぇちゃんを見るのが男の夢だろうが!」
「男だったら誰でも変態みたいに言うのは止めて貰えないかな?僕は君と同類だと思われたくないんだが?」
「はぁ?何言ってんだお前?男だったら誰でもこんなもんだろ?健を見てみろよ、お手本の様なドスけべじゃねーか。」
「確かに健君の変態さには目を見張る物があるね。その意見には僕も賛成だ、中学生の時健君がエロ本持ち込んで何回先生に怒られた事か…」
「おい、ちょっと待て。なんであの流れから俺が変態扱いされてんだよ。そもそも中学生の時、エロ本持ち込んで怒られてたの竜二だろ!」
「何のことだか。なぁ?」
「いくら恥ずかしいからといって、他人に罪をなすり付けるのは良く無いんじゃないかな?健君」
「そもそもお前は普段俺の事君付けで呼ばないだろうがっ!秀!」
「………」
「無視すんな!そのメガネ叩き割るぞ!」
「やれやれ…そうやって君はすぐ暴力で解決しようとする。全くもって困ったことだ。」
「うるせぇ!そもそもお前らこのクラスじゃないだろ!さっさと自分のクラスに戻れや!」
埼玉県立の実業高校の一年生のとあるクラスでいつもの三人組が、一学期最後の昼休みをいつも通りに騒いでいた。
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部活が終わり、ケンは体育館に来ていた
「帰るぞ~!早く来いよ~!リュウジ~!」
「悪い悪い、バスケの練習が長引いてな」
「ほほぉ…流石はバスケ部期待のエース阪倉 竜二さんですなぁ? カッコイイナァw ウラヤマシイナァw」
「…いやいや、空手部期待のエースである三上 健さんには負けますよ。いや、しかし小さすぎてどこに居るかよく分からないナァw」
「グッ…」
リュウジは193cm、ケンは172cm、ケンも小さいわけでは無かったがリュウジが相手では部が悪かった
「二人とも、何くだらない言い争いしてるのさ。」
「いや、メガネバスターさんには関係の無い話だよ。」
「そうだな、ケンよりも更にちっこいメガネバスターさんには関係の無い話だよ。」
「メガネバスター…って誰がメガネだ 僕の名前は寺園 秀だって二人とも知ってるだろ。メガネかち割るぞ」
「ブプッ… ちょ、シュウ自虐ネタは止めろって わ、笑っちゃうから」
「テデェ~ン♪ リュウジ、アウト~! オラッ!空手部のケツキックを食らえっ!」
「グハァッ!」
「哀れだな、リュウジよ… メガネとは使い方によって様々な事に役立つのだよ(クイッ)」
((うわぁ… 腹立つ…))
「? 何か言ったかい?」
「「何でも無いです」」
「そんな事よりさ!昼休み言った通り海行こうぜ!海!」
「はぁ… 君は言い出すと止まらないからな… まぁ良いだろう、僕も用事がない日を作っておくよ。」
「そうだな。俺も空手がない日だったら基本的に行けると思うぞ。」
「よっしゃぁ!流石お前達だ、分かってるなあ!」
「後はLINEで相談な。 じゃあな!」
「おう! じゃあなケン!」
「またね、ケン」
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「ただいまぁ」
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ケンはボロアパートに一人暮らしだった。
ケンの家は三人家族、両親は生きているのだが二人とも仕事上各地を転々とすることが多く、必然的にケンは一人暮らしをする事になった。
ただ家族関係が悪い訳ではなく、稀に家族が揃う時は外食などに行き家族皆で楽しく会話をしている。
それでも一人で居る時間が多いケンは暇潰しに小説を読み始め、特に異世界ファンタジー系にハマってしまい、今ではファンタジー小説だけで本棚が一つ埋まっている。
「異世界行ってみてぇなぁ…」
ケンは若干中二病だった