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元罪人と元王女の旅日記  作者: 黒澤℃aИa╋a
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第二話 夜の国

どこまでも続く草原に、一台の魔導走行機が入っていた。運転席には暴風メガネを付けた青年が、後ろの荷台には綺麗な銀髪の髪をなびかせている少女が乗っていた。


おっと、自己紹介がまだだった。私は荷台に乗っている方の少女、ラフィーナです。今日から彼との旅日記を書いていこうと思ったの。


「もうすぐ着くぞ。お姫様。」

「もう、私はもうお姫様ではないのよ?ラフィーナって呼んでちょうだい。」


影狼は魔導走行機のスピードを上げた。彼女達の先にはすでに新たな国の城壁が見えていた。

スピードを上げていた魔導走行機はあっという間に城壁に着いていた。


「ラフィーナ、俺は検問を済ませてくるから少し待っててくれ。」


彼はそう言うと、門の近くにあった小さな小屋らしきところへ向かった。


見た感じとても大きい国ね、城壁の終わりが見えないわ。


ラフィーナは他国を訪れるのは初めてだった。

今回彼女達が訪れてきた国は、「夜の国」と呼ばれているところだった。

彼女がぼんやりと城壁を眺めていると、検問から戻ってきた影狼がいた。


「待たせたな、さぁ入ろう。」

「初めての外国。とてもわくわくするわ!どんな国なのかしら!」


* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *


しかし、彼女達の期待に反し町はとても静まりかえっていた。大通りには人が一人も居なかった。

とっくに昼は過ぎているのに、誰も起きている気配がなかった。


「何か様子がおかしいな、とりあえず宿屋を探そう。情報収集はそのあとだ。」


彼女達は町の中央付近にあった宿屋に入った。

しかし、カウンターには誰も居らず呼び出し鈴だけがおいてあった。

呼び出し鈴を鳴らすとしばらくしてこの宿屋の店主らしき人がでてきた。


「こんな時間にお客様とは、めずらしね。」

「私達今さっきこの国に来たんです。ひとまず部屋は空いてませんか?」


手続きをすませると、宿屋の店主がこの国について説明をしてくれた。


「お客様旅人なんだろ?それならこんな時間に来てしまうのも無理はない。」

「もうお昼過ぎなのになぜ町に誰も居ないんだ?」

「この国は少し特殊でね、国民みんな夜に起きるんだ。」


ん?夜に起きる?いったいどーいう事?


「この国はね昔からみんな夜に働いて、朝になる頃には眠る。そんな暮らしを続けてきたんだ。

だから大抵この国を訪れた旅人さん達はとても驚いているよ。」


なるほど、それで皆居なかったのか。でも人間は体の作り的に、夜行性でいるのは難しくないのかな?


「詳しいことは俺たちにもわからない。よかったら城にでも行ってみたらどうだい?国王様なら何か知っているだろ。」


「ありがとう」と彼女達はお礼をすると、魔導走行機にまたがり町の中央にあるお城を目指した。


「すごい、とても大きいお城ね。」

「あぁ、国自体とても大きいからな。それなりに裕福なんなだろ。」


お城はとても大きく、立派な作りになっていた。

周りをぐるっと背の高い柵に囲われており、厳重な警備がとなっていた。


「さきほど入国した旅人だ。よければ国王様に合わせてくれないか?」

「あなた方が旅人さんでしたか、国王様が歓迎しています。ぜひお話をと。」


ラフィーナ達は城の入り口にいた兵士に連れられて、城内へ入った。

少し歩くと大きな部屋に案内され、中に入ると国王様が歓迎してくれた。


「ようこそ旅人さん。私はこの国の王、テスタと言います。」

「丁寧な歓迎ありがとうございます。私はラフィーナと申します。こちらは私の連れである影狼と言うものです。」


どうも、と軽く挨拶を交わすと。影狼は早速質問をしだした。


「早速ですまないのですが、この国はどうなっているのですか?」

「そうだな、まずはこの国の歴史から話していこう。」


国王様は私達に丁寧に説明してくださった。

曰く、この国は昔夜戦をとても得意とする国だったそうだ。そのため夜戦に徴収された兵士達は昼夜逆転の生活を強いられていたらしい。そのため兵士達からは日に日に不満が溜まり、兵士を辞めていく者が後を絶たなかったそう。

この問題を解決すべく当時の国王様は、国で一番の魔女のもとへ向かい頼みごとをしたらしい。

「この国のすべての人が、昼夜逆転の生活になる魔法をかけてくれ。」と。

頼まれた魔女は雨の中に魔力を込め、雨を浴びた国民はたちまち夜行性になったらしい。

その魔法は新たに産まれてきた子供にも受け継がれ今の国になっているのだと。


なるほど、昔の兵士さん達も普通に暮らしていけるようにしたのね。とても大袈裟な気もするけど…


「なるほど、それでこの国は夜の国と言われているのですね。しかし、このような状態にしてしまったらもし他国に襲われた時とても危なくないのですか?」


影狼がそう質問をすると国王様は自信満々に答えてくれた。


「簡単なことさ。この国の近辺には同盟を結んでいるところ以外の国は、私達がとうの昔に戦争で消したからだよ。」


それだけの力があるからこそ、同盟国も私達の国に手をだしてこないのだと。


* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *


ラフィーナ達は一度宿屋に戻り、夜になってから再び町へ繰り出した。


「とても賑やかな町ね、夜なのに昼みたいに明るいね。」

「大規模な国だからな、いろんなところを見て回ろう。」


町は昼とは違い、とても人が溢れかえっていた。

今から仕事に向かう者、急いで学校に向かっている学生など今が朝だと錯覚してしまいそうだった。

ラフィーナ達は3日間の滞在をへて出国の日を迎えた。


「旅人さん、少しいいかね?」


ラフィーナ達が門から出ようとすると、城の兵士

が彼女達を呼び止めた。


「君たちこれからどこの国へ行くか目処はついているのかい?」

「いや、まだこれから考えようと。」

「だったらこの地図を持っていくといい。でないと大変な事になるぞ。」


影狼は兵士から地図を受け取り、何か察した様子だった。


「確かに、これは大変な目にあうとこでした。ありがとうございます。」


ラフィーナ達は軽く会釈をし、国を出た。


「ねぇ、あの兵士さんが言ってた大変な事って何?」

「ヒント。国王は何て言ってた?」


国王様?うーん…何て言ってたっけ?


「覚えてないのか…簡単なことさ。この国の近辺には同盟国、つまり俺達がもともといた国以外は近くに無いってことだ。」


なるほど、それってまさか…


「次の国までは相当かかるな、地図が無かったら一生着きそうにない距離だな。」

「てことは野宿するの!?やったー!」

「夜虫がいても騒ぐなよ。」


ラフィーナは影狼の言葉など一切聞かず「早く早くー」と早速魔導走行機にまたがっていた。


「行くか。」


影狼はそう言うとエンジンを掛け、次の国へと向かった。


どうも作者の黒澤です。久しぶりに書いたので、とても苦労しました。ようやくラフィーナ達が旅に出たのでとりあえず一安心。これからも不定期ですが更新していきたいと思っています。


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