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元罪人と元王女の旅日記  作者: 黒澤℃aИa╋a
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第一話 暗闇の中で

どうも作者の黒澤です。少し前に同じようなタイトルで作品を出していましたが、事情により一度アカウントを消しました。まだ初心者感がありますが最後まで読んでいただければ幸いです。

薄暗く少量の光さえも差し込まない部屋。中には家具というものはほとんど存在せず、俺の両手を繋いでいるくさりしかない。


え?ここまで説明して分かんないの?はい、ここは牢屋の中です。いやーまさか俺が捕まるとは思わなかったよ。それじゃなぜ俺が捕まったのか説明しよ…おっと誰かが来たようだ。


遠くから金属の扉をあける音がした。少しずつこちらへ近づいているようだ。足音は次第に近づき、その足音は影狼の牢屋の前で止まった。


お、まさか俺に用があるとはな。なんだ俺の顔に免じて出してくれるのか?それはありがたい。では早速…


「ねぇ、貴方ここ以外の国を見たことある?」

「ふぁ?」


おっと、俺としたことが。つい変な質問が来たもんで、おかしな声になってしまった。ここは気を取り直して。


「はぁ?お前なにいってんだ。当たり前だろ?なんたってこの俺は…」

「そうなの!?どんな感じだった?教えてよー!」

「おうおう、ちょっと落ち着け。その質問に答える前に。お前だれだ?」

「え?私?んーとね、どんな感じだったか教えてくれたら答えてあげる!」


んーややこしいやつめ。まぁしかたない、この俺が直々に教えてしんぜよう。ただし残酷な世界だと言うことを。


「よーし、教えてやろう。しっかりと聞いとけよ。いいかここ以外の国ってのはな、みんな狂ってるんだ。」

「狂ってる?」

「そう、みんな金や名声のためにクソみたいなことをしはじめるんだ。」

「ほうほう、それで?」

「それにな、そんなやつらがその国のトップのやつらなんだぜ?そこまで狂っていたら、国も終わりよ。」

「へぇーなるほどねぇ。じゃぁ、外の国の良いところを教えて!」


ん?こいつ俺の話を聞いてたのか?おいおい、まさかこいつこそイカれていたのか?


「ねぇ、早く教えてよー。だってあなたは、外の国の良いところを見たことがあるから他の人たちは狂っているように見えたんでしょ?」

「なっ…それは…」


こ、こいつ急になんてことを言いやがるんだ…クソっ落ち着けこんなガキなんかに動揺なんかするはずがないだろ。


「と、とりあえず俺はお前の質問に答えたんだ。次は俺の番だ、答えろよ。お前は一体だれなんだ?」

「んー…仕方ないなぁ。いい?言うのは一度だけだからね?私は……」

『この国の王女、ラフィーナよ?」

「ふぁ?」


おっと俺としたことが、また変な声を出してしまったようだ。



自称王女を名乗るラフィーナが来てから数日がたった。日が過ぎるに連れて、死刑囚である影狼の執行日がだんだんと迫ってきた。ラフィーナは自らを名乗った後に、「話てくれたお礼にあなたを助けてあげる。」と言い残しこの場を去っていった。


クソ、あんなやつの事なんか信用しなきゃよかった。意味深な事言っときながらあれ以来、一切音沙汰がない。さすがに騙されたか。


影狼が数日前の事に対しため息を漏らしている最中、ふとこちらに向かってくる足音が聞こえた。


「お!ようやく来てくれたのか!さぁ早く俺を助けて…」

「はぁ?誰が貴様何かを助けるか、貴様に面会したいと言う者が来ている。私は貴様を呼ぶために来ただけだ。」


なんだ、てっきり勘違いしちまった。あーもう、ついてねぇな。


影狼は看守に促されるまま両手に大きめの枷をはめ、面会室へと連れていかれた。


「面会の時間は15分までだ。それ以上の会話は許されない。また、面会室も常に監視されている。変な気は起こすなよ。」


そう言い看守は扉を開いた。中に居たのは見覚えのない女性がいた。


「ごめんなさいね、少し待たせてしまって…あれ覚えてないの?」

「覚えているもなにも、一切面識がないんだが…」

「ひどい!数日に会ったばったかなのに。もう忘れちゃったの?」


彼女は少し悲しそうに言った。

数日前に…てことはもしかしてこいつが!


「お前がラフィーナなのか?」

「そうよ、貴方を助けに来たのよ。さぁ細かい事は順番に説明するから、とりあえず座ってちょうだい?」


こほんと、咳き込むと彼女は順番に語りだした。


「まず、あなたは今日から死刑囚ではなくなったわ。変わりに追放者になったの。あなたに課せられる刑は死刑でなく、国外永久追放になったの。」

「なるほど、殺されない変わりに二度とこの国へは入れないと。」


彼女はそう、と言うとそのまま話を続けた。


「ただし条件が一つあってね。」

「あくまでも国外追放ではあるんだけど、この国から出ようとしてる私の奴隷として出るの。」


そういうと彼女は少し申し訳なさそうな顔をした。


「ごめんなさい、本当は私も一人でこのこの国から出ようと思っていたの。だけど一応王族だからって奴隷をつけなきゃいけなくなっちゃって…」


この国では王女の女性が嫌われていることは知っていた。恐らく彼女は自分の存在が知られる前に、この国を出ようとしたのだろう。


「俺は別に構わないさ。生きていられるだけでも、まだマシなほうさ。」

「本当にごめんなさい。でもこの国から出たら解放してあげるから。それまで演じてくれるだけでいいから。」

「あぁ、分かった。この国から出られるのはいつ頃になるんだ?」

「3日後には準備が整うと思うから、その間だねお願いね。」


そういうと彼女は面会室から出ていった。

彼女から話を聞いてからちょうど3日が過ぎた。その間、奴隷になる身として1日中首輪を付けられたがたいして気にならなかった。


彼女との約束の日国民に悟られぬよう、影狼達は朝早くに国を出ることになった。国の門にはここまで影狼達をつれてきた兵士の数人と彼女の父親、国王が見送りに来ていた。


城から門へ来る間彼女はずっと悲しいそうな顔をしていた。

門が開きいよいよ外へ出る時がきた。


「お父様、今までありがとうございました。」

「こんな事になってしまい本当にすまない。許してくれラフィーナ。」


ラフィーナは父親との最後を惜しみながら、別れを告げた。

影狼達は国の外へと出た、それと同時に国の門が静かにしまっていった。ラフィーナは門が閉まる寸前まで父親に手を振っていた。


朝日が昇り始め、辺りが少しずつ明るくなっていく。

その日に照らされている彼女の顔は涙で濡れていた。


「ごめんなさい、少し待ってて。」


彼女は涙を拭くと小さな鍵を取り出した。


「これであなたも自由の身です。少しの間だったけれどあなたと会えて嬉しかったわ。」

「いいのか本当に外しちまって。もしかしたら俺はお前を殺すかもしれないんだぞ?」

「それならそれで構わないわ。私はもともと存在しなかったんだから。


そういいながら影狼の首輪を外した。


「ラフィーナ、1つお前に頼みそびれた事がある。」

「なにかしら、食料とかならいくらでもあげるけれど?」

「なぁ、お前が話をかけて来たとき何て言ったか覚えているか?」


彼女は少し考えると、「そとの国の事を教えて?」だったかしらと呟いた。


「そうお前は俺に頼みごとつまり、依頼を持ちかけてきたんだ。俺は依頼屋、相手の頼みを叶えるまで仕事は終われない。」

「でも、その話はもう。」

「終わってないさ、まだ俺は君にこの世界の美しいところを教えてあげられてない。」


彼女は少し困惑したような顔をしていた。


「そして俺が頼みたいっていうのは、君の旅に俺も連れていってくれ。君は俺の命の恩人でもある。」

「ふぇ?」


影狼がそういうとラフィーナはとても驚き変な声をあげていた。困惑している様子だったがすぐに返事はきた。


『えぇ、私の付き添いなんかでよければぜひ!』


この日から元罪人と元王女の旅は始まった。





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