第五話ー反逆者という名の協力者
「何だ…反逆者じゃない。」
現れたのは、髪が水色の少年。
様々な疑問が浮かんだが、俺はミナを守るためにミナを後ろへと誘導する。
「反逆者ですが、僕にはユストというちゃんとした名前があります。」
「あら、ついさっき私たちを裏切ったオロオロ君。珍しく態度が大きいわね。」
何の話か全くわからない。
が、裏切ったという事は、もしや…?
ユストと名乗った少年は、俺たちの方へ向き直る。
「僕は、あなたたちの味方です。
僕は以前から、ミナ・ウォーリスを捕らえようという団体に所属していました。ですが、1人の少女の力を利用するなんて事は残酷だと思い、団を退団しました。」
お辞儀をされたが、まだ敵か味方か判断するには早いだろう。
俺はユストという少年を睨み付ける。
するとユストは俺の意思を察したのか、
「すみません、いきなり。疑われるのは当然ですよね。」
その時、シェスの怒号が飛び交う。
「あんたら…私たちの事散々馬鹿にしやがって…っ! 黙ってろ水色髪! 私は私の目的があるッ!」
シェスから飛んでくる光の球。ユストは、それを軽々と弾いてみせた。
「名乗り遅れました、ジオンさん。あなたたちの事は知っています。ーー加勢します。」
どうやら本当に味方のようだ。
「ダークダンス!」
「フレアライト!」
次々と放たれる魔法の数々。
俺は魔法は使えないが、隙を見ては攻撃している。
流石に互いに疲労の色すら見えてきた。
「1対2、差があるわね。」
やや喘いでいながらも、シェスは不気味に笑ってー
「…私の最大魔力を込めた魔法…。これで終わりよ!
インシェルブライトッ!」
辺り一面が真っ赤に染まりだした。
「ミナ、伏せろ!」
それしか言葉が出なかった。
ギシギシと重い音を轟かせ、地面が徐々に揺れ始める。
俺はミナを庇うように伏せた。
「ナーサージボルト!」
俺は歯を食い縛る。しかし、声の主はユストだった。
彼はシェスの魔法を牽制する。
突如シェスが叫ぶ。
「邪魔をしないでッ! 私は欲しいものがあるッ!」
「…最大魔力という事は、力を出し切った証拠ですよね。」
俺ははっとした。
「今です、ジオンさん!」
「うおおおおッ!」
ユストが声を発したその時、俺は雄叫びを上げながら全速力でシェスの元へと走った。
近づきーー飛び上がる。
「これで最後だ! アンソールド・スラッシュッッ!」
ガガガガガガガッ!
…気づいたら、赤い景色は、元の広々とした平原に戻っていた。